本日9月9日は重陽の節句だそうです。
中国の伝統的な習慣では奇数は陽の数とされており、「陽の数の中で一番大きな九が重なる」ということから「重陽」と呼ばれるようになったと、ものの本に書いてありました。
昔は、この日は長寿の効があるという菊の花びらを酒に浮かべた「菊酒」を飲んで、お祝いしたそうです。
今ではそんな習慣もごく一部となってしまいましたが、そういう故事来歴を知っているとひと味違ったお酒の楽しみ方ができそうです。
真っ赤な朱の大杯に黄色い菊の花びらを浮かべて、ひと息に飲み干す。なんと色彩豊かで粋な飲み方でしょうか。
パック酒をコップに入れてレンジでチンとか、酎ハイでグビッも悪いとはいいませんが、たまにはこういう飲み方もいいものです。
2003年09月08日(月) |
徳島からの手紙(2) |
「JA全農とくしま」の米穀特産課から手紙がきました。
今年3回目の山田錦圃場見学会の案内(10月10日だそうです)とともに、出穂した山田錦の写真が5枚添えられていました。
写真によると徳島山田錦も8月20日すぎに出穂したようで、今のところ順調に生育しているそうです。
東北地方に比べれば、徳島県というのは恵まれた地域で、冷夏には縁のない土地柄のようです。
京阪神という一大消費地をすぐそばにかかえ、本四架橋により2時間足らずで市場に到着するという地の利を生かして近郊農業が発達しており、きゅうり、なす、たばこ、れんこん、ぶどうなどなど、まるで農産物の総合商社といった観のある徳島県です。
全農とくしまや、阿波町農協さんたちが展開している、私たち酒造会社というユーザーの気をそらさないソツのない得意先管理は、「ならべれば売れる」と未だに思っているこの酒業界の一部の方に、見習って欲しい技術だと思います。
本来、商売をして生きている者にとって「お客様にいかに快適な思いをしていただくか、満足していただくか」という心配り、気働きは、技術ではなく当たり前のことでした。
コンビニやファーストフードの店員の言葉使い、客あしらいなど現状をみるにつけ「お客様を思いやること」に対して鈍感になってしまったことを残念に思います。
2003年09月07日(日) |
鳥人間コンテスト放送! |
鳥人間コンテストの放送が今日ありました。
7月28日の日記「鳥人間着水す」で書いたことが事実と少し違っていたようで、おわび申し上げます。
海津に着水したのは、東北大学のグループで、飛行距離は24キロ、第3位が正しい競技結果でした(ちなみに1位は琵琶湖大橋手前に着水した日大のグループで飛行距離は34キロ)。漁師のN氏の船とぶつかりかけたかどうかは、編集上カットされたかもしれませんので、事実はいまだ藪の中です。
「ほろよい、おまえ酔っ払って聞いたそのままを日記に載せたろう」という御批判には返す言葉がありません。伝聞による情報伝達の怖さを思い知りました。
でも、本当に海津に向かって飛んできたのですねえ。ほろよいの蔵の大ケヤキや、浜の石積みがはっきりと映ってました。来るとわかっていれば早起きしてデジカメかまえて待っていたのに。
サラ金やら、ETC(高速道路のノンストップ自動料金支払いシステム)のキャンペーンやら、激安清酒生産管理ソフトやら、はてはマーケッティングでは定評のあるF総研の講演会の案内までがファックスで一方的に広告を送りつけてきます(プルータスおまえもか!)。
DMなら一瞥してゴミ箱行きなのですが、ファックスの場合は、短時間とはいえ、こちら側の電話回線を広告主のの勝手な都合で占有し、ファックス用紙を浪費させるのがタチの悪いところです。
少額とはいっても「相手先に負担をかけて、自分の広告をする」会社の経営感覚が、頭の古いほろよいには理解できません。
登録したファックス番号に、機械が自動的に決められた広告の原稿を送りつけるわけですから、広告主は人件費が不要で、電話代だけで広告できるわけですから楽な方法だとは思います。
