ぷれはぶ・えふの人が適当に書くページ

朝日がのぼるちょっと前、片側しかきかないカーステを鳴らしながら16号を走る。
助手席は荷物。
お供は缶コーヒー。
バイパスを使えばたぶん暗いうちにたどり着くんだけど、なんでか気が乗らなくて下の道を選ぶ。
まだ原付乗り回してたころ、道がわからなくていつも使ってた道だ。

変わったところは何もない。
相模原と八王子の境のファミレスの前の道は、今も相変わらず車線を埋めて工事している。
原付乗りのマナーの良さも変わらない。
深夜までやってる八王子の長浜ラーメンの前の道には違法駐車。
少し厚着して、それでも寒い風を受けながら原付飛ばしてたもんです。

10代の頃は何も言わなくても通じるもんだと思ってて、それでわかりやすく苦い思いをしたりした。
すごくわかりやすくて、苦い思いのまま徹カラして20代を迎えた。
20代を迎えた日の朝は何がなんだかよくわからなかったけど、その日、言わなきゃ何にもわかるわけないじゃんと言われてたいそう驚いたのをよく覚えてる。
あー。
そりゃそうだ。
それからしばらく、すごくたくさんの当たり前を教えてもらった。
ちょっと歪んだ日々ではあったけれども。

相模原に入るといつも少し寂しくなるのは、たぶんもう選ぶ道がひとつしかないからだろう。
どう考えても16号をそのまま走ったほうが早いし、他の道は完全な遠回りでしかない。
結局たどり着くところは一緒の道だから。
いろんなものを選ぶ自由はまだ誰にでも残っていて、選びようのない選択肢ですら選ぶことはできる。
ピアノを習うかエレクトーンを習うか、とか。

そろそろ空が明るくなる。
世界が起き始める前に言い切らないと、たぶん朝の騒がしさの中でかき消されてしまう。
なんてね。

ベランダの植木鉢に、おやすみなさい。



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