無責任賛歌
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2002年06月05日(水) |
人間失格かな、やっぱ/『『鉄人28号』大研究』(飯城勇三)/『ちょびっツ』3・4・5巻(CLAMP) |
わはは。ウチのガスが止まっちまったい(^_^;)。 いや、事故でもなんでもなくて、単にガス料金滞納しただけだけど。 通帳にカネ入れ忘れていたと言い訳したって、ガスが改めて出るわけでもない。入れる予定のカネ、しげの治療代でン万円吹っ飛んじまったのが予定外の出費。これが響いた。でも、DVDを買うのを一枚諦めればすんでた話なので、これはやはり無計画の謗りを受けても仕方がない。みなさん、こんなだらしないオトナにはならないようにしましょう(笑いごっちゃないぞ)。
しげが怒り狂って、「なんで入れとかないんだよ!」と怒るが、悪いのは全面的に私なので反論のしようがない。 ムニャムニャ言いかけたが、ゴメンと謝る。謝るけれどしげは許す気配もないので、つい「お前も少しくらいウチにカネ入れてくれてればよう」とボソッと言ったもんだから、またしげの怒髪が天を突いた(墓穴掘り)。 ケガして仕事を随分休んでたんだから、しげだってカネはないのである。 慌ててまた底の浅い言い訳。 「でも、どうせもともと料理はほとんどしないし、水はポットで湧かせるし」 「湧かせてどうすんだよ! フロは!」 「お湯かぶるくらいはできるよ。一人暮らしのときはそうしてたし」 「どうやって!」 「洗面器にお湯入れて風呂場に持ってくんだよ。それを水で適度な温度にしてかぶるの。これで充分カラダは洗える」 「……じゃあ、ガス代払わん気やね!」 「いや、そうじゃないよ。明日払うよ」 「払わんでもアンタは平気っちゃろ!? だったら払わんどけばいいやん! そうすればこれ以上、ガス代引かれなくてすむし!」 「おお、なるほど!」 いや、なるほどじゃないというのは判ってんだが、実際、ウチじゃ風呂以外でガス使うことってほとんどないんだよな。これは意外と節約になるかも……って、だからDVD買うのやめろって(-_-;)。 私のヒトコトが地雷を踏んだ結果になったらしく(当たり前だ)、しげはしきりと「リコン」を口にする。 「もう、リコンやん、アンタと暮らせんやん! オレ、車で暮らす!」 「お前がそういうならしょうがないなあ(←また地雷踏み)」 「別れたいんやね!?」 「そうじゃなくて、お前が俺と暮らせないって言うんならしかたないと」 「だから一緒にいたくないっちゃろ!?」 「別にお前がいたいならいればいいんで……(←またまた地雷踏み。気付けよバカ)」 「いつもそうやん! オレにだけ優しくせんやん!」 既に論点はガス代の話からどこか遠くへ行ってしまっていることにお気づきであろうか(^_^;)。しかし貧乏に悲惨さのカケラも感じられない(同情の余地がないとも言う)家庭であることだ。
しげがリンガーハットの「クッカー試験」とやらに合格。 つまりこれまでウェイトレスしかやってなかったのが、今度から料理人もやると言うことなのだ。 この試験、メニューの料理は一通りできねばならないと言うことなので、つまりチャンポンも皿うどんも炒飯も餃子も全部作れるようになったってことなんだな。 これはぜひ食べてみたいと、晩飯はリンガー。 皿うどんに一口餃子を頼むが、後で聞いたら、このときは料理を担当しなかったそうな。ガスが来てても料理をウチですることがないしげだから、せめて外でしげの手料理を食べたかったんだがなあ。
飯城勇三『『鉄人28号』大研究 操縦機(リモコン)の夢』(講談社ソフィアブックス・1785円)。 いわゆる「謎本」とは一線を画している立派な研究資料本。 原作の詳細な解説、単行本化による改訂(手塚治虫のそれが有名だが、横山さんもストーリーそのものを変えることが結構あったのだな)、実写テレビ版、三度のアニメ化の紹介もしっかり押さえてある。 ゲストの評論分析の類も充実していて、唐沢俊一・なをきご兄弟、菊地秀行、永井豪、米沢義博ほか各氏が健筆を振るう。 