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2025年04月22日(火) 友達づくりで悩んでいるあなたへ

息子の高校の入学式後、クラスに分かれてPTA役員を選出することになった。
立候補ですんなり決まり、ありがたいなあと思っていたら、その方があいさつでこう言った。
「私がクラスにお知り合いを増やすことで内気な娘がなじみやすくなるかもしれないと思って、手を挙げました。親子共々仲良くしてください」

幼稚園や小学校じゃあるまいし、と過保護に感じる人もいるかもしれない。
でも私はそのお母さんの気持ち、わかるなあ。女子が少ない上に卒業までクラス替えがないとなれば、娘のためにできることはないかと考えたのだろう。

友達づくりは初動が肝心、というのはたしかにある。
最初の席は出席番号順であるが、前後左右の人と「家どこ?部活決めてる?」「LINE交換しよ」なんてことを言い合える席だととてもラッキー。プリントを回したりわからないことを訊いたりしているうちに気心が知れ、行動を共にするようになる。
しかし、席が隅っこだったり異性に囲まれていたりすると、「おはよう」ひとつ言うにも席を立って目当ての人のところまで行かなくてはならないから勇気がいる。
席の近い人同士で話しているのを遠目に見てもじもじしているうちに初日が終わり、「明日こそ」と思ったらもうメンバーが固まりかけている。出遅れた!とあわてて話しかけに行くけれど、なんだか反応が薄い。どうしよう、誰か見つけなきゃ、でも入れそうなところがない……。

実際、四月に入ってからTikTokには新しい環境で孤立して悩んでいる人の投稿が頻繁に流れてくる。
「入学して一週間、完全にグループができあがってる。みんなどうしてそんなにコミュ力あるの。焦りと不安しかない」
「登下校も休み時間も移動教室もひとり。机くっつけてお弁当食べてるの見たくない。寂しい、悔しい」
「他校に行った同中の友達のインスタ見たら、キラキラJKしてて泣いてしまった。ff増えてないの私だけ。私も放課後プリ撮ったりスタバ行ったりしたいよ」
ハッシュタグの中に「お母さんごめん」というのがあって、胸が締めつけられた。お弁当をぼっち飯にしてごめん、私立に行かせてくれたのにやめたいなんて思ってごめん、と。
こんなにつらいのに「学校どうだった?」に「楽しかったよ」と答えるのは、自分が元気に学校に通うことが親の一番の願いだとわかっているからだろう。

……でもね。
あなたにまだ友達がいないこと以上にお母さんが悲しむのは、あなたがひとりで孤独に耐えていることだと思う。そういうときは一緒に悩んで一緒に泣きたい、それが親というもの。
一緒にいる人を見つけられていないのはあなたの容姿や性格に問題があるからじゃなく、最初の席やタイミングの不運で誰かと自然に親しくなれるチャンスが少なかったから。いまのあなたの立場にほかの誰がなっていてもおかしくなかった。だから、はずかしいことでも情けないことでもないんだよ。
この時期は、席替えで近くになったり野活で同じ班になったりがきっかけでがらりと状況が変わることがある。傍目にはすっかり打ち解けているように見えても、実は無理をしていてグループを抜けようか、でもひとりになりたくないと悩んでいる人が必ずいる。本音で話せる友達がほしいと思っている人がぜったいいる。
淡々とすべきこと------朝夕は明るくあいさつし、部活やサークルに入り、勉強もがんばる------をしながら、そのときを待とう。
だから、いまは踏んばれ。



先日の「悠仁さま 筑波大ご入学」のニュース。興味のある分野にドンピシャのいい進路を選択したなあと思っていたが、入学式でほかの新入生と笑顔で話している姿を見てうれしかった。
これまでテレビやネットで物憂げな表情を目にするたび、
「秋篠宮家の長男というだけでやることなすこと叩かれ、愛子さまと比べられるんだものな」
と気の毒でならなかった。
しかし、成年会見のときにも思ったけれど、素朴でかわいらしい普通の男の子じゃん!自分を蔑む声もさんざん耳にしてきただろうに朗らかであどけなく、いい子そうだ。

彼の周りに良識のある大人や先入観なしに接しようとする学生がたくさんいてくれることを願う。
ぜひひとり暮らしをして、のびのびとキャンパスライフを送ってほしい。心友を得て、かけがえのない四年間になりますように。

【あとがき】
同じ年頃の子どもを持つ者として、悠仁さまに対する悪意のある記事や辛辣なコメントを読むたび、胸が痛くなります。なにひとつ悪いことをしていない、十代の男の子によくこんな仕打ちができるものだ。いじめ以外のなにものでもない。なにを言われても書かれても反論することもできないのだ、どんなにつらく悔しいだろう。
望んでその立場に生まれたわけでない。それでも、成年会見では一生懸命役目を果たそうとしていてぐっときました。ご成長を温かく見守りたい。