トーキョー・ハッピーデイズ
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2002年01月19日(土)  セカンドチャンス

「あれ?」
 朝、目を覚ましたのはほぼ同時で、紺野くんの第一声はそれだった。
 そしてあわてて第二声。
「あれ? やば。まず。ごめ」
「……それ、何語?」
 日本語じゃなきゃわかりません。
「ああー」
 紺野くんが頭を抱えた。
 あっはっは。笑える。でも笑ってやらない。
「図太いよねー。留守中にヒトんちで大の字で寝るなんて、そうできる人いないよ。しかも誕生日の約束をドタキャンして散々音信不通した後で」
「ほ、本当に、ゴメンっ」
 紺野くん、あわてて布団から飛び出し、そこに居直り、両手を擦り合わせて私を拝む。
 思わず吹き出しそうになった。
 私って意地悪の才能あるかも。
「ねえ、今更何しに来たの?」
「とにかく、謝りに。あの日は本当に悪かった。一番重要なデータが入ったドライブがクラッシュして……ええと、それは言い訳にしかならないのはわかってるんだけど」
「へえ。じゃあ私との約束は重要ではないってこと?」
「そうじゃなく」
 蛭子さんのマンガなら大量の汗をかいてるとこだね、紺野くん。
 もうこの辺で勘弁してあげよう。
「わかってるよ、それくらい。怒ってないから」
「でもホント、ごめん」
「いいってば。その代わり今日は一日付き合ってくれるんでしょ?」
「うん」
「3食おごりね」
「うん、もちろん」
「じゃあ、まず一番最初に」
 寝グセのついた髪と髭面のまんま、叱られた子犬みたいに大きい体を小さくして指示を待つ紺野くんについに私は吹き出した。
「気が済むまで寝たら。どうせ3日はまともに寝てないんでしょ。このまま映画を見に行ったとしても絶対居眠りするもんね?」


 そんな訳で、結局私たちは夕方近くまで惰眠をむさぼり、夜になって布団から這い出てやり直しディナーを食べにファミレスに出かけた。


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