verbal love*
杏子



 横浜の「記憶」

ホテルニューグランド横浜。


私が彼と 

初めて実際に会うためにセッティングした場所。


横浜には 遠くにレインボーブリッジ

そして夜景に映える 観覧車を目の前にした

なじみのホテルがあったけれども

そこはまた別の思い出の場所なので


あえて あえて

初めてのニューグランドを予約しました。


ホテルのロビーを通り越して

瑠璃色の絨毯の階段をのぼる。


二階の待合室のソファに身を沈めてみるも

柔らかすぎるスプリングとクッションのせいで

思うように体を支えられない。(苦笑)


結局 沈み込むように体を納めた。



『美しい姿勢も何もあったもんじゃないな〜^^;』


そう思ったことを覚えています。(苦笑)



なんとなく電話しながらお互いの位置確認をするのが嫌で

(彼も後で同じようなこと言ってました)

現在位置をメールする。




待合室のすぐ横の会場では 結婚式が行われていました。

会場を抜け出した感じの 着飾った若い女性が

2〜3人ソファで話している他は

ホテルの従業員の方が何人かいるだけで

静かに時が流れている感じでした。


窓から注ぐ 曇り空のぼんやりした陽射と

室内灯が薄暗かったせいもあって


そこここに配置された調度品やファブリックの

重厚さと相まって


いまだ安定出来ずに居る ソファに埋もれた自身の体とは

対照的に

自然と気持ちは落ち着いてくるようでした。


覚悟が決まったのかもしれません^^;



腕時計に目をやる。

もう 約束の2時半・・・。


再度 メールを打ち始める。


文の途中で ふと視線を上げる


周りをキョロキョロ見渡しながら

足早に目の前に現れる人影。


視界に飛び込んできたのは 男性の後ろ姿だったけれど


『この人だ』


瞬間的にそう思いました。



事前に携帯でお互いの写真は交換していましたから

彼の顔は分かっていました。



その男性がこちらに顔を向けた瞬間


「あ!」


それが 第一声でした・・・^^;


お互いの目が合った瞬間に

彼は にこりと微笑んで

私の傍に歩み寄ると 何のためらいも無く

私の右隣に 腰を下ろしました。

ごく 浅く。



「こんにちは。」


「こんにちは・・・初めまして だね。」


「ちゃんと会えるか心配だった・・・」


「迷わなかった?」


「うん。前に階段上った待合室にいるって言ってたから。」


「そっか^^」



彼は 私がホテルを決めたとチャットで話したときに

ここを待ち合わせ場所にしたい と

そう言った私の一言を

ちゃんと覚えていてくれていたのです。


その時点で 落ち合う直前に私から送ったメールには

彼は気が付いていなかったらしいです(苦笑)


笑顔が 本当に印象的な人。

今でも あの二日間の横浜のことを思い出すときに

真っ先に浮かんでくるのは


彼の屈託のない その笑顔だったりするのです。





2007年06月14日(木)
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