ちょっとかわいそうなのは、カラー版のテレビアニメ(『太陽の使者 鉄人28号』『超電動ロボ・鉄人28号FX』)の監督を務めた今沢哲夫のインタビューで、苦しい制作態勢やスポンサーの意向に振り回されていいものを作れなかった事情は分かるのだが、本文の解説でも横山光輝御大のインタビューでも「あれは最低だ」と言い切られている。 「正太郎が成長して結婚して子供がいて」という設定は、かつてモノクロ版の『鉄人』に親しんだ世代であれば、「ふざけんなバカ」とスタッフを殴り殺したくなるような噴飯物であったが、その最低な設定を案出したのが脚本の園田秀樹である。この一事をもって、たとえほかにどんなすばらしい脚本を書いていようとも(多分ないが)、「バカ」のヒトコトで括られることになるのだ。 たとえ時代が下ろうと、今に合わせるんじゃなくてあくまで当時の風俗で作るんでなきゃ意味がない。それができないなら『鉄人』をリメイクする意味自体がないのだ。 ……けれど、モノクロアニメ見てたころの私って、1歳だったんだなあ。 その頃の記憶、はっきり残ってるのも多いんだけど、それくらいテレビのインパクトって我々の世代にとっちゃすごく強かったんだなあ。
マンガ、CLAMP『ちょびっツ』3・4・5巻(講談社/KCキャラクターブックス・各1375円)。 初回限定版で、それぞれ、クリアファイルブック、システム手帳、六角パズル付き。フロク付きとは言え、ちとボッてないか。 うーむ、ただのロリコンエロマンガかと思ってたら、俄然面白くなってきたぞ。意外や意外。 『エンジェリックレイヤー』はテレビとの連動企画であったせいか、ダイジェストっていうよりテンからドラマになりきれてないウラミがあったが、今回は実にじっくりゆっくりと話を進めている。何しろ未だに「ちょびっツ」シリーズってのがどんなパソコンなんだか解らない(^_^;)。判ったのは「ちぃ」の本名(?)が「エルダ」ってことくらいだ。 「ちょびっツ」開発に関わったらしい管理人の日比谷さんが語る「あなた」とは誰なのか。 ちぃの記憶はなぜ封印されなければならなかったのか。 ちぃを探しているらしいディタとジーマもパソコンなのか。 謎の答えが出かかるたびに後から後から新たな謎も増えてるから、こんなん、あと何巻かければ全部説明し終われるんだろうかって心配になるが(『エヴァ』モドキになるなよ〜。ちぃも何となくアヤナミチルドレンだからなあ)。 こういう謎って、全部ただのマクガフィンで、もしかしたら作者もあまり細かい設定を考えてないのかもしれないけれど、「なぜパソコンが人型をしているのか」って謎の答えと関連はしているのだろうな。
機会と人間の関わりを考える、という命題は、もちろん『鉄腕アトム』以来の、あるいはアシモフの『われはロボット』ほかの諸作以来の、あるいはドイツ映画『メトロポリス』以来の、SFの正統的なモチーフである。 『X』にも『レイアース』にも、同人誌クサさ(イメージ先行でドラマがおざなりって意味ね)が強すぎて、今いちハマれなかったのだが、今回は何よりまず「語り口」のうまさに感心した。キャラクターが薄っぺらだった『エンジェリック』に比べても、一人一人に深みがある。 秀樹とちぃはもとより、新保と清水先生のカップルも本筋に直接関わらないまでもいい味出してる。 ウマイなあと膝を叩いたのは、「チロル」の店長の植田さんと、裕美ちゃんの関係だ。パソコンと結婚した過去のある店長、人がなぜパソコンに惹かれるのか理解できず極度にパソコンを(パソコンに感情移入する人間をも)敬遠する裕美。この命題、突き詰めて行けば当然「心とは何か?」というSF究極のテーマにも行きつく。 CLAMPマンガがそこまで描いたりするもんかい、とツッコミも入りそうだが、本に夢中になる動機は、なにより「予感」がすることにある。少なくとも、「面白くなりそうな」要素は目いっぱいぶちこんであるのだ。これは期待しちゃいますよ、やっぱし。 ……しかし、これをまたテレビアニメ化って、話が全然進んでないのに、どうやってるんだろうね。
2001年06月05日(火) 一日本しか読んでません/『サザエさんうちあけ話・似たもの一家』(長谷川町子)ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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