SS日記
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「―寒ぃな…」
一人ごちる様に榛名は呟いた。 軽く肩を抱き、ふるりと身を震わす。 辺りも静まり返った午前二時。 別段用事もなく榛名は一人歩いていた。 夜、意味もなく出歩く事はすでに習慣となりつつある。 身を切る様に冴えた夜の空気を吸い込む。 肺を刺す痛みが心地好い。 誰も居ない空間。 夜の街は一人きりだと錯覚させてくれる。
―そんなこと、不可能だと知っているのに。
苦笑と共に息を吐く。
―ふと、前方に見える路地へと入る人影に気付いた。
何故そうしたのかはわからない。 知らず、その人影を追っていた。
―今にして思えば
どうして、この時
あんな凶暴な昂まりを覚えたのか
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