海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2004年11月29日(月) 第8日目/軽快に泡がはじけてます



8日目ともなるとモロミの流動性がまして、シャバシャバした感じになってきます。

アルコール発酵は旺盛になり、炭酸ガスの発生も増加して、軽快で小さな泡が次から次へと現れ、パチパチパチとはじけて消えていきます。

深夜、見回りに行くと、シンと静まり返った蔵の中で、仕込み第1号のタンクから、おおぜいの酵母たちのささやきが聞こえてくるようです。



2004年11月26日(金) 長駆620キロ



↑間嶋さんの山田錦を積みこむ吉田さん。ハデな青いリボンを印刷した米袋が兵庫山田錦のトレードマークです。

いつも大吟醸の仕込みに使わせていただいている、兵庫県中町の栽培家、間嶋さんの山田錦をいただきに行き、その足で福井県の精米工場まで持ち込んできました。

すでに仕込みがはじまり、けっこう仕事がたまっているのですが(まだ年末ギフトの作成がやりかけたままになってます)、今年は一度も兵庫にでかけていませんし、持ち込む精米工場も今回はじめてお願いするところなので思い切って1日さいて行ってきました。

6時半にマキノを出発、京都東インターで名神に入ったまでよかったですが、集中工事で中国道の宝塚付近で15キロの渋滞、通過に90分との表示が入り、阪神高速で神戸まで出て六甲トンネルをぬけて吉川にぬけ、中国道にのって社インターから中町をめざしました(結局、阪神高速も渋滞していたのでそんなに時間はかわらなかったのですが)。

予定より30分遅れで、中町に到着、間嶋さんとの仲介をしていただいている吉田さん(なんと中町牧野にすむ吉田さんで奇妙な一致ですなあ)と今年の作柄についてお聞きしました。

今年はやはり連続して上陸した台風の影響で作柄が悪く、品質のよいものはとれなかったようで、ある農協が集荷した山田錦約1000俵のうち、1等になったのは100俵以下という状況だったそうです。

経済連を通して、あらかじめ滋賀県酒造組合連合会が申し込んでいた兵庫産山田錦も、事前に申し込みしておいた量の4分の3程度しかこないようで、凶作の程度がよくわかります。

自宅にたまたまおいでになった栽培者の間嶋さんとも、少しの間でしたがお話ができ、「来年は10月はじめに、山田錦の穂が重くたれているところを、ぜひ見にきてください」とありがたいお言葉をいただきました。

交歓のあとちょうどお昼に中町を出発、舞鶴自動道で日本海に出て小浜まで行き、敦賀に出て北陸道を一路福井へ、福井北インターから福井市内の福井パールライス精米工場に山田錦を持ち込みました。

ここでは精米機の設備も最新で、福井以外に滋賀や京都の蔵元さんも精米を委託しています。工場長も以前は精米杜氏(精米専門の杜氏さん)を御経験で頼りになりそうな方でした、出来上がった精米がたのしみです。

やっとこマキノに帰ってきたのは6時すぎ、本日の全走行距離は620キロでありました。ハーしんど。




2004年11月23日(火) 第2日目/泡がでてきました



↑蒸米の中から出てくる粘性の高い泡

きのうの朝、留仕込みを終えたあと、蒸し米は仕込み水を吸って膨れ上がり、タンクの中は「おかゆ状」になってしまいました。

留の当日は泡はでてきませんが、2日目くらいからモロミの表面のあちこちから泡がでてきます。

これは麹が蒸米を糖化し流動性を増したところに、糖化されてできたブドウ糖を酵母が食べて、エチルアルコールと炭酸ガスを生産するからです。

ドロドロの甘酒の中で、発生してくる炭酸ガスが泡をつくるわけです。

粘性が高い初期のモロミでは大きい泡ができ「ブクッブクッ」といったはじけ方をしていますが、次第に糖化がすすみ粘性がなくなってきますと小さな泡になってきて「プチプチプチ」とすぐにはじけてしまいます。

