無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2005年08月17日(水) 危険が迫っていても手抜き/『GUNSMITH CATS BURST(ガンスミスキャッツ バースト)』1巻(園田健一)

 劇団のですね、あるメンバーのですね、掲示板にですね、書き込みがあったんですけどね、そこにこういう文句がありまして。
 「ヲタク名義に尽きます」
 いや、それは「冥利に尽きる」だっ!

 ※冥利(みょうり)に尽(つ)きる
 自分の立場や職業などによって受ける恩恵が、もったいないほどありがたい。「役者―」(旺文社 『旺文社国語辞典[第九版]』)
 
 「名義に尽きる」ってなんだよ、意味不明じゃないか。名前とか肩書きをたくさん持ってて、もう作りすぎてこれ以上は作れないってことか。「私はアニメオタクでマンガオタクで特撮オタクでアイドルオタクでゲームオタクでミリタリーオタクで乙女系で……」って、そういうことか。
 これがメンバー本人の文章だったらですね、私も遠慮なく突っ込むんですよ。でも、書いてらっしゃるのはそのメンバーのお友達の方。横から無関係な私が「言葉間違えてますよ」なんてとても言えるもんじゃない。
 気になるのは、その書き込みにレスを付けてるメンバーのコ、「それを言うなら『冥利』でしょー?」とか突っ込み入れるかと思ったら、全然してないのね。やっぱりお友達に遠慮してできなかったのか、それともそのコも言葉を知らなかったのか……? うう、気になる(本人に聞けよ)。
 ああ、一応その子のサイトにもリンク張ってますけど、誰のことかなーとか探さないであげてくださいね。
 

 先週の映画興行収入、一位はなんと、ドリームワークスのフルCGアニメ『マダガスカル』だった。ちょっとこれは驚きである。
 アニメ関係はとりあえず見たいことは見たいので、一応、しげに声をかけてはみたのだが、ニベもなかった。設定を聞く限り、「都会生活に慣れた動物たちが、マダガスカルで苦労する」って、「まんま『ジャングル大帝』じゃん!」と思っちゃったので、それほど興味が惹かれなかった。レオが実は都会育ちだってこと、もう忘れてる人も多くないかな。別に「動物もの」に拘らなきゃ、「都会人が田舎で苦労する」話なんていくらでもあるわけで、『おもひでぽろぽろ』のパクリだと言おうと思えば言えるのである。要するに新味というものがまるでない。
 更に言うなら、主人公の動物たちもマダガスカルの動物たちも、全部CGで擬人化されているわけである。それで「都会」のキャラと「自然」のキャラの絵的な違いが表現できるものかどうか? いろいろ疑問があったので、みんな気持ちは似たようなものだろう、たいしてヒットはしないんじゃないかと思っていたのだが、全然そんなことはなかったのだね。
 公開2日間の成績は、動員が24万人、興収が3億円。これは今年の3月の『シャーク・テイル』(興収20億円)を上回って、興収30億円も狙えそうな勢いだということである。
 そうかあ、『シュレック』『シュレック2』よりも上ってことは、やっぱり世間の親たちは毒のあるアニメよりもキレイゴトのアニメの方がお気に入りということなんだねえ。ますます私の趣味の映画ではなさそうな気配が濃厚で、どんどん興味はなくなりつつあるのだけれど、ヒットする作品をヒットしているという理由で毛嫌いするのはあまりに狭量というものである。一回、アタマをリセットして、見に行った方がいいカなあと思うのだが、それを言い出すとほかにも見たいアニメはあって、実は『ミュウと波導の勇者ルカリオ』も『NARUTO 大激突!幻の地底遺跡だってばよ』も『金色のガッシュベル!! メカバルカンの来襲』も見たいのである。でもさすがにコレを全部見るなんて言い出したら、しげがどれだけ怒り出すか見当もつかない。大半は諦めてテレビ放送を待つしかないのだが、民放が殆どだから見逃すこと多いんだよなあ。
 それにしても今夏のアニメは小粒なやつが多い。昨年の「大作」連発が印象的だったせいもあるが、「目玉」がないんだよなあ。予想通り『鋼の錬金術師』もはやばやとベストテン圏外に去ってしまった。『キネマ旬報』でも「中高生以外に広がりがない」と書かれてしまっているくらいで、やはり映画としての体裁を整えることをもうちょっと考えた方がよかったよなあと思う。


