指から生える糸が
いつからか気になるようになり
ことあるごとに手繰り寄せ
いつかピンと張るのではないかと
いくら手繰り寄せても
あっちからもこっちからも
糸は出てきて
それはもう赤どころではない
カラフルな糸なもので
思わずセーターなど
それぞれに編んであげたり
あまりに見境なく出てくるので
白金の錠をかけてみたり
したこともあったのだけれど
いつの間にか錠前は壊れて
白く跡が残った指からでも
いまだに糸が出てきてしまうから
裏切りやら言い訳やら猫の毛やら
一緒に織り込んだ
およそオシャレとは言い難い
絨毯をこさえ続け
たまに織り目を数えて懐かしんだり
色目の変わったところをなでては
溜め息をついたりして
昔はよくもつれてしまったものだと
上手に手繰って織り続けていることを
誇らしくも思う
2009年11月20日(金)
↑ Top