詩のような 世界
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僕には愛すべき場所があることを まだ忘れてはいない
そこは、幻と似ている 似ているだけで、幻ではない
一言で表すなら、半透明の森だ 時々、淡い七色に移り変わるけれど 森にいる命あるものすべても 同じく少しずつ変化しているので 居場所の変化など誰も気に留めない
しかし、それ以外は永遠に同じ 地には煌めく白い砂が広がっている 朽ちることのないパステルカラーの木々と 遥か上のほうから穏やかに落ちてくる水流 両手で受け止めると 触れたとたん蒸発する間もなく消えてしまう
みんな、あの時の僕も含めて 目にひかりを映している 森のすべての輝く粒子が集められたと思うほどの強さ 姿のない何かを信じ 信じることで笑い合っていた
あまりにも静かに時間が過ぎるから 新しい存在が滑るように入ってきても 誰かがそよ風とともに外へ運ばれても、わからない そのもの自身、森を後にしたことにすぐ気づけない 実際、僕も遠い旅先ではっとしたのだった
目指す場所を見つけるために、死ぬまで歩き続ける 時間はあの頃と違い、荒れ狂うように飛び去ってゆく
僕には愛すべき場所があったことを きっとずっと忘れないだろう
最後の森を想像しながら跨ぐ夜は あの風と同じ風を感じる
幻かもしれないけれど
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