私が勤めていたキャバクラにはいろいろイベントがあった。
「パジャマデー」
「浴衣デー」
「ワイシャツデー」
と、決められた服装のイベント。
この程度ならいいんだけど
「同伴週間」
「指名週間」
そんなのまである。
このイベントが始まると胃が痛くなる思い。
それでも、裕が手伝ってくれたりして
とりあえずは、ノルマクリアができていた。
そして、その週は「指名週間」だった。
1週間で指名○本
そんなノルマが立てられた週。
裕の助けが無い為、ノルマまであと少しの指名が足りない。
大体、「指名週間だからお願い、来て!」
そんな営業電話をかけてお客さんが来るワケが無い事に
私は気付いてなかった。
あと少し、あと少しなのに・・・。
そんな思いの中、裕から突然朗報が飛び込んだ。
「今からみぃのお店行くわー。」
一瞬ハテナが飛び交った。
東京へ逃げている裕がどうやって?
でも、裕は
「みぃの顔が見たくなったから行く」
そんな風に言っていて。
裕が名古屋に出てくれば危険なのは承知だった。
もし、誰かに見つかって捕まったら。
大変な目に合うのは目に見えていた。
イヤな予感がする。
でも、私は指名が欲しくて
「気をつけてくるんだよ。」
そう言って電話を切った。
携帯の留守電には
裕からのブチ切れメッセージが届いていた。
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