きまぐれがき
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2006年01月28日(土) |
喧嘩見物、合いの手入り |
お鍋パーティ、といっても京大のけしからん企みとは違って、家を建て 直すのでその前にこの古家に縁のある者たちが集ってワイワイやろう ではないかとの趣旨ね。 それが油壺であった。 軽く見積もっても50人はいたのだから玄関は靴だらけ。 私は自分の靴を、玄関脇の供待ち部屋と呼ばれている小部屋に、こっ そり非難させておいた。
部屋によってお好みのお鍋にありつけることになっていて、おでんと すき焼き、ちゃんこなどが人気らしくダイニングとリビングは人で溢れ かえっていた。 知り合いはいないかと、奥にあるお祖母さまの居室だった掘りごたつ のある部屋の襖を開けてみると、お座敷天婦羅セットの準備がしてあり、 こたつで男が一人寝ていた。元ジャニーズで今は俳優をしているAだ。
部屋のすみで、さっきからついてきた猫のお夏と戯れていると油壺夫人 がやって来て、このお座敷天婦羅は人気がないからここでひっそり揚げ てみようと言いながら、小麦粉と水をこねこね混ぜて衣を作り出した。 水が足りないというので、キッチンからたっぷりの水を入れたピッチャー を持って部屋に戻ってみると、油壺夫人のダンナもいてなにやら険悪な 空気が流れているのだ。
掘りごたつで寝ていた元ジャニAは、起き上がっていて強張った表情な がら笑っちゃっているようにもみえて、なんなのだ?の空気。
と、突然、油壺夫人が手元の琺瑯ボウルに入った小麦粉を畳の上にバサ! とまき散らした。 それを見た元ジャニAが「あーーっ!!」と合いの手を入れた。 するとダンナが、ピッチャーに入っている水を、撒かれた小麦粉の上に ザブン!とかけた。 元ジャニAが「ひぇー!!」と合いの手。 油壺夫人がさらに小麦粉をぶちかます。 元ジャニA「おう!」 ダンナありったけの水を新たに撒かれた小麦粉の上にザーッ! 元ジャニA「おうおうー!」
なんだかものすごく合いの手が効いているんですけど。
それにしてもいったいこの夫婦は何をしているの? 畳の上で大量の衣を作ってどうするの? 元ジャニAと私は呆気にとられて眺めてしまう。
元ジャニAを隣室に引っ張ってきて「何なのあれは?」と訊いてみたとこ ろによると、ダンナがソースを冷蔵庫に取りに行きかかったところで喧嘩 が始まったのだと言う。 このままもう少し寝たふりをしていたほうがいいのだろうかと迷ったが あまりにも激しく粉と水が行き交うので。 それで思わず合いの手が入っちゃったというわけらしい。
うん。私は油壺夫人の「天つゆ!」と叫んでいた声は訊いた。 確かに天つゆも大根おろしも掘りごたつの上に用意されてあった。 ダンナは天婦羅をソースで食べたかったのだろうか? あの油壺夫人が、それを許すはずがないことぐらい承知しているダンナ だろうに。相変わらず子供みたいな二人だ。
とにかく他の客に気づかれなくてよかったけれど、思い出しても笑いが こみあげてくる夫婦喧嘩だった。
とびっきり愉快な夫婦喧嘩をみせてもらったんだもん、後片付けはまか せて! 小麦粉のぐちゃぐちゃぐらい泥んこよりはましよ。。。 それでも少しは後片付けのことを考えて喧嘩しろよな。
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