きまぐれがき
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2004年03月18日(木) |
須賀敦子のこうちゃんと、あの子は |
だいぶ以前、その時使っていたスケジュール帳に 遠藤周作のエッセイから書き移した詩があったはず だと思い出したのは、須賀敦子の「こうちゃん」を 読んだからだ。
その詩は1990年の手帳のなかに、見つけることが できた。
私の咽喉が痛いとき あの子の 咽喉も痛み 私が夜咳をするとき あの子も 眼をさまして咳をする 私がママから叱られて泣くとき あの子も 私と一緒に泣いている 夕陽にうつる私の影法師のように あの子は いつも私と一緒だ マチルド
エッセイには、幼くして死んだ少女マチルドの詩だと 書いてあったように思う。 この詩のなかのあの子とは、言うまでもなくキリストの ことだ。
須賀敦子の「こうちゃん」にこんな一節がある。 あなたには みえなくても きこえなくても、 きっと こうちゃんは、どこかできいているのです。
こうちゃんはあの子.......そう思うと同時に、引き出しの中の たまりにたまった過去の手帳の頁を夢中で繰っていたのだ。
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