 宮城県沖地震の続報。
 天井板が落下した仙台市の「スポパーク松森」のプール、天井をつり下げる「つりボルト」に本来は横に渡しておかなければならなかった揺れ止め金具が殆ど付いていなかったことが国土交通省の調査で判明した。
 プールの建物自体も揺れやすい構造になっていたそうで、テレビの取材に設計技師が答えていたが、殆どマトモに喋ることができておらず、どうやら設計段階からの「手抜き」だったようである。
 国交省は芸予地震や十勝沖地震のときにも同様の事故があったとして、落下防止対策を取るよう、通知していたそうな。だとすれば、「スポパーク松森」はその通知を守っていなかったのか、忘れていたのか。どっちにしろ、地震が頻発していた地域ですら、対策が取られていなかった施設はあるという事実は変わらない。災害に対する意識の低さに、地域差はないようである。
 福岡でも、地質研究の結果、再び地震が発生する確率は高まったと報告されているのに、「これでもう福岡に地震は来ない」と思い込んでいる人間はやたら多いのだ。あるいは、「天災だから悩んだって仕方がない」という開き直りである。私の場合は、どっちかというと後者に近い。地震が起きても大丈夫な土地があるなら教えてもらいたいものだが、だからと言って引っ越すカネだってない。またこないだよりデカイ地震が来たら、落ちてくる本に押しつぶされて死ぬしかないのだ。助かれば「ああ運がよかった」と思うだけである。
 しかし、何度も言うように、個人はそれで構わなくても、行政が「天災だから仕方ないっスね」で済ましちゃ、大いにマズイのである。
 地震調査委員会は、今回の地震は、本来「M7・5前後の地震が30年以内に起こる確率が99%」と想定されている宮城県沖地震とは別の地震だったと判断したとか。今回の地震が「呼び水」になる可能性も高くなったというわけだ。「スポパーク」の負傷者は、本来、怪我をせずにすんだはずの人たちだと思う。次の地震でまた同様の負傷者が出たとしたら、これはもう「人災」というほかはない。宮城のお役所の人たちが馬鹿じゃなきゃいいと願うばかりである。


