「あ、ねぇ」 「お前は誰だ?」 「いや、それはこっちのセリフだよ。お前、このアパートの住人じゃないだろ」 「いかにもそうだが、それがどうした。ここには私の友人がいる」 「『いかにも』って……。じゃまなんだよ、毎晩毎晩こんだけ大量の自転車」 「なにを言ってるんだ。私が乗ってきたのは一台だけだ」 「えらそうに。ほかのもお前の仲間のやつだろう?」 「いかにも」 「……。とにかくこんなに止められたら通りづらくてたまらん。片付けろ」 「ふん、愚民が……」 「愚民?何言ってんだよ。頭おかしいのか、お前」 「お前みたいなくだらない人間に、私たちの使命の崇高さがわかるはずもない」 「……おまえら、こんな狭いアパートに十何人も集まって何やってんだよ」 「会議だよ。意義深すぎるほど意義深い会議だ。私たちは『最も尊い言葉を創る委員会』のメンバーなのだよ」
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