私は渋々そのホストの席に付いた。
「初めましてぇ」
名刺を渡す。
「あれ。ほら、何か書いてないよ、何か足りないよ。」
携帯番号。
そのままちょっとだけふざけ合って携帯番号を教える。
そして、よくある質問タイム。
「何歳?」
「いくつに見える?」
「19歳くらい?」
「おしいっ。今18。でもよく分かったね。俺結構年上に見られるのに。」
私は人の年齢を当てるのが得意だった。
それでなくても、彼のベビーフェイスはどう見ても若かったし。
とにかく無難にこのホストをやり過ごそう。
そう思って相手をした。
何とかワンセット終了の時間が来てホスト達は延長せずに帰って行った。
ほッ。何とか終わった。
店長に呼び止められる。
「あそこのホスト、タチ悪いから気をつけろよ。」
「あんなの相手にしないから大丈夫ですよー。」
大丈夫なはずだった。
相手にしないはずだった。
だけど、翌日からホストからの電話は鳴り止まなかった。
「もしもしー。俺、裕ー。
ねぇねぇ、店遊びに来てよー。」
断る。
「俺あの日、営業で行ったんだわー。
だから来て貰わないと俺の立場がないんだよー。」
断る。
「お願いッ俺おごるから。
お願いだから来てっ」
何だか可愛そうになって、仕方なく行く事になってしまった。
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