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「あるべきようにあることを。」by ガラドリエル
第4巻は、なかなかに波乱である。 これが第1部の完結編でもあり、最後には旅の一行が フロドと別れ、バラバラになる。
モリアの坑道で悪鬼バルログとともに奈落に消えた 魔法使いガンダルフ。
支えを失い消沈した一行は何とか坑道を脱出、 ロスロリアンのエルフ王、ケレボルンと 女王ガラドリエルのもとに庇護される。 またしてもエルフが、フロドたちを守ってくれたのだ。 フロドの前で自らに「指輪」のテストを課し、 クリアするガラドリエル。
「わらわは試練に耐えましたね。」と、奥方はいいました。 「わらわは小さくなることにしましょう。そして西へ去って、 いつまでもガラドリエルのままでいましょう。」 (引用)
エルフらしい、奥深い言葉である。 王と女王は、出立する一行を見送りに出て、 船をはじめとする贈り物をそれぞれに与える。 ギムリだけが、奥方の髪という特別な贈り物をもらう。
大河アンドゥインを下る旅の途中、 指輪を取り戻そうとたくらむゴクリがあらわれるが、 また姿を見失う。どうやらモリアの坑道から後を つけられていたらしい。『ホビットの冒険』よりも ずっと不気味に感じる登場だ。
敵の影におびえながら、船旅が終わったとき、 ついに、「旅の仲間」たちは、別々の道を選ぶことになる。
決意しかねているフロドを、指輪のとりことなった ボロミアが襲うという悲劇のあと、逃げ出したフロドは 導かれるように、世界の惨憺たる状況を見てしまった。 あの、すべてを見透かし、支配しようとする邪悪な「目」の存在も。
もう逃げられない。 覚悟したフロドは、指輪を葬る孤独な旅を選び取る。
アラゴルン、ボロミア、レゴラス、 ギムリ、フロドにサム、ピピン、メリー。 ここから、仲間達の旅は別れてゆく。 河の流れが、一度別れてのち、合流するかのように。 しかしそれもまた、壮大な物語の不可欠な流れなのだ。 忠実な従者のサムだけが、 フロドと指輪の道連れとなって、旅は続く。 (マーズ)
『新版 指輪物語4旅の仲間(下2)』 著者:J・R・R・トールキン / 訳:瀬田貞二・田中明子 / 出版社:評論社1992
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管理者:お天気猫や
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