月のしずく・星の欠片
春妃。



 また持っていったの?





妹分とお揃いに用意したアナスイのポーチ

彼女にはわたしが使っていた
ソニーのサイバーショットを押し付けたので、
せめてケースだけでも可愛い物を・・・と
少し前に購入した物。

彼女にはシックな黒を。


わたしが義兄の借金の連帯保証人に
なってしまったことで
今日の食べる物さえ困ってしまう
生活になるなんて思いもしなくて・・・。

年に2回は行こうねと約束していた二人の秘密の
安らぎのホテル。

行く予定を立てていた。
予約も取っていた。

でもわたしの方に無理が出てしまった。
それを知った彼女が、
宿泊料をわたしの分まで払って下さると言う。


その気持ちに、何とか応えたかったから・・・。


彼女に差し上げられるもの。

本当はもっとあるはずだった。

でも今日、クローゼットを開けて
ビックリしてしまった。


わたしのバッグが殆どない。
代々伝わる宝石やお着物もない。






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わたしの実家は古いから。

お宝探偵団に出したら、
きっと相当な金額になるから。


泣きながら
彼女に送りたかった物とは違う品を
荷物に入れた。

本当は

ルビーの指輪をプレゼントしたかった。


でもそれも、


もうない。




おふざけで購入した赤いプリント柄の
ケンゾーの浴衣。

プリントではなくデザインから起こして染めた
白地の浴衣。

バカラのペンダント。

買ったまま1度も使わなかった
彼女にピッタリであろう
キタムラのバッグ。

ロクシタンのマスクのお裾分け。

2回使ったプラダのショルダー。



良かった。

この染物の浴衣がなくなっていなくて。

これも我が家では大事な代物。


わたしは娘に着せたいと思っていた
3代袖を通した浴衣。

これもお宝探偵団に出せば、
相当な金額がつく。


だけどわたしは、

妹分 にもらって欲しかった。


彼女に袖を通してもらいたかった。


ショックで手が震えてしまい、
手紙を書くことも出来なかった。


早くあなたに会いたいよ。
あなたの素敵な恋の話を聞かせて欲しい。

きっとわたしもしあわせな気持ちに
なれるから。







2007年08月29日(水)
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