好きな漫画家だとか作家だとかで、 その人の人生が進んで、 描いたり書いたりすることをやめる人がいて、 ああ、残念だな、って思うことも昔はあったけど、 今は、 その人が発表し続けるかどうかなんてどうでもよくて、 ただ、どこかで元気に生きている、そのことだけで十分なんだと思う。 表現をすることは、立派なことではない。 なんでもかんでも、伝える必要ない。 世の中には、むしろ伝えないのが素敵、ってことの方が多いのだ。 花のように、黙って。 ときどき、「とにかく言ってみなよ」「気持ちを言葉に」「理解を求めてごらん」っていう意見も聞くけど、 理解されたって、なんにもならない。 人間って、ただ生きているだけで、素晴らしい存在なんだと思う。 だから、みんな、生きていて欲しい。 表現をすることは、決して美しいことではない。 美しいことは、誰かがどこかで元気に生きていること、その一点だ。
上海に滞在してきた。 そのあと福岡へ行った。 (最近福岡づいていて、7月に行って、9月に行って、11月も行く予定。 11月22日(土)に、西加奈子さんと一緒に、 福岡の「Tremolo cafe」というところで、 朗読&トークイベント「説教をしてもひとり」 (これは尾崎放哉の俳句「咳をしても一人」のパロディで加奈子ちゃんと考えたタイトル) を開きます。よかったら来てください)。 以下、お知らせです。 ・「小説トリッパー」朝日新聞出版(秋号) エッセイ「素晴らしい白黒の世界」掲載。 『日出処の天子』について書きました。 ・実践女子大学 源氏物語千年紀記念の講演会で喋ります。 場所 実践女子大学 香雪記念館大教室 日時 10月4日(土) 午後3時30分〜午後5時 演題 『源氏物語』における、キャラクターの造形とその増殖の仕方 ・「日経トレンディ」日経BP社(10月号) 名作文学について話をしています。 ・「CIRCUS」KKベストセラーズ(10月号) おすすめの本の紹介をしています。
夏の終わり、山荘へ遊びにいった。 Fさんが、粉から餃子を作ってくれた。 充実した。 以下、お知らせです。 ・「よむ花椿」資生堂(NO.700 2008年10月号) 短編小説「女が笑うまでの物語」掲載。 ・今日(7日付)の朝日新聞、朝刊の文化面に、 エッセイ「女の幸せって? 新しい世界へ」掲載。 『源氏物語』の浮舟について書いた。 ・『本棚2』ヒヨコ舎(アスペクト) うちの本棚の写真を撮ってもらって、紹介している。 写っている私は、よく見ると文藝賞の副賞の万年筆を持ち、 文豪ポーズを気取っている。 ・「ダ・ヴィンチ」メディアファクトリー(10月号) 古典を紹介するインタヴューを受けた。 いい記事になっていたので、読んでもらえたらいいなと思います。 ・「一個人」ベストセラーズ(10月号) インタヴューを受けました。 ・「エスクァイア」 エスクァイア マガジン ジャパン(10月号) インタヴューを受けました。
とりあえず、今までの作品を紹介させていただきたい、と思います。 自由に読んで欲しいので、作者が喋り過ぎると野暮になりますから、少しだけ。 1『人のセックスを笑うな』 主人公は磯貝くん。 タイトルとはうらはらに、普通の恋愛小説です。 私にとっては、25歳のときに書いた、デビュー作に当たるものになります。 2『浮世でランチ』 主人公は14歳の丸山君枝と、 25歳の丸山君枝。 中学生が宗教ごっこをする話と、 会社を辞めて東南アジアを旅する話が、 同時に進む。 昼ごはんを誰と食べるか? というところで、 会社員の方から好評をいただけることが多くて、嬉しいです。 3『指先からソーダ』 朝日新聞土曜版で連載していた「指先からソーダ」に、様々な媒体に単発で発表した散文を加えた、 1stエッセイ集。 毎回、図を描いて、切り口や構成を考えて、下書きをたくさん書きながら作った覚えがあります。 新聞ということで、 世代や性別を越えて読んでいただけるように、 綴りました。 デビューしたばかりの、 異様な緊張感の中で練っていたので、 今や、もう二度とこういうエッセイは書けないだろう、と思います。 4『カツラ美容室別室』 語り手は佐藤淳之介。 オレ、カツラさん、エリ、梅田さん、桃井さん、多彩な友情の模様と、 一年間の話なわりに時間が変な風に進むところを、 描けたので、 私としては、書きたい小説を書けた、 とう感があります。 5『論理と感性は相反しない』 主人公は神田川歩美。 全編書き下ろしの、ふざけた短編小説集。 私としては、「人間が出てこない話」「芥川」「まったく新しい傘」等の、はじけた小品を作りたくて、編んだものです。 笑って欲しい。 6『長い終わりが始まる』 小笠原と田中。そして、「みんな」の物語。 落ち着いた青春小説です。 