WELLA
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2008年11月23日(日) 着物で歌舞伎

一夜明けて、整った部屋で残り物を食べる幸せ。ケーキは昨日の時点でヤバーい♪というおいしさだったが、さすがに買って3日目なので、これ以上置いてはおくと生クリームがやばい感じ。
その後、ちりちりあせりながら黙々と着物姿に。ようこさん経由でチケットを買った歌舞伎が国立劇場である。以前歌舞伎をよく見に行っていたころ、とんでも着付け姿の観客をよく見かけて冷ややかに思っていたので、自分も仲間入りするのか…とちょっと気が重かったのだが、ようこさんにも当然のように勧められ。われわれの隣の席はようこさんの同僚で私もよく知っている女性とそのお母様でお二人とも着物だというので、決心(←おおげさ)した。
実は着物は先月のお稽古以来…。着ていくなら、以前悉皆屋さんから帰ってきた義母の白大島でと思っていて、紬なので着付けはそれほど難しくないはず。付け帯を合わせるつもりでのんきにしていたのだが、あわせてみたらなんか大仰でよくない。着物の柄は細かい幾何学模様、全体に見ると淡い青でピンクやクリーム色が入っているので、やっぱり優しい雰囲気がいいと思って、伯母のピンクの帯に白の細い帯締め。ここで帯揚げを淡い色にしてしまうとぼやけるので、マダムの紫の帯揚げ。せめて昨夜寝る前に現物でコーディネートしておけばよかったと後悔しきり。
なんとか着付けが間に合って家を出る。胸の合わせに薄いタオルをいれていたのだが、それがうまく収まっておらず、なんとなくエレベータの中で引き抜いてしまったら、襟元がぶわぶわになってしまってパニック。身八つ口から手を入れて、衿を下から抜いてなんとか収める。ずっと襟元が気になっていじりなりながらずっと急ぎ足で劇場へ。
早歩きが苦手な夫も巻き込まれて必死に歩いている。電車の乗り換えもよく、これなら開演10分前には劇場につきそうという時間に駅到着。なんだかすれ違う人が、私の足元をずっと見ている気がしていたのだが、歩きながらふと見ると、下前が折れ曲がって外に飛び出している。ちょっとぐらい直しても全然直らない。もしかして着崩れている??
劇場に着いたらすぐトイレに行かなくては!と思うが、劇場トイレは長蛇の列。うげ、忘れてた。最近すっかり歌舞伎見物から遠ざかっていたので、劇場での振る舞い方も忘れていたよ。しかたなく席に着く。ようこさんのおかげで一階席中央列で全体が無理なく見渡せるとても見やすい席。落ち着いて身体のあちこちを探ってみると全然変なことにはなっていなく、勢いよく歩いていたので下前が中で折れたのが静電気でずっとそのままになっていたのだろうと推測。やはり準備は早め早めでないと。
お芝居は、江戸川乱歩の人間豹という話を時代を幕末に移し歌舞伎に翻案したもの。明智小五郎が同心で幸四郎、人間豹と人間豹に恋人をつぎつぎ奪われる青年を二役で染五郎。人間豹に魅入られる美女三役を春猿。演出は九代琴松こと幸四郎。
この3人はさすがに花と勢いがあるが、原作自体が破綻しているので、あちこち辻褄のあわないところがあって今ひとつ芝居に入り込めない。出演者が少ないせいか説明台詞が多い上に、明智小五郎には推理している様子もなく、「どうなる明智探偵!」という挿絵風の見せ場画面での舞台転換が続く。そもそも辻褄の合わない話を型や役者の力で見せてしまうのが歌舞伎の醍醐味でもあるのだが、そこに至るまでには練れていない感じ。最後は派手な宙乗りで無理やりカタルシスにもっていく。花吹雪の舞う中、人間豹が2階席に消えていく様子はそれはそれは美しかった。親子競演だし、芝居は親子の因果もモチーフにしているのだが、染五郎ふんする人間豹が人間の子捨てを非難するたびに、隠し子騒動があったこの人が言ってもなぁという気分にもなる。
休憩時間やや舞台終了後にロビーを見渡すと、とんでも着物姿の人も多かったが、すっきりときれいに着こなしたご婦人も多くて勉強になった。出演者関係受付あたりで挨拶する梨園の妻たちはさすがに格別。
ようこさんの同僚さんと休憩時間にちょっとおしゃべり。お会いするのは2年ぶりぐらい。マラソン大会に備えてランニングを始めて快調に練習しているらしい。着物に続けてランニングブーム到来か。これはようこさんが走り始める日も近いだろうな。
帰りに義母と落ち合って、着物姿を見せて喜ばれる。近々色無地と袋帯を一つずつ持っていきなさいといわれる。むー、もらえるのは嬉しいが、もう箪笥に入れる場所がない…。やはり収納場所をもう少し考えなければ。


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