きまぐれがき
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2003年08月28日(木) 1000の風

朝日新聞、今日の天声人語に「1000の風」が欧米や日本で
静かに広がっているとあった。

私が、「1000の風」の収まった小さく心細げな本を手にとる
きっかけとなったのは、ジャーナリストの柳田邦男氏が、ご子息
の自死で絶望していた時にこの詩に出合い慰められたと、何かで
読んだことによってだったと思う。

どこの書店でも見つからず、手元に届くまでにずい分時間が
かかったのではなかったか。初版から2年が過ぎた頃で、
すでに3刷になっていたところをみると、当時もひそやかに
読まれていたのだ。

この詩を読んだからといって、大切な人を亡くした喪失感が
そう簡単に癒されるものではないけれど、死が自分だけに降り
かかる問題ではないというあたり前のことを受け入れる心構えと
勇気と、不思議なやすらかさを与えてくれる、なんて優しい詩
なのだろうと、私にとって忘れられない1篇となっている。

天声人語では、作家の荒井満氏が訳され曲をつけてCDとなった
詩(へぇ〜CDになってるのか〜)が紹介されていたが、南風椎氏
によって訳された「1000の風」は.....



あとに残された人へ  1000の風

私の墓石の前に立って 涙を流さないでください。

私はそこにはいません。
眠ってなんかいません。

私は1000の風になって 吹き抜けています。
私はダイアモンドのように 雪の上で輝いています。
私は陽の光りになって 熟した穀物にふりそそいでいます。
秋には やさしい雨になります。
朝の静けさの中で あなたが目ざめるとき
私はすばやい流れとなって 駆けあがり
鳥たちを 空でくるくる舞わせています。
夜は星になり 私はそっと光っています。

どうか その墓石の前で 泣かないでください。

私はそこにはいません。
私は死んでないのです。






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