きまぐれがき
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2003年06月08日(日) この花は.....ラーラ



ラーラが11年前に死んだ時、遺骨は動物霊園の墓所に納めたが、
ほんの少しだけ小さな小さな骨壷に入って、我が家に帰ってきた。
その骨壷はリビングの棚で、生前されていたように、ひつこく撫ぜ
られ頬を寄せられ、抱かれたりしながら、やっと土に還されたのは
2年後のことだった。
「もうちょっと.....もうちょっと.....」と離れがたくて、
時が過ぎてしまったのだ。

ずい分前にTVで、キダタロー(難波のモーツァルトとか言われて
いる作曲家)の可愛がっていたニワトリのピーコちゃん(だったかな?)
の骨壷が、キダ家の本箱に大事に並べられていたのを見たことがあった。

その時キダタローは「埋葬などしませんピーコちゃんはずっとここです」
いけませんか?あんたへんなこと訊くね〜と言わんばかりの不思議そうな
顔でインタビュアーに答えていた。
ニワトリが死んだ時には、夫妻で涙が枯れ果てるまで泣いたのだそうだ。
そのニワトリは、まだ夜が明けないうちから時を告げて啼きだすので、
ご近所からとっても憎まれていましたと、真面目な顔で口調はおだやかに
言ったので、キダタローの横でそれを訊いた関西の芸人が思わず吹き出
していた。

ラーラの骨壷は、どんな季節でも、まず1番に朝日があたって窓からも
よく眺められて、家の中の家族の声がきこえるあたりに埋めた。
そして、同じ場所に芍薬の苗も何本か植えてみた。

色は白とはんなりとしたピンク。今年も咲いてくれたんだね。




私は今だってあの犬を思い出すと、声をあげて泣くんだ。
1本道に立って、ずっと続く道の遠くを見ると、首に白い襟巻きを
巻いたかのような豊な毛を風になびかせて、耳をさげ一目散に
こちらに向かって走ってくる姿が見えるような気がしてならないのだよ。


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