罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
闘う事を忘れ。 牙と爪を失い。 不確かな基盤から眼を逸し。 己の安寧のみ求める。
この日常が続いている事が奇跡的だと気付いているか。 闘わずに得る事の困難を忘れていないか。 護るにせよ奪うにせよ牙も爪も持たず使い方すら知らずに居はしないか。 闘わぬのならその為の知恵と能力はあるのか。
悪意は遍在し、災禍の無い場は無い。 安心や安全の神話は崩れている事は自明だ。 それでも己の在る場所が確固たるものだと信じる姿は滑稽だ。 かと言って安全地帯が無いと嘆くのは脳が勿体ない。
安寧に溺れるなかれ。 虚無に陥るなかれ。 常に岩壁を渡る細道を行くが如く。 この奇跡を噛み締めよ。
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