 マンガ、園田健一『GUNSMITH CATS BURST(ガンスミスキャッツ バースト)』1巻(講談社)。
 園田健一の代表作が新シリーズで復活。『エグザクソン』のあと、何を始めるのかなあと思ってたら、やっぱりここに戻ってきたね。以前から単発で短編を描いていたから、予測はしていたのだけれど、やはりラリーの活躍が見られるというのは嬉しい。
 私はガンマニアでもカーマニアでもなければ、園田健一の作るオハナシもそれほど好みではない。キャラクターがやたらココロもカラダも傷ついてしまうのだが、リアルな世界を描いているようでいて、単に作者のシュミなんとちゃうかという気がしてならないからである。簡単に犯される女の子キャラが多いのが何ともねえ。
 じゃあなんでついつい買っちゃうかというと、やはりアクションの快感、これに尽きるんである。
 マンガは当然「絵」だから、実は全く動いちゃいないのだが、それが「動いている」ように見せるためには、やはりレイアウトやコマとコマの間の取り方にセンスが必要になる。いしかわじゅんが安彦良和の絵について「動きが描けない」と指摘したのはまさにそのことで、安彦さんの絵は「止まって」いるのである(もちろん、止まっていたところでそれがすぐに欠点に繋がるわけではない。安彦さんを非難してはいないので勘違いしないように)。
 同じアニメーター出身でありながら、安彦さんの絵が「止まって」見えて、園田さんの絵が「動いて」いるのはなぜか。一言で言ってしまえば、安彦さんの描くキャラクターは今でも「アニメーションのためのキャラクターデザイン」であって、「マンガ」にはなりきれておらず、それに対して園田さんの絵は、「マンガ」として確立しているからだと言える。
 安彦さんはいしかわじゅんに反論して、「今でも中割りして見せられる」と主張されたが、それが大きな勘違いで、「中割りできるような絵」は、マンガの場合は読者の読むテンポを遅くし、さらには想像力を減殺してしまうことにしかならないのだ。
 読者はマンガを読む場合に、「コマに描かれていない」部分も想像力で補完し、無意識に繋げて読んでいる。そこに「連続する動き」を持ち込むと、かえって情報が増えて、間延びしてしまう。例えば、安彦さんがしばしば数コマに渡って、「原画を並べたような」連続の動きを描くことがあるが(『アリオン』の冒頭シーンなどである)、これは読者には「スローモーション」にしか見えない。最近のマンガではここまで露骨な描写は減ったが、それでもアングルを変えて、同じシーンをゆっくりとトレースすることがよくある。もちろんそれは安彦さんの場合は効果的に使われていて、サム・ペキンパーかジョン・ウーのようなスローモーション効果を生んでいるので、決して欠点ではない。安彦さんのマンガでは、爆発ですらスローモーションである。
 それに対して園田さんのマンガは岡本喜八である。アクションは省略に継ぐ省略、必要なカットは見せるが、それもロングとアップを何度も切り返し、コマとコマとは殆ど絵として連続していない。だから逆に「動いて見える」のだ。
 文章で説明をするのはとても難しいのだが、たとえば66ページで、銃を突きつけられたラリーが、足でシートを引っ掛け、上半身を倒し、マガジンを投げて敵の銃にぶつけ、跳ね上げたシートを敵のタマを受けるバリアーにし、再びマガジンを装填して攻撃するまでの流れなどは、間に「中割り動画が全く存在していない」ことが理解できるだろう。これがスピード感を生むのである。ガンアクションをマンガとして描かせた場合、園田さんが紛れもなく第一人者であるのは、この「省略の妙」にあると言える。
 ストーリーの紹介をせずに、絵の魅力ばかり語っているけれど、物語にはあまり興味がないんだから仕方がない。つか、園田さんの場合、ストーリーの方がガンアクションを見せるための道具だからね。
 ああ、あともちろん、女の子がアニメ絵でむちゃくちゃ可愛いです。巨乳かロリータで中間が殆どいませんが(笑)


 マンガ、ゆうきまさみ×田丸浩史『マリアナ伝説』3巻(完結/角川書店)。
 男シンクロナイズドスイミングという、決して『ウォーターボーイズ』をパクったわけではない(連載はこっちの方が先)、鍛え上げられた男の肉体がムリムリ出てくるちょっと気持ち悪いマンガも、掲載誌を変えた末にようやく完結。とりあえず「大会で決戦して終わり」というマンガの王道はちゃんと辿ったのかな(笑)。
 一応ラブコメ要素もあったようななかったような微妙な感じではあったが、まあゆうきまさみさんにはなかなか普通の恋愛は描けないから、結末もこんなものだろう。つか、ああいう結末にするなら、寺澤と天野、無理にカップルにする必要なかったんじゃないのか(オビに「衝撃のエンディングが君を待つ!?」とか書いてあって、どうやらネタバレ禁止みたいなので、一応オチは書きません)。
 何となく作者“たち”の女性に対する怨念がそこはかとなく漂ってるような感じだったねえ。男はバカだけれど、それを許せないのは女の罪、みたいな。でも、天野とか、キャラがいい具合に立ちかけてそこまで行かなかったような、ちょっと惜しいキャラだったと思う。生徒会長はもう、『究極超人あ〜る』のときまんまだから、声もちゃんと川村万梨阿で聞こえてくるんだが、天野はイメージボイスが浮かんでこなかったからなあ。
 いやね、ゆうきさんのマンガの場合(これは絵は田丸さんだけど)、キャラクターのイメージボイスが聞こえてくるかどうかで、作品の成否が決まってくるような気がするもんで。もっとも私は新しい声優はあまり知らないので、寺澤の声とか神谷明が浮かんだりするんですが。
あと、会長の弟のセリフで、「予約特典が気に入らないからってCD買わないくらいヘンな理屈」ってのには受けた。しょうもない特典が付いて怒るのは分かるけど、ヘンクツなオタクにこういうやつ多いからね。自分が鬱陶しいやつだってことに気づいてないんである。


