Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 スーパーアグリ、新型車SA06シェイクダウン!
2006年07月21日(金)

 日本のF1ファンの間でも、スーパーアグリを応援するF1ファンとそうでないF1ファンとでは、その温度差は非常に大きいのですが、少なくともスーパーアグリファンにとっては、待ちに待ったビッグニュースと言えるでしょう。そう、佐藤琢磨を応援するものとしては、昨年の最大のF1ニュースが11月1日のスーパーアグリF1参戦発表であるならば、今年もっとも大きなF1ニュースが、いよいよシェイクダウンを果たした待望のスーパーアグリ新型マシン「SA06」のデビューでしょう!

 ……え?それのどこがビッグニュースなんだって?

 ……モントーヤの引退の方がよっぽどビッグニュースだろって?

 ……まあ、確かにモントーヤの突然の引退劇も衝撃的でしたが、やはりSA06のデビューはスーパーアグリフリークの僕にとっては待望でしたからねえ。やはりこのニュースにはどんなニュースも敵いませんよ。そりゃミハエル・シューマッハ引退だったらひっくり返りますけどね。それに昨年11月1日のスーパーアグリF1参戦発表だって、6台のみのアメリカグランプリの衝撃なんて吹き飛んでしまいましたからねえ。

 スーパーアグリは11月の参戦表明から、旧アロウズの4年落ちのマシンをベースに急場ごしらえでSA05を組み上げ、初めてのF1グランプリシーズンを戦ってきました。シーズンと同時進行で新型車SA06の開発も進められていましたので、SA05は特にこれと言って大した改良をすることもできず、グリッド最後尾の常連になりながらも決して腐ることなく一生懸命戦ってきました。その努力が、ついに報われるときが来ました!いよいよSA06が今週19日にシルバーストーンでシェイクダウンを果たし、30周を走破したのです!そして来週末におこなわれるF1第12戦ドイツグランプリで、いよいよレースデビューします!

 SA06の最大のポイントは新しいギヤボックスの採用で、エンジン位置も下がり、マシンの後部が非常に効率的に性能を出せるようになったそうです。マシンの後部が効率的になったというのは、ホンダのマシンが採用するものと同じ小型で高性能のギヤボックスを使用することで、リヤ部分の絞込みを強め、空気の流れを増進し、より安定したリヤの動きを手に入れたということです。F1マシンはもちろん全体の性能向上が速く走るための必須条件ですが、特にリヤの安定はキーポイントになります。

 実際にレースで走るのは来週末のドイツグランプリからですが、シミュレーションでは旧型車SA05より2秒近く速いラップタイムをマークしたそうですから、ドライバーやチームのみならず、ファンも期待してしまいますよね。スーパーアグリの目下のライバルはミッドランドの2台ですが、ドイツグランプリからはSA06で、ミッドランドを打ち負かしてもらいたいものですね。

 なお、今回シェイクダウンを果たしたSA06はまだ完全体ではなく、このあとフロント部分の開発を進め、第14戦トルコグランプリまでには完成されたSA06が見られるそうです。そうなればさらなる進化も期待できそうですね!

 思えば開幕当初は第4戦サンマリノグランプリまでには新型車が用意できるはずだったのが、それが第8戦イギリスグランプリに延び、さらにそれが延期されて第11戦フランスグランプリまでには何とかという話になり、最終的に1戦延びてドイツグランプリに確定。

 ……長かった。

 しかし、僕はこのSA06が期待外れな結果に終わったとしても、決してスーパーアグリを見放したりはしませんぞ!スーパーアグリには少しでも長い間F1の世界にとどまって、いずれは優勝争いができるまでのチームに成長して欲しいものですな。

 それにはまず、本家のホンダに頑張ってもらわないと困りますけどね……。



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 「DEATH NOTE」……ってまたかよッ!
2006年07月20日(木)

 昨日までの3日間で人気漫画「デスノート」について書いてきましたが、今回もしつこく「デスノート」ネタです。たぶん今日が最後になると思いますので、興味のある方はお付き合いください。

 今日のお話は、もしも僕が“名前を書くだけで人を殺すことができる”というデスノートを手に入れたらどうするか、というお話。「デスノート」を読んだことのある方なら、「もし自分がデスノートを持っていたらどうするだろう」と一度は考えてみたことがあるのではないでしょうか。(え?ない?)

