極彩色、無色
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2005年03月24日(木) 3つのメール、死の傍ら

ここに書いたのは、母が帰ってこなかった日に、最後に兄と私と父が送った、母宛のメールです。


兄 10:16

みんなとても心配してます。連絡ください。

私 19:21

電話をしても留守電になっているので、メールを送ります。
無事でいますか?どこにいますか?
今日は一日ニュースをつけっ放しにしています。今も気が気じゃありません。警察に連絡をしようかとも考えています。連絡を下さい。待っています。

父 21:38

あいしていますこころから
いきていてください





父は、携帯に慣れていなくて、電話するのもやっとやっとで、メールをするのはこの時が始めてだった。

自分じゃやり方もわからない。けれど電話じゃ繋がらない。だから、せめてメールを送りたい。

いつもだったら教えてもすぐに『俺はメールは使わないからいい』と言うのに、この時は自分から、兄に教わっていた。

たったこれだけの文章を、漢字にも変換されていない、句読点も打ってないけど、こんな文章を10分くらいかけてやっと書き上げて、送った。

その時は、どんな言葉を書いたのか、私は知らなかった。

後で、母の携帯を解約しに行った時、この3つのメールが未読になっていたのを見つけて初めて読んだ。

ドコモショップの中で、不覚にも泣けてしまってた、隣には父もいたのに。



父のメールを読んで欲しかった。

父は堅物で照れ屋だから、きっと結婚してからはこんな恥ずかしいこと、母に伝えたことはなかったと思う。

だから、母にはこのメールが届いて欲しかった。








消せるはずがない。

繋がらなくたって、母の存在を消したくない。


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