1.000回ファックスして、2.3件程度しか反応がなくとも、それでペイできるのでしょう。ある意味、合理的といえば合理的なのでしょうが。
でも、ほろよいはこの類のセールスファックスをしてきた会社には、(いくら商品やサービスがすばらしく、激安でも)絶対おつきあいしたくありません。
2003年09月03日(水) |
金紋本醸造のビン詰めでした。 |
朝から金紋本醸造のビン詰めでした。
きのう濾過作業を行ない古酒500リットルと新酒1200リットルほどをブレンドして17.9%の原酒をつくり、15.8%に割り水しておいたものを、小林君と早藤君と3人がかりで、お昼までかかって1.8リットルビンで1100本ほどビン詰めしました。
まだまだ残暑がきびしいですが早朝はけっこう冷え込み、布団にもぐりこまないと風邪をひいてしまいそうです。
これから釣瓶落としに気温も下がっていき、日本酒のお燗が恋しい季節となってくれることを祈りつつ、ちょっと多めにビン詰めしました。
新酒が半分以上入っていて、味の変わりがどの程度かちょっと心配なので、ビン詰めしたお酒のなかから1本抜き出し、利き酒をかね、いっぱい呑みながら日記を書いています。
どうやら、バッチリの濾過とブレンドでした。次から次へと杯が進んでいきます。今日は4合は呑めそうです。
金紋本醸造(他社の上撰クラス)の原酒を、貯蔵タンク1本分(6600リットルほど)ろ過しました。
これまで去年のお酒(平成13年12月から14年3月に造った酒)をビン詰めしていたのですが、ようやく在庫が切れ、今年のお酒(平成14年12月から15年3月に造った酒)に手をつけることができました。
しぼりたての時期からひと夏すぎ、貯蔵タンクで6ヶ月余り(常温)熟成していますので、まあまあ落ち着いた感じの原酒になっていたのですが、若干、若さが残り、荒荒しさも感じられましたので、1000リットルあたり70グラムほどの活性炭を使い、落ち着いた感じの原酒に仕上げました。
いつもは春の需要期間が終わる6月位にに新酒に手をつけるような製造計画を立てるのですが、レギュラー酒の販売量がここ数年漸減しているので、予定より3ヶ月ほど遅れています。
去年の古酒の半端が500リットルあまり残っており、それに本日ろ過した新酒を1200リットルまぜて明日ビン詰めの予定です。これを合酒(あいしゅ)といい、古酒から新酒に切り替えるときに、急激な味の変化がおこらないようにする配慮です。
残り5400リットルほどは、ろ過済みの原酒をいれるタンクに貯蔵しなおし、これから何回かにわけてビン詰めします。
古酒から新酒への切り替えは、どの蔵元さんでもあることなのですが、たまに「味がかわった」と電話してこられる愛飲家の方がおいでです。
事情をお話し納得していただくわけですが、味が変わったことがわかる位、続けて愛飲してもらっているお客様がいることは、まことにありがたいことだと感謝いたしております。
しかし蒸し暑い中、汗ずくになっての作業でほっこりしました(ろかの具合を確認するため、何回かきき酒をしながらの作業で、もちろん呑んじゃいないんですが、結構よっぱらってしまい、これもこたえます)。
今日は、お風呂に入ってはやめに寝ます。
隣町の蔵元さんの会長さんがお亡くなりになり、御葬式にいってきました。
県内では吟醸酒醸造のパイオニア的な存在で、すでに全国区の蔵元として評価の定まったお蔵なので、取引先や、同業者など多くの参列者がおいでになっていました。
12時からの告別式ということで、日が照りつけ残暑厳しい中での葬儀となったのですが、出棺の際、晴れた空からいきなりパラパラと雨が降ってまいりました。
強く降るわけでもなく、まるで死者を悼むような雨の降り方はまさに「涙雨」。 天が泣いているような風情でした。
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