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■ 興信所
彼は歯科医だったから、自由になるお金が 少しはあった。
とは言え、大学は奨学金を受けたりして それなりに苦労している。 だから世間一般で言う
「 ぼんぼん 」
とはちょっと違う。
彼はわたしと結婚したかった。 切望していた。 でもわたしはそうでもなかった。 一緒に暮らし始めて、共働きのわたし達は いくつかのルールを決めたのに 彼はそのルールを守らなかった。
帰宅するとまずパソコンを開く。 テレビをつける。 ゲームを始める。 携帯も始める。
わたしはその横で料理をし、洗濯機を まわし始める。
正直うんざりだった。
盆と正月には、彼のおばあちゃんの家に 帰省しなければならないルールまであった。
わたしの休みは?
断ると
「 結婚したら、毎年帰るんだよ。 」
これが彼の口癖だった。
冗談じゃない。 彼のママのお宅なら解るけれど、おばあちゃんちには 自分が行きたいだけでしょう。 わたしだって毎回お盆の時期に、 まとまって休みが取れるわけではないんだ。
段々彼との結婚が苦痛になってきた。
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