海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2004年09月19日(日) ドキッとしたこと

ほろよいが毎日チェックしている溜池通信という日記があります。

筆者はアメリカの現代政治が御専門の吉崎さんという日商岩井の商社マンで、今は米国大統領選挙についての分析が多いのですが、広く日本経済なども守備範囲で、ユーモアーのある語り口で読ませてくれます。

9月13日の日記のこの一節「お馴染みさんを大事にしていたら、新しいお客が来なくなる」に、ほろよいはドキッさせられました。

馬券の投票方法やテレビゲームの操作の複雑化、パチンコのリスク(コスト)の拡大を例にあげ、吉崎氏は「どんな業界でも、新しい客を開拓することを忘れてはならない。言い換えると、初心者が入って来やすいような仕組みを作っておく必要がある。」と論じておられます。

日本酒の業界も、日本酒度とか酸度とか精米歩合などなどテクニカルタームが飛びかい、マニアが新潟酒だ、静岡酒だ、酵母はなんだ、アルコール添加はいかん純米酒でなければなどと言いつのっている現状は、初心者に対して妙な参入障壁をつくっていると感じられてなりません(テクニカルタームやスペックを不要だと言っているのではありませんので誤解なきよう)。

ほろよいの店でも、入店したもののお酒の選び方がわからず困った顔をしているお客様をたまにおみかけします。お酒の説明やおいしい飲み方についてはそれなりにプライスカードに書いているのですが、納得してお買い上げいただくためには「どんなお酒がお好みですか」とか「おみやげですか」などと話しかけ、会話をやりとりする中で、お客様が求めておられるお酒をみつけてさしあげることが必要だと痛感しています。

まるでひと昔前のワインのように、初心者さんが「日本酒を呑んでみたいのだけれどよくわからない」とか「日本酒を注文するのがこわい」と思ってしまうようでは、この業界の未来はないように思います。

●米国現代政治を中心に展開するdiaryの他に、週に1度のreportも出色、商社を辞め海外を放浪している御友人の旅日記を連載しているjourneyのコーナーも楽しく読ませてくれますので御一読のほど。



2004年09月08日(水) 昼遊び



↑これは夜ではなくて、お昼の光景です

池波正太郎の「鬼平犯科帳」は、しっとりとした語り口で展開する捕り物劇に、巧みに江戸の風物やグルメが織り込まれていて、お江戸愛好家ほろよいの愛読書のひとつです。

主人公である、火付盗賊改長官、長谷川平蔵の部下に、風貌が「うさぎ饅頭に似ていることから兎忠とよばれている、木村忠吾という若い同心がいるのですが、剣も達者で、盗賊を追い詰めていく平蔵や同僚たちの中で、食いしん坊で遊び好きな彼は、非番の日に「真昼間っから、お白粉くさいのを思いっきり……ううっ、たまらぬ。」などと怪しからぬことを考えながら遊女の元へ向かいます。

そんな、けだるく怠惰な1日をほろよいは味わってまいりました。

「マキノ酒友会」という町内酒販店さんの親睦団体があって、今日は久しぶりの日帰り旅行でした。

跳梁跋扈する量販店や酒DSのおかげで、地元の酒屋さんたちも売上を思っきり減らしていて、1泊旅行どころか日帰り旅行も相談がまとまらないほど結束力が低下していますが(遊びってやつは、忙しいなかで時間をやりくりして出かけるのが楽しいものなのです)、なんとかマキノ町の酒販店さんたちは結束を保っています。

朝9時前に迎えのバスがきて、会長さんのあいさつが終わったとたんに、ビールやら酒カップの栓を開けて乾杯、いつものように朝酒を飲みながら、北陸の温泉地「粟津」に突撃です。

ゆっくり温泉に入って、昼食が二の膳付の大ごちそう!思い切り酒を呑んで、仲居さんをからかって楽しいひとときとなりました(アーなんてオレは怠惰なんだ)。

いつまでこんなことができるのか心もとないのですが、地元の蔵元としてできる限り地元の酒販店さんを応援していきたいと思った一日でした。



2004年09月07日(火) 台風18号




強くて大型の台風18号のおかげで、朝から琵琶湖は大荒れです。

山口や北九州では船が座礁したり、車が横倒しになっているようですが、琵琶湖の今日の波は、ほろよいもあまり見たことがありません。

台風が昼間最接近するのは久しぶりで、雨もほとんど降らなかったので、琵琶湖の荒れる様子がよくわかります。

御近所の皆さんも仕事の手を休めては、琵琶湖の様子をながめておられました。

琵琶湖岸側のほろよいの蔵の敷地には、樹齢200年以上というケヤキの大木があり、近頃、樹勢が弱り気味で、けっこう太めの枝(直径10センチ以上)が、何本か枯れてしまっています。

これが落ちて屋根を直撃しないかと、ヒヤヒヤしながら台風をやりすごした1日でした。



2004年09月04日(土) 今森カード



御存知の方も多いと思いますが、今森光彦さんは琵琶湖周辺の里山の小さな自然を題材にしている写真家です。

その作品のいくつかはポストカードとして販売しておられ、手軽に入手することができます(このあたりではマキノピックランドで販売しています)。

作品を1枚1枚みていると、地元の人間にとって見なれた風景や小動物、自然と人間の営みを、もっとも輝いた瞬間にフィルムに焼き付けるすばらしい才能を持っておいでだなあと羨ましく思ってしまいます。

