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2006年05月18日(木) 暗いトンネルただゆけば
暗いトンネルただゆけば
背後は順ぐり闇になり
前途は光りに切り裂かる
脳裏に浮かぶは幼き日
庭に穴掘り埋めし蜜
誰ともつかぬ友の手で
掘りおこされんを空想す
錆びた刃と 朽ちる布
羽虫の羽ばたく音と消ゆ
されどもはたして我の目に
浮かぶ涙は 嬉しきか 悲しきか
小さい頃、宝物は全部全部、庭に埋めた。
ビニール袋に入れたり、缶に入れたりするようになったのは、もう少しあとの頃で、
その前はなんだってそのまんま埋めてた。
農家の庭は広かったから、決まった場所なんてなくて、どこにでも埋めた。
それはそれは、なんでも埋めた。
あめだま、チョコレート、木琴、人形、ブロック、電池、絵本、なんでもかんでも。
庭に樹を植えるとか、家庭菜園を移動させるとか、自転車用のガレージを作るとか、
何かで庭を掘り返したりする度、いまだに色々出てくるらしい。
まだまだきっと、埋まってる。
友達が欲しかった。
一人っ子だった私は、コドモに飢えていた。
ただ、自分の大事なものを共有する人が欲しかった。
宝物を埋める時の、あの嬉しさをよく覚えている。
宝物を埋めると、誰かにそれをプレゼントしたような気持ちになれたんだよ。
誰かが、それを見つけてくれた気になってた。
埋めた瞬間から、もう、誰かが見つけてくれて、喜んでいるような感じ。
自分にとって、何かを作るっていう基本はそこかもしれない。
サイトを作るっていう感覚は、あの時の感覚にとても近い。
だって、書いてるそばから誰かが読んでくれる。
昔、土に埋めたそばから誰かが見つけてくれてたみたいな感覚は、本当に感覚でしか
なくって、それは実際誰の手にも渡る事は無かった。
だけど、こうして書くと、誰かが読んでくれる。
もっと、自分の好きなもの作ろう。
もっと、自分のイヤなトコ出そう。
じっとりと湿った、柔らかく冷たい土を掘るように。
あの時の手が、今、こうしてキーボードを叩く。
不思議だけれど、同じ手だ。
全ては私の手からはじまっていく。
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