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2005年04月07日(木) 2005年本屋大賞おめでとう

2005年本屋大賞決定。
恩田陸『夜のピクニック』。
読んだことないので、コメントできないけど、おめでとう。

梨木香歩『家守奇譚』がノミネートされていたので注目していたのだけど、
結果3位でした。
ううむ、残念(ってわたしがいうのか)。
でもこれでまた読者が増えるかもね。
そしてまた、新作をどんどん書いて欲しいです。

書店員が、「読んで欲しい本」を選ぶ本屋大賞。
今年で2回目。
面白い企画だと思う。
小規模書店がつぶれたり、いろいろあるけど、
でもエンドユーザーと直接ふれあう店頭は結構頑張っている。
(実は大規模書店のサービスは、なかなかよい)
紙の本は、将来的になくなるかも、なんてことも言われるけど、
こうしてみると、そうでもないと思うんだよね。


2005年03月26日(土) ア・タ・ゴ・オ・ル

谷山浩子幻想図書館vol.3「アタゴオルは猫の森」を観てきた。

芝居じゃん。
っていうのが、まず感想。
歌は10曲くらいあったけど、ほとんどお芝居。
本職が3人加わっているとはいえ、残り3人は素人なのに、よくやる。


前回の「不思議の国のアリス」は、朗読劇だったし、
谷山「アリス」だからというのもあって、
透明な陰湿さみたいな雰囲気もあり、「幻想」の名にふさわしかった。
谷山さんが「アリス」の台詞を担当するのも合っていた。
そういえば、ラジオドラマに出演していたこともあるし、
体を使わない演技は向いているのかしら。

今回の「アタゴオル」が持つ独特な世界は、
陽気な方の谷山さんに、やっぱり合っていると思ったけど、
この舞台としては、実は谷山さんが出なくてもいいのでは、
と思ってしまったのが正直なところ。
演技に動きが入ると、ちょっとアイタタタって感じ。
どこか、NHKの教育番組を思い出させる。

谷山さんと、斉藤ネコさんは、こちらが恥ずかしくなっちゃう。
まあ、ほほえましいと言えば、そう。
本職じゃないから、学芸会と思えば、よいです。
ところが、主役を張った石井AQ氏は素晴らしかった。
演技が巧いかどうかは、ともかくとして、それでOKって思わせる雰囲気がある。
この人、緊張するってことを知っているのだろうか。
普段のコンサートもそうだが、すっかり自然体なんだもの。


前々から、音楽劇でもミュージカルでも、なんでもいいが、
そういうものの音楽を谷山さんがやったら、
面白いだろうなと思っているが、今回は、それを確信。
本当に、やってくれませんかね。


2005年03月24日(木) 嫉妬なのか(からくりからくさ)

梨木香歩『からくりからくさ』を読んでいる。
2年ぶりくらい?
何度も「無性に読みたい」の波を越え(手元になかったから)、
久々のご対面だからか、なんだかとっても懐かしい気分。

今回は、あんまり真面目に読み込まず、
慣れた話だからさっさかさーっとなぞり読みみたいにしているのだけど、
半ばあたりまで進んだら、妙に心が落ち着かない。
なんだろう……
なんかこう、淋しいような、切ないような。
……たぶん、これは嫉妬なんじゃないだろうか。
祖母の家と、そこに住む四人の女性達と、りかさんとの世界。
この目の前にある世界に、けっして生身は住めないのだと、
自分は入ることができないのだと、ひしひしと感じて、
嫉妬しているような気がする。

小説なんだから、当たり前なんだけどねえ。


*****
最近、人と会ったり、電話したり、メールしたり、
という回数が、わたしにしては多い。
その瞬間は、とても楽しい。嬉しい気分だ。
でも、それが過ぎるとひどく疲労感がある。
そして、虚しい気分になる。
人と会えば会うほど、話をすればするほど、
「わたし自身」は内に向いていく、陰にこもっていくようだ。
正直言って、つらい。

なんなんだ、これは。


2005年03月22日(火) 意味不明なおかしみ(第七官界彷徨)

尾崎翠『第七官界彷徨』読了(一応)。

うーんと、予想外だった。
もっとドロドロ陰気な話か、難解な話かと思っていたのだけど、
すこーんと軽かった。
登場人物がみんな変で、
それぞれの論理でゆったり暴走している点では、
難解と言えば難解だけど。

昭和一桁の作品とは思えない。
現代にも充分通用する。
通用っていうか、よほど面白い。
意味不明と言えば、意味不明だが、おかしみがある。
そりゃ言葉の端々は古めかしいのだけど、
かえってそれが新鮮でもある。

個人的注目は、実は「「第七官界彷徨」の構図その他」の方。
登場人物をみんな尋常ならざる者にしたのは、作者の意図であり、
そこに巧妙な仕掛けがなされていることや、
全体の運び、エピソードなどを、前もって図式化してから、
物語をつづり始めたことなどが書かれていて、
大変興味深い。
ま、たいがい誰でも物書きは構想メモくらいつくるのでしょうけど、
尾崎翠は、かなり緻密に作っていたようだ。
なるほど、なるほど。

ところで。
「だいななかんかいほうこう」って言いにくいよね。
それだけがどうも気になって。


2005年03月12日(土) 西の魔女VS物理オタク女子高生(西の善き魔女3巻、食卓にビールを3巻)

荻原規子『西の善き魔女』文庫版3巻読了。
小林めぐみ『食卓にビールを』3巻読了。
おや、どっちも3巻だ。

『西の〜』1・2巻とも多忙のあおりをくって感想を書きそびれていたが、
まだあと4巻くらい出るので、ま、のんびりと。
正統派ファンタジーなのに、
ところどころに「あやしい」少女趣味が混ぜ込んであって、
笑えてしまう(歳だからか!)。
話も舞台設定も、ありふれていると思わせて、
実はそうでもなさそうなので、おもしろい。
ゲーム化は難しいと思うが、アニメ化はいい思う。
真面目にやれば、かなりいい作品になるはず。
手抜きの間に合わせでやると、ファンにきっと袋にされるでしょう。
あと、たぶん作者に愛想尽かされる。
と、余計な心配はいらんのだけど、
出会い──別れ──再会、を繰り返し、
舞台を移動しつつ広げてきた1〜3巻。
続きはまたぐっと広がりそうな予感を秘めつつ、
次は外伝らしい。

『食卓に〜』は、いつの間にやら3巻。
3ヶ月ペースで新刊発行って、小林さんにあるまじき快挙(失礼!)。
まあ、雑誌連載だからなーと思ってなめてかかってはいけない。
だって、連載分はたった2本で、残りの6本は書き下ろしって、
変な短編集。
でも、2巻は短編2・3本+中編1本みたいなつくりで、
このキャラ・このテンションで中編はイマイチだと思っていたので、
すべて短編にした今回の方が成功。
あいかわらず物理オタクで、ノー天気に飛ばしまくっているが、
実はこのシリーズ、すんばらしく「隣実物語」しているので、
その構造にわたしは注目している。
だいぶこのテンションに慣れてきたので、もう何巻か出てもいいよ。
(でも重厚なお話も読みたいよ、小林さん!)


鳥乃 |MAILHomePage

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