小さいころ、友達の家に遊びに行くと、洗面所で資生堂の石鹸を見かけることがあった。香りがよくて、色つきの透明で、あの感じにいつもどきどきしたな。うちにはないものだったから。これはその十何年後にもらったカタログだけれど、今でも売っているんだな。うれしい。小さいころのまほうだったもの。そのもの自体を思い出すよりも、そのものを通して感じた、感覚みたいなものを味わえたことが宝物だし、まほうとは、ものではなくその感覚だ。