このホームページの文章は適当につらつら書いてきましたが、 六冊の本は、 平均して、完成原稿の三倍ほどボツ原稿があり、 完成形が定まってきたあとも一行一行、句読点や行がえ、漢字平仮名等の、 見た感じのリズムを磨いて、練り上げてきました。 私は、自意識が弱く、 自分への興味が薄いですが、 「自信のない人は隅で生きればいい」という考えには反対なので、 読者の方にも堂々としていて欲しいし、 私も作家としてはどこへ行っても胸を張っていよう、と思っています。 私は、外界のことが書きたくて、 スピーカーのようになりたい、と考えています。 視線と言語センスにだけは自信があるから、 世界の見え方のひとつを提示したい。 世界で既に鳴っている美しくかつ汚い音楽を、 私の体を通して響かせてみたいです。 作家は、死んだあとに評価されるのもまた一興と思うのですが、 せっかく同時代にたくさんの人がいるのだから、 そのことを面白がりたい、とも感じます。
今日、明日で、 京都と大阪の書店さんへ挨拶にうかがいます。 サイン本があるかと思います。 アポイントは出版社さんに取っていただきましたが、 ひとりで、自腹で、行きます。 一対一でコミュニケーションがとれたら、と思いましたので、 そうお願いしました。
・「アンアン」(マガジンハウス)の今出ている号の、 『少女怪談』の著者インタヴューのところで、藤野千夜さんが、 私が書いた『人のセックスを笑うな』(に収録の「虫歯と優しさ」)のことを、 話してくれていました。嬉しい。 (藤野さんの『少女怪談』は面白いです。身につまされます)。 ・「シュプール」集英社(9月号)で、『長い終わりが始まる』の著者インタヴューを受けている。 私は作家の対面を保つために喋ることがいやだ。 率直な言葉を使いたくて作家になったようなものなのに格好つけてどうすんのさ。 批判されないような防御線は張りたくない。 誤解は解かない。
写真は、 吉祥寺にあるBOOKSルーエの、店頭のPOP。 (マンドリンがリアルに描いてあったから、撮らせていただきました)。 (そして右上の絵は、ニンテンドーDSと思われる)。 この3日間、東京の書店さんに挨拶へまわったので、 サイン本があると思います。 それから、今日、 三省堂のサイン会に来てくださった方々、ありがとうございました。 はあ、書店は和みますなあ。 ネットもいいが、やはり書店に人がたくさんいると嬉しいものだ。 既刊の、『人のセックスを笑うな』『浮世でランチ』『指先からソーダ』 『カツラ美容室別室』『論理と感性は相反しない』も合わせて、 手に取ってみていただけたらな、と思います。 あるいは、私の本でなくとも、 現代日本文学には、いい作家が他にもいるので、 いろいろ読んで欲しいです。 ・「新刊ニュース」トーハン(8月号) 「本屋はみんなで作るもの! 書店の魅力お話します」 大崎梢さんと元書店員対談をしました。 (元書店員と言っても、私はアルバイトを少ししていただけなのですが)。 ・ちなみに、このあいだ、書店さんまわりをした際、演奏経験のある書店員さんがいたので、書店マンドリンオーケストラを組むことにして、 弾ける人を探しています。
・1日にあった福岡での講演に、いらしてくださった方々! どうでしたかね? 私は、ものすごく楽しかったです。(講演後のサイン会も面白かった。ワカメをくださった方、ありがとうございます)。 ・その講演の翌日、ひとりで、書店さんまわりをしました。暑かった……。福岡、天神あたりの書店さんに、サイン本が並んでいるはずなので、よかったら買ってください。 ・18日には、東京、神保町の三省堂でサイン会をしますので、 気軽にいらっしゃってください。 ひとことコメント付きで書こうと思ってます。 ・その前後で、東京と、あと関西にも足をのばして、ひとりで、書店さんへ挨拶まわりをしようと思っています。 私にできる販促はなんでもしようと思っていますので、 書店さんや出版社の方、ご連絡を講談社の方へいただけたら、参上します。 ・「ダヴィンチ」メディアファクトリー(8月号) 『長い終わりが始まる』の著者インタヴューが掲載。 気ごころの知れたライターさん、編集者さんと作った記事なので安心。 ・「WB」早稲田文学編集室(vol.13) 鹿島田真希さんと、海猫沢めろんさんと、長嶋有さんと、柴崎友香さんと、中村航さんと、私と、戸塚伎一さんで、 「エロゲナイト」と称して座談会をした。 まあ、ピザ食べながら夜通しゲームしただけなんだが。 めろんさんが可笑しかった。 ・「InRed」宝島社(8月号) 若木信吾さんに写真撮ってもらえました。 ・長嶋有さん原作の、映画「ジャージの二人」のホームページ等に、ちょこっとコメント書きました。
