きまぐれがき
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外出から帰ると、小豆が「ゾッとするものを見た」と言う。 そしてエアコンの室外機が設置してある場所に連れて行かれた。 「ここ!ここ!」と指差す室外機と建物の壁の隙間に、 脱皮した蛇の脱け殻があるのを、浄化槽の清掃にみえた おじさんが見つけたそうだ。 おじさんは「へぇ〜 これ、もらってってもかまへんかぁ」と 小豆が渡した袋に大事そうに入れて、嬉しくてたまらないと いった感じで、帰っていかれたらしい。
小豆は「蝉の抜け殻をみてもドキッとするけど、蛇のはもっと、 死体よりも(見たことあるの?)気持ち悪かった」と言う。 そうかなぁ、色っぽいではないか...........と『源氏物語』 の空蝉などを思い浮かべてしまうのだけど。
たぶんあの蛇だ。そろそろ春が近づいて来ていると感じさせた ポカポカ陽気のある日、テラスでダラ〜ンと体を伸ばして日向 ぼっこをしている蛇がいた。 お昼寝の場を奪われたサーシャは、ハウスから蛇の様子を 窺っては、諦めたように丸くなって寝たふりを決め込んでいた もんだ。
人間は新陳代謝をはかって生きているけれど、脱皮をしながら 成長していく生き物って、脱ぎ捨てたものを平気で放りっぱなしに しておくところがご愛嬌でもあるし、神秘的でもあるよなぁ。
それにしても脱け殻は、あのおじさんのところでどうなっちゃって いるのだろう。使いみちってあるのだろうか?
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