(技術的な話は別にして)ほろよいがホームページに載せる写真もそうですが、こういう写真は取ろうと思ってとれるものはありません。その地に愛着をもち、使命感をもって何度もその地を訪れる中で、僥倖ともいうべきシャッターチャンスに出会えるものだと思います(1年をマキノに過ごすほろよいも、ああ、今カメラをもっていたらという場面が年に何度あることか)。

「こんな恵まれたところでお酒を造っているんですよ」という思いをこめて、もう1年ばかり(カードが品切れになったときは一時中断しましたが)、吉田酒造の通販で3000円以上御注文いただいた方には、請求書に同封する形をとって今森カードをプレゼントしています。

「竹生嶋を注文したら、もれなく今森カードプレゼント」などと大々的に宣伝はしていませんが、けっこう評判で、楽しみにしておられる方もでてきました。

今後も吉田酒造の裏サービスとして続けていきたいと思っています。



2004年09月03日(金) 健ちゃん逝く

ほろよいの親戚、田中健二さんが65歳で亡くなり、今日お葬式でした。

農業と漁師を生業としておられるかたわらで、吉田酒造の蔵人として、人手の手薄な年は酒造りのお手伝いもしていただいた大切な人でした。

消防団に所属し副団長までつとめ上げ、西浜区の役員も歴任されて人望の厚い方でもありました。

漁師を長年やってこられましたので体は頑健で、お酒好き、酒量は軽くほろよい以上という人でしたが、数年前に体を壊されて、静養しながらできる範囲で家の仕事をしておられました。

それにしても人間80年という時代で、享年65歳とは若過ぎます。

ほろよいももう少し酒量をひかえ、健康には注意しなくては。



2004年08月28日(土) 栄とこ上海へ



本日は「栄とこ」の店主、谷口義忠さんの上海進出壮行会の日(いやはや今週は能登出張からはじまって、蔵元の会の総会やら、和魂洋才の会やら、肝臓を酷使する週間になってしまいました)。

店主の解説つきで竹生嶋のラインナップを何種類も飲ませてくれるお店が、マキノからなくなるのは残念なのですが、人生に何度もない大きな決断をして、上海行きを決めた谷口さんなのですから、ほろよいとしても出来るだけのことをしてあげたくて壮行会を企画させていただきました。

今日の谷口さんの料理はごちそうづくしで「鮒寿しの飯のともあえ、栄とこ風」や、ヘシコなど、酒飲みには堪えられない逸品がならびました。お客としておいでになった方の「手製のお豆腐」や「アジの干物」など差し入れがあり、ほろよいの蔵から提供した大吟醸、純米大吟醸のシリーズも好評で、和気あいあいで会は進行しました。

谷口さんには、せっかく食の本場中国においでになるのですから、お寿司だけではなく、中国の食材をいかした料理なども研究いただいて、新しい境地を切り開いていただきたいと思います。

大酔したほろよいはいつの間にやら眠ってしまい、深夜12時すぎまで、栄とこさんのお座敷でイビキをかいておりました。

最後の最後まで御迷惑おかけしました。



2004年08月27日(金) 和魂洋才の会




きのう、総会終了後の懇親会を抜け、畑大治郎君と合流して大阪中ノ島のリーガロイヤルホテルへ、チーフソムリエの岡昌治さんが企画し、近畿清酒青年協議会が協賛する「和魂洋才の会」に3度目の参加です。

ほろよいのスケジュール管理が悪く、蔵元の会総会とバッティングさせてしまったため、懇親会の音頭取りを喜楽長の喜多社長に無理を言ってお願いしたら「吉田君こりゃあ高くつくよ」とニヤリと笑われてしまいました(さすが滋賀県若手醸造家の旗手ですなあ、貫禄がちがいます)。

ほろよいの蔵からは「辛口純米生原酒」「花嵐 生原酒」、畑君の蔵からは「大治郎 純米吟醸」と「大治郎 吟醸」が提供され、岡さんが事前にきき酒の上、料理といっしょにサービスされていきます。

いつもは純粋なフランス料理のコースなのですが、今回は食材を魚にこだわられ、和食の「鯛のカマの塩焼き」が最初に出て来て、そのあとフランス料理に転じ「サバのマリネ」、メインは蟹を素材にした料理がでてきました(いつもはメニューを記念にもらってくるのですが、今回にかぎって忘れてしまい正確な料理名が御紹介できないのが残念)。

魚料理とはいえ、リーガロイヤルの料理ですから、食材のレベルがちがいますし、味わい盛り付けともゴージャスです。これに地酒が4種類ついて、大阪ソムリエ界のドン岡さんと蔵元さんのお話が聞けて12.000円ならお徳だとほろよいは思いました。

こういうお酒の席にたびたび参加していると、お酒についてはもちろん、料理とか酒器とか、お酒についてまわる周辺の話題について、お客様とお喋りできることが大切だと痛感させられます。

主人役の岡さんは当然、ゲストとして招かれているわれわれ蔵元も、お金を払って参加しているお客様に、楽しい時間を提供する大切な仕事があると思うのです。

口八丁手八丁のほろよいは、「花嵐」のネーミングについてお話しする中で、今年の「花嵐の下で花嵐を飲む会」のエピソードに触れますと、お客様たちは身を乗り出してこられ、「来年は大崎の桜を見ながら『和魂洋才の会』をやってみたいねえ」なんてえ発言も飛び出し、みなさんニコニコでお帰りになりました。




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