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2004年08月12日(木) |
あえて少年の成長物語といいたい(あさのあつこ『バッテリーII』) |
あさのあつこ『バッテリーII』読了。
あとがきで「少年の成長物語などと言わせるものか。友情物語などと貶めたりしない」と書かれてしまった。 でも、そうでしょう?
少年は、自分を信じて、 信じきることで(信じきろうとすることで)、 大人も巻き込み、周囲を変えていく。 その影響力たるや、すごい。 間違いない。 でも、そうありながら、少年自身も変わっていく。 けして妥協するのではなく、より強く大きく。 これを成長といわずして、なんというのか。
大人のやり方、大人の事情に染まることが、 「成長」ではないでしょう。
それに、もう一人の少年だって、やっぱり変わっていく。 大きく、強く。 常に悩みながら。 そして、悩みの質が変わっていく。 それもまた、ひとつの成長。
そういう、若くて、稚拙で、 でもエネルギーに満ちていたときが、あったんじゃない? わたしにも。 読んでいると、なにかこう、胸がわくわくするような、 懐かしいころに戻るような、そんな興奮がある。
2004年08月07日(土) |
幼いが故の自信(あさのあつこ『バッテリー』) |
あさのあつこ『バッテリー』読了。 夏の甲子園、第86回全国高校野球選手権大会、開幕。 偶然だけれど、ちょうどタイミングがよい。
正統派、青春ストーリー。少年の成長物語。 これは果たして児童文学か、というくらい読みごたえあり。 いや、中学生にもなれば、このくらいの文章読むか。
自分の体を細胞レベルで感じとるって、 本当にできるもんなんだろうか。 まして、12歳か13歳かそこらで。 でも、きっといるんだろう。そういう人。 「天才」というんじゃなくて、集中している人。 そのために生きている人。 極めるって、そういうことか。
絶対的な自信家。幼いがゆえの、自信。 大人びているようでいて、実はまだまだ子供。 うまく描かれている。 少年たちの今後が楽しみになる、すがすがしい一冊だ。
***** ミュージカル「ピッピ」を観てきた。 ピッピ=篠原ともえ、篠原ともえ=ピッピ、というくらいのはまり役。 ある程度予想していたが、これほどとは。 ええ、見直しました。 それと、パパ役の力也がよかった。 名コンビです。
2004年08月04日(水) |
精神世界への引きこもり(小川洋子『偶然の祝福』) |
小川洋子『偶然の祝福』読了。
ひとりの女性作家を軸にした連作短編集。 よりそう、犬、幼い息子、 そしてつきまとう「弟」。
主人公が自身の精神世界へ「引きこもろう」とする。 なんとなく、村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に 雰囲気が似ているような気がする。
悲劇でもないが、ハッピーエンドでもなく、 最初、すこし扱いにくい物語だと感じたけれど、 次第に引き込まれていった。 バランスの危うい不思議な雰囲気の漂う世界。
あくまでも後ろ向きなのだけれど、 一応これは、ハッピーエンドなのかな。
新しい日記でリスタート。
日記はおまけのつもりだったのに。 ほとんどここしか更新していない(しかもサボリ気味)。 いいのか、そんなんで? いや、いいかあ、別に(葛藤)。
おいおい、過去の日記もこっちに移植しようかなあ。
目下のところ、歯科での愛読書は「ブラックジャックによろしく」(置いてあるから)。
ストーリーがちょうど外科編のクライマックスで、思わず泣きそうに。 待合室で、何食わぬ顔して読み続けるのにかなり苦労してしまった。
末期ガン患者にとって、「死とは?」がテーマで、 「生きることだ!」「だって、生きたいでしょう!」と主人公は叫ぶ。 たしかに、そうだ。 よく「死に向かって生きている」とか「死ぬために生きているようなもの」とか言われるけれど、「生」と「死」は表裏一体。 死んでなければ生きてるし、生きてなければ死んでいるんだから。 「どんなふうに死ぬか」は、結局「どう生きたか」なのか。
医学の進歩は喜ばしいことなんだろうけれど、 それが故にきっとこういう問題も増えていくわけで。 難しい。
その前まで読んでいたのは、「ブラックジャック」だった。 他にも、病院や医者絡みの本がたくさんある歯医者だ。 病院に、この手の本がたくさんあると、なにやら逆説的なものを感じてしまう。 もしくは、それだけ自信もあるぞ、とも読み取れるけど。 (いや、たぶん、そんなふうな深い意味はないんだろうけれど)
「Dr.コトー診療所」も置いてくれないかなあ〜。
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