彼とかつて一度だけ入ったことのあるファーストフードのとある店舗に、そのとき以来はじめて立ち寄りました。そこはかなり昔からあるところなうえ、住宅地のなかの大通りにある店ですから、平日の昼過ぎともなると人もまばら、とてもゆったりした雰囲気に包まれていました。 Hと訪れたときも同じように天気が良く人が少なかったことを覚えています。やや暗雲がきざし始めていたとはいえ、平和なひとときであったようにも思います。 かつてここに来たことのある人のうちいったい何人がいまこの瞬間に存在できているのだろう。このローカルな場所限定で区切っただけでも、どれだけの幸せと不幸があったのだろう。オーダーしたものが用意できるのを座って待ちながら、Hのことをうつらうつらと考えながらそんなことを思いました。 平日の天気のよい午後、新婚でおめでたな友人のうちに手料理を食べにいく道すがら、自分で働いて得たお金で手みやげを買う今日のわたしは、しあわせなのだろうと。
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