ケイケイの映画日記
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2025年02月28日(金) 「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」




面白い!面白過ぎ!武侠ではない、カンフーアクションの作品を観たのは、何時以来だっけ?やっぱカンフーは香港だよ、本家本元だよ!と、興奮しまくった125分です。監督はソイ・チェン。

1980年代の香港。密入国してきたチャン(レイモンド・ラウ)は、身分証欲しさに、賭けの格闘技に出場。優勝するも、黒社会の大ボス(サモ・ハン・キンポ―)と諍いを起こし、大ボスも手出しできない九龍城に逃げ込みます。そこで九龍城を統治するロン(ルイス・クー)や、右腕であるソンヤッ(テレンス・ラウ)、闇医者のセイジャ(ジャーマン・チョン)、サップィー(トニ―・ウー)と出会い、九龍城の中で、確かな居場所を見つけ出すのですが・・・。

劇中2/3は、あの技この技、キレキレのカンフーアクションの嵐です。香港の男性は、みんなカンフー出来るのか信じていた、大昔を思い出しました(笑)。そしてゴリゴリのワイヤーアクション。香港の男性は、ビルから落ちても窓ガラスけ破っても、死なないし、かすり傷くらいなんだと信じていた、大昔を思い出します(笑)。素晴らしい馳走感と躍動感です。久しぶりに観たので、アクションで感動しちゃった。

こうなると、ドラマなんかどうでも良くなるんですが、これがなかなかの塩梅で熱いのですね。無法者や訳アリの人ばかりが住み着く九龍城。麻薬や犯罪が蔓延り、魔窟のようです。しかしスラムはスラムなりに、秩序を保ち、配慮するロン。彼も黒社会の人間のはずが、聖職者のように見える。

「ここで初めてぐっすり眠れるようになった」というチャンに、「それはここだからではなく、初めて人間らしい暮しをしているからではないか?」と答えるロン。底辺は底辺なりの、心豊かさを感じます。

今は亡き九龍城は、香港では恥部であり暗部であったはず。水は低きに流れ、その低い湿った場所でしか、生きられない人々もいるはず。この巨大な要塞のような廃墟のような魔窟は、そうした貧しき人々にも、生きる場所を与えていたんだと、この作品では描いています。眼差しが暖かい。そこへ、九龍城への、貧しき人々への敬意と郷愁を感じ、この作品を優れたアクションだけではない、奥行きを与えています。

ルイス・クーが、惚れ惚れするような渋さです。侠客って、こういう事だわねー。人格高く人望も厚く、これも大昔の日本の任侠映画に見かけたキャラです。

レイモンド・ラウも、坊主頭が良く似合い、実年齢が40代半ばには見えない若々しさで、ソンヤッたち三人と、堅い友情を結ぶ姿など、実直で清々しいチャンを好演しています。

そしてサモ・ハン!始まってすぐ出て来て、あっ、悪役だーと、ニヤニヤしてしまった(笑)。「仁義なき戦い」の金子信雄みたいな食えない親父で、相当悪党なのに、超絶チャーミング。少しですが、往年の実力を見せるカンフーシーンもあります。型のキレなんて本当に流石で、そんじょそこらの爺さんとは、別物の風格でした。

とにかくこの感激は、何をどう書いても伝わらん。大好評で、あちこち地方も公開予定みたいなので、是非ご覧ください!


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