きまぐれがき
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2004年11月12日(金) エールよ エールよ

時々読んでいる週刊新潮のある連載に、筆者がエール大学
に留学した時、神学部があり、大学の中で重要な地位をしめ
ていることに驚いたというようなことが書いてあった。

これを読んでいるうちに、ふと遠い日のある光景が思い出され
た。
祖父がエール大学で学んで数十年経った後に、再びエールを
訪ねて帰国したばかりの頃だったように思う。
記憶が曖昧ではあるけれど、どういうことからか中国の義和団
事件の話になった。
小学生の私はただ聞いているだけだったのだろうが、断片的に
覚えているなかで忘れられないのは「エールよ、エールよ」の言
葉だった。

中国に派遣された宣教師たちが殺されていくなか、エール大学
から派遣された一人の宣教師が息を引き取る間際に

「エールよ、エールよ、私はこの地で神に召されていくが、これに
臆することなく第二、第三の私をこの地に送って欲しい」

というようなことを、そばにあった紙片に書きつけた。
この紙片は人から人の手に渡り、海を越えて、これを書きしるし
た宣教師の母校であるエール大学に届き、神学生たちは中国で
の伝道の志をさらに強くしたという話だった。

この話をしながら祖父は、机の上にあったノートに「エールよ、
エールよ。。」と、宣教師が書き遺したという言葉を書いてくれた。
私は長いことその紙片を日記帳にはさんだり、手帳に書き写して
みたりしながらも大切に持っていたのに、いつの間にかとうとう
紛失してしまったのだが。


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