罅割れた翡翠の映す影
目次過去は過去過去なのに未来


2007年07月12日(木)

「脳味噌っつーのは生きてる間にしか使えん。」
「生きとるならちゃっちゃっと頭使わんかいヴォケェ。」

そーで御座いますな親父殿。
死んでるよーに生きてよーがヒトガタとして感情を失おーと
どんな阿呆にもデフォルトで付いとる高性能CPUとメモリ使わんのは
「ヴォケェ」
ですわな。



「親父殿」とは言ったものの実際誰の言葉かは思い出せない。
生きているモノにとって最強の武器であり敵はこの脳味噌。
馬鹿や鋏と一緒で使いよう。
常に心に刻んだつもりが、認識が甘かったのか。

僕はまだ生きていて、その最強の武器もまだ健在だ。
しかし、時間制限付きでタイマー表示が無いのは応えた。
確率が多少アップしただけで他人と大した違いは無いのだけど。
改めて事実を突き付けられると再認識せざるを得ない。
何時終りが来るか。
無駄に休む訳にはいかない。
最低限の休息を以って最大限の「ノルマ」を達成していく。



騙しながら生きていく。
悟られては駄目。
確実に、焦らずに、しかし速やかに目標を達して行く。
自分の状況を受け入れた上で、ギリギリのラインを保つ。



「俺が死んだら解るさぁ」
爺様が逝く一ヶ月前の台詞だ。
いつも好き勝手で生きてる爺様だったそうだ。
子供時代のの俺を良く可愛がったらしい。
殴って壁まで吹っ飛ばしたってーのも聞いたが。
強情っぱりで、軍人にならずにずっと飛行機造ってた爺様。
ぷいっと離婚してみたり再婚してみたり、
自分の子供達散々振り回して、その癖気に病んでいた爺様。
いつも秘密主義で、何やってんのかさっぱり解らなかったが、
葬式挙げる時になって、色々手ぇ回してやがった事に気付く。
親戚筋の人間関係の清算だとか、諸々。
遺産なんてのは葬式代で綺麗サッパリ無くなる様になってた。
爺様らしい。
そして、流石だなって、思ったんだ。



俺は、やっぱり血を残す事は出来なかったよ。
でも、何かを残して、繋げて逝きたいとは思うんだ。
俺が勝手に大切だと想っている奴等の為に。
だから、必要な時間を縮めない位には無理させてもらう。
笑顔で逝ける様に。
笑顔で送って貰える様に。



…定期健診の結果。
「丈夫だねぇ…キミ。検査のスパン二ヶ月に延ばす?」



…あー、やっぱ爺様と同じでそう簡単にゃあ逝かせてもらえんかな…。



20を識って14を識り、
又20を識って15に身を委ねる。
認識という名の16は崩れ、
17を求めて、
18を彷徨う。
20が来たその時にしか、
それが19だったのかを確かめる術を持たず。
0は迷い続ける。
僕は12を見付けていない。
10を跳ね除ける、操れる、
8か11がまだ、必要だから。


Jade |MAILBBS

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