昔の蔵人さんは、表面の泡の状態(われわれは「状貌(じょうぼう)」と呼んでいます)で、発酵の経過や状態を把握しておられました。



2004年11月22日(月) 留仕込/今日で1本仕込み終わります。



↑蒸し米を掘る吉田酒造の若手2名、小林君と青木君です。さすがに留の蒸米を掘り終えると汗ダクです。

仕込1号の留(とめ)の日、今日の仕込量は520kgです。これは全仕込み量の40%強にあたります。

留の日を第1日目として数え、普通酒や本醸造酒で20日目くらいで絞ります。それより低温で発酵させる純米や吟醸クラスで30日くらい、大吟醸だと40日以上かける蔵元さんがおられます。

皆様お待ちかねの「初しぼり」の上槽(じょうそう/お酒をしぼること)は発酵期間が20日として12月11日。今年も暖冬であったかいでしょうから、もう1〜2日はやくなるかもしれません。

1本終えたとはいえ、今年の仕込みは全部で19本。まだまだ先は長いです。



2004年11月21日(日) 仲仕込/いよいよ仕込みの規模が増えてきます



↑放冷機からながながと伸びたシューターのホース。仕込みタンクまで続いています。

踊りで充分に酵母が増殖したのを受け、仲仕込みにはいります。

今日の仕込み量は330kgで、蒸すコシキも大きいほうを使わねばなりません。

蒸したお米のタンクへの運搬方法なのですが、よく桶で担いで運ぶシーンがテレビで出ますが、それで330kgも運ぶとヘトヘトになってしまいます。

うちでは写真のような太いホースにファンで強力な空気の流れをつくり、蒸し上がって放冷機で所定の温度まで冷やした蒸米を、タンクまで吹き飛ばすという方法をとっています。

ファンの騒音がタマにキズですが、省力化にはかかせない道具です。



2004年11月20日(土) 踊/文字通り踊ってます



↑踊の日の様子。小さな泡がプチプチはじけてます。

きのうの添仕込みによって酵母の密度は約3倍に希釈されたため、酵母の増殖をはかるために2日目は仕込みをお休みします。

これを踊(おどり)といい、いかにも元気に酵母が活動している感じをうけませんか?昔の人の言葉の感覚というのはすばらしいものですねえ。



2004年11月19日(金) 初添(はつぞえ)/いよいよ本仕込み!



↑放冷機(蒸し米を所定の温度まで冷やす機械)のホッパーに入った蒸し米

今日は第1号醪(もろみ)の添仕込みでした。

日本酒の仕込みは1日で行なうのではなく、添、仲、留と3日に分けて行ないます。

これはなぜかといいますと、一度に全部仕込んでしまうと、酒母で大量に培養した酵母が極端に希釈されて、雑菌が繁殖しやすい環境ができてしまうからです。

多少の雑菌が混入しても大丈夫なように、常に圧倒的に酵母の数が多い環境を維持しながら仕込んでいかねばなりません。

昔の人は、仕込みを3回に分け、徐々に仕込みの量を増やしていく方法をあみだしました。これが3段仕込みで、順に添(そえ)、仲(なか)、留(とめ)と呼んでいます。

その仕込みの量は、今仕込んでいる第1号醪の場合、総米(全仕込量)1220kgで、
酒母85kg、添175kg、仲330kg、留520kgとなります(残り110kgは、絞る直前にこれで甘酒をつくって醪に添加し、味の調整を行なうために使います。これを4番目の仕込みという意味で四段といいます)。

今日は第1号の添仕込みの日で「初添」といい、造り酒屋の節目の日になります。夕飯は少しごちそうになって、お祝いのお酒を飲み交わします(毎日のんでるんですけどね)。





 < 過去  目次  未来 >


ほろよい [HOMEPAGE]

My追加