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睡眠
布団を干しました。そうじをしました。今日はふかふかの布団で眠れます。
よく、Hに、口うるさく布団を干せ、シーツを洗え、と言ったものです。きたないから、もちろんそれもありますが、よく眠れないということを知っていましたから、すこしでも気持ちよく眠れるようにと思ったのです。よく眠れれば、少しでも気分が晴れるであろうと。
布団は時々干していたようですが、なかなかシーツを洗うところまではいかず、枕カバーに至ってはもうずっと洗っていなく、汚いからとカバーを取ってそのまま使って、結局本体が汚くなってしまって、…黒い、何とも言えないものでした。
枕を買ってあげるよと何度か言いましたが、Hが自分でそのうち買うからといいはっていて、あまりいろいろ形あるものを買ってあげたりしては負担に思うかということもあり結局そのままだったのが今でも悔やまれます(カバーだけ新しいものにしても意味がないくらいの状態のものだったので)。シーツだけは、替えのものを渡してありました。スーパーでボアのシーツが特売になっていたので、気持ち良さそう!これ触ってみたいから買っていい?という感じで買って渡したものを気に入って、そればかり使っていたようです。そう、最後の夜にも、ふとんにはそのシーツがかかっていました。
死の直前、一番最後に部屋に遊びにいった時のことです。天気がいいからそうじをする予定だったのですが、あまりに気持ちがよくて畳の上でゴロゴロしていたらいつの間にか二人で昼寝をしていました。私が先にぐうぐう寝てしまったようですが、そのうちHも眠っていました。私は、いつのまにかHがくっついていて、私の片腕ごと手を握りしめていたために痺れて目が覚めました。しばらく体勢を動かしながら我慢をしていましたが、どうにも痺れてきてしまったのでHを起こさないように、そろそろと手を外そうとしました。結局はHも目が覚めてしまい、そのままもう一度居眠りをすることはなかったのですが、「ひさびさに気持ちよく眠ることができた」とにっこり笑いました。「こういうのっていいよね。いつも言うけど、君とこうしてるのが一番幸せなんだ。外にでるのもいいけど」と。
もう少し、私が我慢をしていて、暗くなるまでHを眠らせてあげていたならと悔やまれます。最後に、少しでも気持ちのよい睡眠をさせてあげられてよかった、とも思います。その日はその後向かいの友達が来て、くだらないことで大笑いして、楽しい一日でした。でも、もうすこし、あと5分でも10分でも眠っていたら、少しは違っていたのではないかと思わずにはいられないのです。
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