ひよ子の日記
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2004年05月28日(金) |
おとうさんがいっぱい |
昨日『約束された場所で』を読み終えて、『象と耳鳴り』を読もうと思ったのですが、『カンガルー日和』を手にとっていました。村上春樹の短編は初めての体験です。途中まで読んで、なつかしい村上春樹の作品の雰囲気を楽しみました。でも私はやっぱり長編の方が好きだなぁ。それで『カンガルー日和』の挿絵は佐々木マキなんですが、挿絵を観ていたらずっと昔の記憶がムクムクと動き始めたのに気が付きました。なんだろうこの感じ。私は挿絵をぼんやりと眺めながら、忘れられた記憶置き場を様々な記憶の合間を縫って進みました。 あ 『壁の中におとうさんが入ってしまう。おとうさんは自分で入ったのか、記憶が曖昧だが少年は壁の中のお父さんと話している。ある日おとうさんは言う。「もう出られない」それから時間が迫っているというようなことも。お父さんは壁の中に消えてしまった。もう声は聞こえない。』 これ、小学生のころに読んだ本だ。ということに気が付き、さらに記憶置き場をさまようとなんとかタイトルを思い出すことが出来ました。あの頃この本を読んだ時に受けた恐怖は忘れられません。絵が、少ない線で書かれた挿絵がまた無機質な感じがして、淡々とした恐怖を与えていたように記憶していました。 そしてネットでしらべてみたら、挿絵は佐々木マキでした。 佐々木マキの挿絵が引き金になって、今まで記憶置き場に埋もれていた記憶が蘇ったんですね。もちろん佐々木マキが挿絵をしていたなんて、覚えていませんでした。それでもあの話を読みながら挿絵を観た時の記憶が、無意識に『カンガルー日和』の挿絵に結び付いたなんて、不思議な感覚でした。
ひよ子
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