ことばとこたまてばこ DiaryINDEX|past|will
琥珀エビスビールを呑んでの就寝後、夢を見た。夢の中ではおれ自身と思しき小僧があぐらをかいていた。その足の間には眼の見えない赤子。音無し子が光無し子を産んだらしい、ということが何故かはっきりと分かった。小僧がだれかと空話で酔っぱらいながら語っている。『いやー、困ったなあー、おれらの言葉がこいつにはわかんねえんだもの。こいつが大きくなったらどうやって話したもんかねえー!いやあー、大変なことだらけで困っちまうなあー、いやー、とってもおもろくて、んー、しあわせだ』と焼酎をびちゃびちゃにこぼしながら股ぐらではわはわしている赤子の頭をぽはんぽはんと叩いて大笑いしていた。目覚める。うだうだ。「乳房になった男」を読む。ほんまもんのおっぱいがベッドの上で乳首先から言葉を発して激怒したり快楽に身悶えしたり沈思黙考したり発狂しかけたりする本であった。思わずうめき笑い。これぞ奇書。図書館。吸い込まれるように立った音楽コーナーからまたぞろ吸い込まれるように手の伸びた本が「いつも僕の中は光」っちゅう盲目ピアニストの本。素敵に丹精な文章。今朝の夢もあってぐんぐん読む。思った。音無し子に光が欠かせぬがごとくに、ほんとに光無し子には音が最も重要なものじゃないか、と思った。もしも実際におれに光無し子が産まれたとして、どうだ?と考えうるかぎり最悪の事態から最高の事態まで思い巡らせて、結果、しっかりと骨の入った力強さで「おもろい」って心底より思うことができた。なあーんだ、今のおれ、なかなかに無敵じゃーないか、と思った。昔も今も判らないものがありすぎて、怖いものがありすぎて、臆病すぎて、いつのまにやらけっこうタフガイのおれだった。文房具屋にてファイルを購入して「無音楽」の整理。夜梅賭。焼酎。裸で舞おうか、と思ったがなにとはなしにそのような気分ではないためどてらをはおってしゃっと軽く舞った。しかし陰嚢は震えて蠢いて。
陽
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