 マンガ、丸川トモヒロ『成恵の世界』8巻(角川書店)。
 えー、隠れ人気キャラの一人、古本屋の娘さんで、太い眉毛がチャームポイントの永岡四季ちゃんがメインのオハナシ……というよりは実質上の主人公は、今は亡き、そのまたお婆ちゃんの折さんであります。
 と言っても、今回は別に回想話ではない。四季ちゃんが働いてる古本屋「時台屋」がオーナーでもある爺ちゃん・光太郎の横暴で、潰されてしまいそうになる。ところがそこに、突然「結婚直前」の若き日の折さんがタイムスリップしてきて、爺ちゃんに出会って……という展開。だからまあ、これもまた『時をかける少女』のパターンなのだけれども、この手の話に付きものの「奇跡」の描き方が、なかなか上手いのである。
 キーワードになるセリフはコレね。
 「ねえ、光太郎さん。私たちの未来は、悪いことばかりでしたか?」
 目の前に、死に別れた妻が、若き日の姿のままで座っている。彼女は、これから先、自分とどのような未来を築いていくかは知らない。けれども、その未来を現実に知っている年老いた夫に向かって、自分の未来を信じていることを告げているのだ。折さんが爺ちゃんをどれだけ深い愛で信じていることか。作者が何歳なのか分からないけれど、これはなかなか若い人には書けないセリフだ。それが描けたのは、「SF」という仕掛けがあったからこそだろう。 
 『成恵の世界』は、一般的なマンガファンの間では、数あるハーレムマンガの中の一本に過ぎないみたいに扱われてて、ちょっと損しているなあと思う。これは立派なSFマンガなのに。
 所詮はご都合主義である点では違いはないじゃないかという批判に対しては、こう答えよう。確かにご都合主義と言われればその通りだけれども、学園ものとか下宿もので美少女いっぱいものをやられた場合、一応、その世界は「現実」なのだから、ご都合主義はわざとらしく目立ち過ぎて、読者は今ひとつ乗り切れなくなるのだと。けれどヒロインが宇宙人だったり未来人だったり異次元人だったり女神だったりすれば、「価値観がフツーの人間とは違うんだろう」で納得できなくはない。
 つか、SFマンガだと、主人公を巻き込むトラブルが破天荒でキャラクターも暴走しまくるから、「なんでこんなフツーのやつがモテるんだ?」って疑問に気付く間もないのである(笑)。今回も和人の影が薄いこと。つか、名前も読むまで忘れてたよ。

2004年08月17日(火) 「狐の嫁入り」考。…いや、そんな大層なもんじゃなくて。
2003年08月17日(日) 穏やかな休日/映画『宮本武蔵』『續宮本武蔵 一乗寺の決斗』『宮本武蔵完結篇 決闘巌流島』
2002年08月17日(土) しとしとぴっちゃんしとぴっちゃん/アニメ『プリンセスチュチュ』第1話/映画『ピンポン』
2001年08月17日(金) 代打日記
2000年08月17日(木) 明日から仕事/『夜刀の神つかい』(奥瀬サキ・志水アキ)ほか



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