東(ひんがし)の野にかぎろいのたつ見えて
かえりみすれば月かたぶきぬ (柿本人麻呂)
あけましておめでとうございます。
「早起きは三文の得」とはよくいったもので、お正月早々心洗われるものを見ることができました。
夜明け前の極寒と漆黒の闇を通り抜ければ、白々と夜があけはじめ、陽がささないまでも、若き情熱と希望の「赤」が東の空に満ち満ちています。
まさに、わが日本酒の業界を象徴するかのようなシーンでした。
ほろよいも心機一転、本年は猪のように猛進いたしますので、竹生島ファンの皆様の御支援をこころよりお願いいたします。
やっと海津にも桜前線がやってきました。
数日来の雨降りの影響で水蒸気が充満し、モヤたちこめる中で清水(しょうず)の桜が咲き始めています。
アマチュアカメラマンの皆さんは「お墓の中の桜ではねえ」とケチをつける人がいるのですが、ほろよいはそれがすばらしいのだと思います。自分たちの先祖を毎年見守るように咲く狂おしいほどに妖艶なピンクの炎。なんだかゾクゾクしませんか。
桜の真下の特等席には太平洋戦争で出征し、故郷の海津を思いつつ、心ならずも外地で果てた方々が眠っておられます(残酷な話ですが、墓石も大量生産の規格品で、砲弾型のお墓まであるのです)。
海津大崎のあっけらかんとしたソメイヨシノとは違い、清水の桜は情念のこもった重々しさを感じてしまいます。
2006年03月03日(金) |
ひなまつり・近江地酒バージョン |
おひなまつりではございませんが、年末から発売開始した「近江銘酒蔵元の会・加盟20蔵元地酒全部入りセット」を雛壇かざりにしてみました。
ダンボール箱に入れてそっけなく販売するより、インパクトがあってイイジャン!てな感じです。
それぞれのボトルにそれぞれの蔵元の歴史や思いがをつまったお酒が入っているかと思うと、なんだか贅沢で幸せな気分になるじゃありませんか。
まだ少し在庫がありますので、よろしければお買い求めください。
300ml詰め20蔵元セットが9.240円、180ml詰め20蔵元セットが5.250円です(いずれも税込み)。地方発送もうけたまわります(送料は関西740円、関東840円が目安です)。
2006年03月02日(木) |
センムは頭をかかえた・・・・・ |
センムは頭を抱えた・・・・・・・
田口トモロヲのナレーションがはいりそうなシーンです。
大吟醸の吊るし粕を商品化しようと思い、500gの袋入りをつめてシールをし密閉したのはいいのですが、冷蔵庫に入れても翌朝にはごらんのようなありさまです。
まだまだ絞りきれていないベトベトの大吟醸粕ですから残存している酵母も元気元気!旺盛に炭酸ガスを発生して袋がパンパンに膨れ上がりました。
吟醸吊るし粕おそるべし!(笑)。
袋詰してすぐに湯煎して90度くらいまで温度を上げ、酵母と酵素を失活させればいいのでしょうが、センムとしてはフレッシュな「生」の状態でお手元にとどけたいと思うのです。
これはやはり通気させる工夫が必要ですね。
香りがよくて、キメ細かく、酒粕ファン羨望の大吟醸吊るし粕。近々販売開始いたします。
↑海津のはずれにいたニホンカモシカ。弱っているのか人が来ても逃げずにじっとしておりました。
花札の役のようですが、マキノ獣害御三家です。
この冬は特に鹿がたくさん出没し、先日の吹雪の日に国道ぞいに数匹目撃しましたし、マキノピックランドは年末からサファリワールド状態です。
今朝起きると、わが家の前の湖岸にはシカの足跡が点々としており、海津のはずれで衰弱気味のカモシカにでくわしました。
お昼前に湖岸沿いに車を走らせているとマキノサル軍団の御登場!
本日、ほろよいの周辺は「野生の王国」状態でありました。
↓おさるはマキノの獣害の定番です
2006年02月03日(金) |
早々と甑(こしき)倒し |
↑今期最後の蒸しの様子を見る西尾杜氏。これでようやくひと区切りです。
仕込19号、純米大吟醸「花嵐」2本目の留仕込を終え、甑が倒れました。
もう倉庫には原料米がひと袋も残っていません。
ほろよいの蔵の場合、12月半ばに「初しぼり」を出荷するため仕込みに取り掛かるのが比較的早めなのと、金紋や銀紋といったレギュラー酒が不振で今年2本仕込みを減らしたので、はやばやと甑倒しになったわけです。
仕込んでいるときは「あ〜しんど、早く終わらんかな」と思うばかりですが、仕込みが終わってしまうとなにやら寂しいものです。
もう1週間もすれば「吟花」の上槽、下旬には「雪花」や「花嵐」の上槽があって、まだまだ気がぬけませんが、まあ一区切りです。
久しぶりに大酒を呑んで、カラオケ好きの杜氏と「加藤隼戦闘隊」といきましょうか!
↓2日目(2月4日)の仕込19号「花嵐」のもろみの様子。絞るのは一ヶ月先です。
↑おとつい「留仕込」を終えた「純米吟醸/雪花」の醪。しっかり蒸米を締めたのでごはんの姿が残っていますが、K1401酵母君の活躍で発酵が始まり炭酸ガスによる泡がみられます。
↑こちらは昨日「添仕込」を終えた「大吟醸」の醪。明日の「仲仕込」に備え、今日は一日仕込みを休んで酵母の増殖をはかる「踊(おどり)」の状態です。泡がさかんに出ているのは酵母が元気な証拠。がんばってフィーバーしてください。
吟醸仕込みもいよいよ佳境、蔵の中には仕込みを終えた直後のもの、仕込み途中のもの、発酵の中期にはいっているものもあって、いろんなお顔をしています。
吟醸酒は1ヶ月前後の長期低温発酵に絶えるため、普通酒にくらべると蒸米を硬く締めますので、仕込み直後は米の姿がけっこうそのまま残っています。
これを糖化力の強い吟醸麹がじわじわと液化し、糖化してブドウ糖を造り、吟醸酵母が食べてアルコールと炭酸ガスを生産する中で、醪(もろみ)は流動性を増し、おかゆ状態から、おもゆ状態となり次第にお酒としての成分がととのってきます。
夜見廻りをしていると、シーンと静まり返った蔵の中で、あちらこちらのタンクから「ピチピチピチ」と炭酸ガスの泡がはじける小さな音が聞こえてきます。
御先祖様はなんとすばらしい家業をはじめられたのかとうれしくなっちゃいます。
↓こちらは年明け早々に仕込んだ「純米吟醸/吟花」の醪、16日目です。いまさかんにアルコールを生産中です。絞るのは2月上旬の予定。
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