この間の「新酒蔵出しの会」の打ち上げで話題になった話です。
こんなに、個性があって美味いお酒ができているのに「なぜ売れないのか」「なぜ高いと消費者さんから言われるのだろうか」という問題をつきつめて考えたとき、やはり2リットルで1000円を切るようなパック酒と同じ土俵で販売するのが一番問題があるのだろうということになりました。
ここはいっそのこと国税庁にお願いして「甲類清酒」と「乙類清酒」(A級とB級でもいいですよ)にテリトリーを分けてもらい、甲類では価格競争を、乙類では品質競争を追求した方が、消費者さんも目的に応じて買分けできていいのではないかという話が冗談半分で飛び出しました。
考えてみれば、ビール業界では知らないうちに「ビール」と「発泡酒(雑酒)」にテリトリーが2分されてしまっているのですから、あながち不可能な話ではないと思います。
甲類は「価格追求型」ですから、原材料を米、米麹、醸造アルコール、糖類、酸味料、グルタミン酸ナトリウムに限らず、現在酒税法では認められていないコンスターチなどを使用したり、液化プラントを駆使して製造原価低減に努力すればよいでしょうし、「品質追求型」の乙類では、少なくても本醸造規格以上の製造基準をキープして、より美味しい個性のあるお酒を追求すればよいのです。
そうしたほうが消費者さんもわかりやすいでしょう。
われわれは甘んじて「乙類」という呼称を頂戴いたしますので、「甲類清酒」の低価格訴求型の大メーカーの方々には、「米だけで造った甲類清酒」なんて変なものを造ったりして、我々にちょっかいを出さぬようお願いしたいものです。

賞味会終了後、みんなで記念写真
大津プリンスホテルの北野料理長が企画されている「知酒聞酒の会−第3回新酒蔵出し賞味会」がありました。
ホテル側よりは和洋折衷のコース料理、近江銘酒蔵元の会よりは、19の蔵から新酒を中心に57種類171本のお酒が提供されるという、まことにゴージャスな賞味会でした。
ほろよいは蔵元の会の会長なので、乾杯のスピーチやら、きき酒クイズの当選者読み上げ係をやりながら、参加していただいたお客様に御挨拶をしたり、自分のところのお酒を宣伝したりしていたので、他の蔵の新酒や御馳走がほとんど味わえず、まことに残念でした。
滋賀の地酒のファンで顔見知りの方も大勢おいでになり、久しぶりで皆さんから元気を頂戴いたしました。
会が終わったあと、浜大津の「串屋敷」で打ち上げをして(あいかわらずよくはやっているねえここは)、大津プリンスホテルの駐車場で仮眠(部屋がとれなかったんだよう)、早朝4時に目がさめ、5時すぎの帰宅と相成った次第。
2004年03月11日(木) |
今津酒造組合 新酒きき酒会 |

本酒造年度の仕込みの総決算となる「きき酒会」がひらかれました。
このきき酒会は、取引先や消費者さんを対象としたものではなく、あくまで蔵元が新酒を持ち寄って、相互にきき酒して批評し合うという「勉強会」です。
ほろよいの「竹生嶋」のほかに、「琵琶の長寿」「松の花」「不老泉」「萩乃露」という今津酒造組合のメンバー、そして大津酒造組合の「浪乃音」「浅茅生(あさじお)」の2蔵も加わり、にぎやかなきき酒会となりました。
それぞれ競争相手ではありますが、そこは小さな蔵元ばかり、お互いの酒を批評しあって意見交換が会場のあちらこちらで行なわれました。
広島の「鑑評会」向けのプンプンした大吟醸やら、旨みのある純米酒など、それぞれ個性のある新酒ばかりで、なぜこんなに美味しいお酒が売れないのか、不思議でたまりません。
ほろよいも油断していると、すぐに他の蔵元さんに追い抜かされそうで、気が引き締まりました。
3月も中旬に入ろうとしているのに、少し気だるくて、気持ちが晴れないほろよいです。
今年は楽だなあと思っていたスギ花粉も、今日の春一番?の暖かい風に乗って、鼻の粘膜までたどりつきました。
まだ本格的なアレルギー反応ではありませんが、ムズムズと痒くて、くしゃみの連発がはじまりました(明日は今津酒造組合の新酒きき酒会なのに)。
涙目や、くしゃみは、まだ我慢できますが、体がだるくなってきて、気分が「鬱」状態になってくるのが一番いけません。
大酒を呑んで、向かうところ敵なしの「騒」状態を100とすれば、今の状態は20くらいで、覇気というものがムラムラと湧いて来ません。何をするにもエイヤッと心の中で掛け声をかけないと行動にうつせません。
どんどん新酒を売りに歩かねばならないのに、気ばかりあせって作業が進まず、空回りするばかり。3月の販売実績も今一つだし、蔵人さんのお給料も払わねばならないし、イヤになっちゃいます。
こんなときは無理にでも外に出かけて、皆さんのエネルギーを分けてもらうのが一番です。難しい顔をした大男がおじゃました折は、せいぜい景気のよいお話を聞かせてやってください。

きのうから一時的に冬型の気圧配置になって、今朝は海津の湖畔も少し雪化粧をしました。
暖かかったり、冷え込んだりしてだんだん春に近づいていくのでしょうね。
今日は「辛口純米生原酒」をまとめてビン詰めしました。蔵においていたお酒の温度はまだ6度と低く、生酒の味も比較的安定していますが、これからどんどん暖かくなると、変化しやすくなってきます。
これからは時間との勝負で、生で囲うものは、早め早めにビン詰めして冷蔵庫に納めていかねばなりません。
ぼんやりしているとすぐに春の需要期になり、販売やらいろんなイベントにかりだされ、思いどおりに作業ができなくなります。とはいえ人は増やせないし、悩み多き専務です。

いよいよ機は熟し、兵庫山田錦(精米歩合40%)純米大吟醸の、吊るし絞りを行ないました。
昼前から30分ほどかかって吊るしを行ない、1500リットルのタンクに酒袋で40袋ほど吊るし、夕方までかかって斗ビンで4本(80リットル)取れました。
協会1401酵母のモロミなので、ギンギラギンの香りではなく、おだやかで上品な香りで、味わいは透明感がありキレもなかなかです。
3度の冷蔵庫で1週間ほど斗ビンのままで置いておくと、白濁したオリが底に沈殿し、味わいも乗ってきます。
オリに絡ませた期間は、出品酒の最後の調整の時期で、オリ離しは早過ぎても遅過ぎてもいけません。
全国入賞向けの香りの高い酵母を使っていませんので、品評会向けではありませんが、飲むには美味いお酒になりそうです。
ほろよいの蔵の給料日でした。
今は正社員の2名の他に蔵人さんが3人おられるので、支払いをすませると会社の銀行預金の残高がみるみる減ってしまいます。
それに2月末は、12月分の酒税を支払う期日になっていますので、これまた平均月の 2.5倍から3倍近く支払わねばなりません
酒税は、消費税と同じく間接税ですからお酒を販売した先から酒税をお預かりしているはずなのですが、どうしたことかあまり残っちゃいないんです。
仕込み中は、なんやらかんやら出費が多く、節約しているつもりでも、あまりお金が残ってくれません。
3月末から5月のゴールデンウイークまでが、春の需要期で、ここでもうひとかせぎしないと大変です。のんびり専務もそろそろネジを巻きなおさねばなりません。
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