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2005年04月07日(木) |
2005年本屋大賞おめでとう |
2005年本屋大賞決定。 恩田陸『夜のピクニック』。 読んだことないので、コメントできないけど、おめでとう。
梨木香歩『家守奇譚』がノミネートされていたので注目していたのだけど、 結果3位でした。 ううむ、残念(ってわたしがいうのか)。 でもこれでまた読者が増えるかもね。 そしてまた、新作をどんどん書いて欲しいです。
書店員が、「読んで欲しい本」を選ぶ本屋大賞。 今年で2回目。 面白い企画だと思う。 小規模書店がつぶれたり、いろいろあるけど、 でもエンドユーザーと直接ふれあう店頭は結構頑張っている。 (実は大規模書店のサービスは、なかなかよい) 紙の本は、将来的になくなるかも、なんてことも言われるけど、 こうしてみると、そうでもないと思うんだよね。
谷山浩子幻想図書館vol.3「アタゴオルは猫の森」を観てきた。
芝居じゃん。 っていうのが、まず感想。 歌は10曲くらいあったけど、ほとんどお芝居。 本職が3人加わっているとはいえ、残り3人は素人なのに、よくやる。
前回の「不思議の国のアリス」は、朗読劇だったし、 谷山「アリス」だからというのもあって、 透明な陰湿さみたいな雰囲気もあり、「幻想」の名にふさわしかった。 谷山さんが「アリス」の台詞を担当するのも合っていた。 そういえば、ラジオドラマに出演していたこともあるし、 体を使わない演技は向いているのかしら。
今回の「アタゴオル」が持つ独特な世界は、 陽気な方の谷山さんに、やっぱり合っていると思ったけど、 この舞台としては、実は谷山さんが出なくてもいいのでは、 と思ってしまったのが正直なところ。 演技に動きが入ると、ちょっとアイタタタって感じ。 どこか、NHKの教育番組を思い出させる。
谷山さんと、斉藤ネコさんは、こちらが恥ずかしくなっちゃう。 まあ、ほほえましいと言えば、そう。 本職じゃないから、学芸会と思えば、よいです。 ところが、主役を張った石井AQ氏は素晴らしかった。 演技が巧いかどうかは、ともかくとして、それでOKって思わせる雰囲気がある。 この人、緊張するってことを知っているのだろうか。 普段のコンサートもそうだが、すっかり自然体なんだもの。
前々から、音楽劇でもミュージカルでも、なんでもいいが、 そういうものの音楽を谷山さんがやったら、 面白いだろうなと思っているが、今回は、それを確信。 本当に、やってくれませんかね。
2005年03月24日(木) |
嫉妬なのか(からくりからくさ) |
梨木香歩『からくりからくさ』を読んでいる。 2年ぶりくらい? 何度も「無性に読みたい」の波を越え(手元になかったから)、 久々のご対面だからか、なんだかとっても懐かしい気分。
今回は、あんまり真面目に読み込まず、 慣れた話だからさっさかさーっとなぞり読みみたいにしているのだけど、 半ばあたりまで進んだら、妙に心が落ち着かない。 なんだろう…… なんかこう、淋しいような、切ないような。 ……たぶん、これは嫉妬なんじゃないだろうか。 祖母の家と、そこに住む四人の女性達と、りかさんとの世界。 この目の前にある世界に、けっして生身は住めないのだと、 自分は入ることができないのだと、ひしひしと感じて、 嫉妬しているような気がする。
小説なんだから、当たり前なんだけどねえ。
***** 最近、人と会ったり、電話したり、メールしたり、 という回数が、わたしにしては多い。 その瞬間は、とても楽しい。嬉しい気分だ。 でも、それが過ぎるとひどく疲労感がある。 そして、虚しい気分になる。 人と会えば会うほど、話をすればするほど、 「わたし自身」は内に向いていく、陰にこもっていくようだ。 正直言って、つらい。
なんなんだ、これは。
2005年03月22日(火) |
意味不明なおかしみ(第七官界彷徨) |
尾崎翠『第七官界彷徨』読了(一応)。
うーんと、予想外だった。 もっとドロドロ陰気な話か、難解な話かと思っていたのだけど、 すこーんと軽かった。 登場人物がみんな変で、 それぞれの論理でゆったり暴走している点では、 難解と言えば難解だけど。
昭和一桁の作品とは思えない。 現代にも充分通用する。 通用っていうか、よほど面白い。 意味不明と言えば、意味不明だが、おかしみがある。 そりゃ言葉の端々は古めかしいのだけど、 かえってそれが新鮮でもある。
個人的注目は、実は「「第七官界彷徨」の構図その他」の方。 登場人物をみんな尋常ならざる者にしたのは、作者の意図であり、 そこに巧妙な仕掛けがなされていることや、 全体の運び、エピソードなどを、前もって図式化してから、 物語をつづり始めたことなどが書かれていて、 大変興味深い。 ま、たいがい誰でも物書きは構想メモくらいつくるのでしょうけど、 尾崎翠は、かなり緻密に作っていたようだ。 なるほど、なるほど。
ところで。 「だいななかんかいほうこう」って言いにくいよね。 それだけがどうも気になって。
2005年03月12日(土) |
西の魔女VS物理オタク女子高生(西の善き魔女3巻、食卓にビールを3巻) |
荻原規子『西の善き魔女』文庫版3巻読了。 小林めぐみ『食卓にビールを』3巻読了。 おや、どっちも3巻だ。
『西の〜』1・2巻とも多忙のあおりをくって感想を書きそびれていたが、 まだあと4巻くらい出るので、ま、のんびりと。 正統派ファンタジーなのに、 ところどころに「あやしい」少女趣味が混ぜ込んであって、 笑えてしまう(歳だからか!)。 話も舞台設定も、ありふれていると思わせて、 実はそうでもなさそうなので、おもしろい。 ゲーム化は難しいと思うが、アニメ化はいい思う。 真面目にやれば、かなりいい作品になるはず。 手抜きの間に合わせでやると、ファンにきっと袋にされるでしょう。 あと、たぶん作者に愛想尽かされる。 と、余計な心配はいらんのだけど、 出会い──別れ──再会、を繰り返し、 舞台を移動しつつ広げてきた1〜3巻。 続きはまたぐっと広がりそうな予感を秘めつつ、 次は外伝らしい。
『食卓に〜』は、いつの間にやら3巻。 3ヶ月ペースで新刊発行って、小林さんにあるまじき快挙(失礼!)。 まあ、雑誌連載だからなーと思ってなめてかかってはいけない。 だって、連載分はたった2本で、残りの6本は書き下ろしって、 変な短編集。 でも、2巻は短編2・3本+中編1本みたいなつくりで、 このキャラ・このテンションで中編はイマイチだと思っていたので、 すべて短編にした今回の方が成功。 あいかわらず物理オタクで、ノー天気に飛ばしまくっているが、 実はこのシリーズ、すんばらしく「隣実物語」しているので、 その構造にわたしは注目している。 だいぶこのテンションに慣れてきたので、もう何巻か出てもいいよ。 (でも重厚なお話も読みたいよ、小林さん!)
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