今、自分のいる共同体の中で、 居場所がないと感じている人、 小さなコミュニティにしばられて、 視点がどうしても動かせない人、 そんな人に読んで欲しいです。 「居場所がなくても、生きられる!」 『長い終わりが始まる』 小説として、真っ直ぐに、 かつ趣向を凝らして、 「みんな」を書きました。 装丁は、また『論理と感性』と同じ名久井直子さん、 写真は中野正貴さんのものです。 かっこいい本になりました。 ・三省堂書店 神保町本店で、 7月18日(金)18時30分より、 『長い終わりが始まる』の、 僭越ながら「サイン会」なるものを開かせていただきます。 のんびりと、 ひとりひとりとお喋りしながら、 余計なことを書いてやろうと思っていますので、 来てくださったら嬉しいです。 ・リブロ渋谷店(渋谷パルコ パート1 地下1階) にある「著名人の本棚」という棚に、 「山崎ナオコーラの本棚」と題して、 私のおすすめ本30冊を置いてもらっています。 一冊一冊に手書きのPOPも付けたので、 興味のある本があったら買ってください。 この棚は、憧憬をもっていつも眺めていたので、光栄です。 ・「新潮」新潮社(7月号)で、 福永信さんが、『論理と感性は相反しない』の書評を書いていて、 これは、私の本のことが書いてあるからってわけでもなく、 面白かったです。 ・福岡県にある、西南学院大学で、 7月1日(火)15時10分から、 「大学で日本文学を学ぶということ(私も日文卒です)」 と題して、講義(?)をします。 (ところで、『長い終わり』の著者近影は、 ネクタイ、シャツ、ベスト、と男物の服を着ています。 「普段着で来てください」という編集者さんに反抗して、 「仕事なんだから」と、 ポール・スミスでわざわざ買って着ていきました。 ちょっと「アニー・ホール」みたいじゃないか私、と気に入りました。 この本に関するプロモーションは、全部ネクタイ締めて行こう、と思っています)。
・6月25日(水)に、『長い終わりが始まる』(講談社)が発売予定。 非常に楽しみです。 ・今日発売の「アンアン」(マガジンハウス)の巻頭あたりに、記事の掲載。 ただ喋ったことの、いわゆる「恋愛談議」の記事ですが、 ライターさんと編集者さんが練り上げてくれたので、 よかったら読んでください。 ・『浮世でランチ』(河出書房新社)が重版に。 ・『論理と感性は相反しない』(講談社)も重版がかかりました。 私は、小説、エッセイ、あとがき等で、身近な人へ感謝を伝えるのは野暮だと思っています。 本は遠くの人へ届けるためのものなので、書くときは遠くのことしか考えていない。 近くにいる人へのお礼は、直接に口で言えばいい。 ただ、今書いているこの文章は、本の文章ではないので、 ここでなら書いてもいいでしょうか 小説に書きたいような文章とは違う文章を、書いてもいいでしょうか。 たとえば、河出書房新社は、私を作家として初めて扱ってくれたところで、 今まで3冊の本を出版して、どの本も、編集者さんや営業さんが、力を入れて読者へ届けてくれました。 どんな風に感謝を伝えていいのか、わからないです。 講談社には、2冊を出してもらいました。 編集部の方々、販売部の方々、面白い人ばかりでした。 仕事というのは、各々が利益を追求しているだけのことなのかもしれないけれど、 こんなに仕事が楽しいなんて、信じられないです。 取次さん、書店さんとも、いつも協力して、書籍のシーンを盛り上げてきました。 直接に会う機会のない方も多いので、この場を借りてお礼を言わせていただきたいです。本当にありがとうございます。 私は仕事をするときは、友だちや、家族や、前に一緒に住んでいた男の子や、私を人間として好いてくれていた貴重な人たちの方を向くことは、もうできません。 遠くの人の感覚神経だけを想像したいから。 しかし、今の私は、周囲の反映でしかなく、 息を吸っても、文章を書いても、 周りの人に恵まれてきたということを実感せざるおえません。 こんなにわがままなのに、自分に友だちが多いことが不思議です。 ショックなことが起きたときには、 友情と読書が、本当に役に立つなあ、と今思っているところです。 今年も半年が過ぎ、私の後半戦は、「友だちを大事にする」と「本を読む」を、やる。 まあ、仕事上のショックがあったわけなんですが。 やっぱり、仕事大好きです。がりがり書きます。 これからも、周りが支えてくれると信じます。 スポーツではなく芸術なんだから、 同時代を生きる作家たちは、 ライバルではなく協力者だと、私は思います。 書店の棚を、協力して広げたい。 工夫して、面白いことをやっていきたい。 ふざけてて、自由で、盛り上がる時代を築きたい。 この長文、どうですかね。あとで恥ずかしくなりますかね。
|
| |