仕事帰りにいつものように乗れない時間帯の電車をやり過ごそうと街をぶらついていたところ、去年のHの誕生日に売り切れていた、携帯で写したケーキも、一度だけクリスマスだからケーキくらいは食べようかと買った店のブッシュドノエルも売っていました。 二人で飲んだシャンパンも売っていました。 買ってしまおうかどうか悩みながら、ひとりのクリスマスというものは寂しいものなのだと初めて思い知った気がしました。 けれど寂しいから誰かと過ごしたいというわけでは、もちろんありません。 結局手ぶらで家に帰っただけの、考えようによってはHと出会う前と同じ、何もしないクリスマスでした。 ただひたすら、寒かっただけの。
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