2008年06月16日(月)
まなざし
パチンコ屋の前で主人を待つわんこ
まなざしのチカラというのがあります。それは、ただ見ているだけで、誰かを変えうるチカラ。──何もしないでいい。言葉もいらない。あるいは、ただの存在感で・・。そんなチカラを身につけられたらなといつも思います。
今、3週間ほどのイタリア旅行をしている知人がいます(定年を終えたご主人といっしょのフルムーン旅行で)。イタリアからのメールがリアルタイムなのにも驚いてしまう私ですが、芸術の国イタリアからの報告が、これまたはずんでいてうらやましい(彼女は芸術家。日本人です)。で、「わたし、やっぱり、イタリア人〜!」などと調子にのっておられます。イタリアでは、改めて自らの存在を確認することができる──ということらしい。彼女が何回かイタリアで個展をしているからという理由ではありません。そこが、まなざしの国イタリアだからです。
私の大好きな作家(ファッションジャーナリスト)がいます。↓
この本には、魅力的な写真がいっぱい載せられているのですが(日本のような子どもっぽい貧乏ファッションではなく、大人の男女のハイセンス。人々の顔/表情もすばらしい)、そこに書かれていることを思い出したので以下に引用します。
イタリア人は、いつも女を見ている。男たちは女を見る。女たちも女を見る。だから、ただすれ違う、それだけで、自分の存在を確認することができる。美しいもの、愛らしいものを見たときの感動を率直に表現する彼らを、私も率直に受け入れる。・・(中略)・・美に敏感な人々の視線が、そのまま街の空気を作り出す。それは、甘やかな官能をたたえて、日本から来た私を少しずつ変えていく。見ることの感動と見られることの喜びで、体の細胞のひとつひとつが目覚め、立ち上がっていくように。
・・・なんだってさ。いいね。せこい日本じゃありえない。
昔、とても動物好きな女の子とつきあってたことがありました。デートはいつも動物園でした。で、その彼女の言うに・・・「どうぶつはおくちがかわいい〜♪」と。そんなことに、私は、それまで気づきもしませんでした。新、大発見でした。自らのゲイジュツカとしてのセンスが泣けてきますが、たしかに、どうぶつのおくちは、かわい〜〜♪ です。観察してみてください(わかると思います)。彼女は猫よりも犬がすきな子でした。動物ではとりわけ山羊や牛がすきでした。さびしい子だったけど、へんな子でした。わんこと目をあわせて勝手に泣きそうになったり・・。あるとき、何で猫より犬のほうが好きなのかと聞いたことがあります。そしたら「わんこはバカっぽいから・・・」と申しました。はい。おとこは、そういう女の子のほうがつきあいやすいです。
人と犬の視線の交流はとても親密です。まなざしが熱い(こころもあたたかくなる)。で、その子につられて、キリンさんと目があったときにも感動いたしましたです(試しに、いちどキリンさんと目をあわせてみてくださいませ。すごいですよ。キリンは純朴)。目は、異界への入り口。
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