 ではここで、デスノートのルールについて解説しておきましょう。ただしデスノートには、死神界で作られた実に様々なルールが存在しているので、今回は便宜上、その中から特に今回のテーマに直接関係するルールだけを抜粋しました。


【デスノートのルール(一部)】

●人間の顔を思い浮かべその名前を書くと、その人間は死ぬ。
 同姓同名がいても、有効なのは名前を書くときに思い浮かべた対象だけ。

●名前以外何も書かない場合は40秒後に心臓麻痺での死亡となるが、
 名前を書いてから40秒以内に死因を書けばそのとおりになる。

●ノートに名前を書かれた人物の死を取り消すことは出来ない。

●死因を書いた場合、記された死因での死亡となる。

●死因を書いてから6分40秒以内に死に至るまでの詳細を書くと、
 その人間の死まで物理的に可能な範囲で操ることができる。
 可能な範囲でない書き方をした場合すべて心臓麻痺で死ぬ。

●対象者が知りえない情報を使う、または行い得ないことをすることは不可能。

●日時を指定した上で操って殺せるのは23日以内。

●23日以上かかるような病気を死因に指定して死亡させる場合は例外。
 ただし日にちの指定を行えば無効になる。無理が生じるならば心臓麻痺となる。

●死因の「自殺」は誰にでも有効であり、「考えもしないこと」の限りではない。


 わかりやすくまとめると、とにかく本名を一字一句間違えずに書けば、ただ名前だけを書いた場合はその人間を40秒後に心臓麻痺で殺すことができるというわけです。さらに「事故」「殺される」などの死因を書けばその通りになります。そして23日以内であれば殺す人間の行動を操ることができますが、物理的に不可能なことを書けば無効となり、すべて心臓麻痺での死亡となります。その他にも、物理的に不可能な行動やその者がすることができない行動は全て無効となり、心臓麻痺となります。

 とまあこんな具合で色々と死神界によって定められた決まり事があるわけですが、さあ、皆さんがもしこのデスノートを手にしたら、一体どうしますか?ちなみにデスノートのルールはすべて、デスノートの最初のページに「使い方」として書かれているものとします。(実際主人公が手にしたデスノートのも書かれていました)

 僕だったら、まず主人公がしたように、このノートが本物であるかどうか確かめようとするでしょう。とはいえ、本物であるかをしるためには、実際にノートに名前を書き込んで人を殺す必要があるわけで、実際自分の中で、果たして殺したいと思う人間がいるかと言われれば、そんな人はいるわけないですから困ってしまいますよね。
 もちろん僕は今まで31年間も生きてきたわけですから嫌いな人間もいますし、生きてきた中で一度たりとも殺意を覚えたことがないかと言われれば自信はありません。しかし、そうは言っても本気で殺したいと思った人などいませんし、むしろものすごく嫌いで顔も見たくない人がいたとしても、何も死ぬ必要はないと思う方が普通ですよね。

 そこで僕は、このノートが本物であるかどうか確かめるために、こう書きます。


 「松本智津夫 関わった犯罪の知りうる全ての情報を書き記し、呼吸困難で死亡」


 言うまでもなく、僕は“松本智津夫”という名前の人間を1人しか知りません。元々彼の死刑が確定するのは時間の問題ですし、その前に事件の全容を自ら解明してもらい、さらに最後は呼吸困難によって少しでも死の苦しみを味わってもらおうというわけです。
 彼が死ぬ場所はおそらく獄中ですから、操れる行動は限られているでしょう。本当はサリンで苦しんでもらいたいものですが、サリンを使えば回りにも影響を及ぼしますし、獄中にサリンを持ち込むのは不可能。それなら、どんな死因が苦しいだろうかと考え、呼吸困難が良いだろうと思ったわけです。これまで彼によって殺されてきた人々の苦しみに比べたら全然軽いですが、少なくとも心臓麻痺で一瞬で死ぬよりは、せめてしばらくの間、呼吸ができない苦しみを味わって欲しいですね。というか、獄中ではこれが限界でしょう。

 もしデスノートが本物だったら、ニュースは凄いことになりそうですね。松本容疑者本人が関わったすべての事件の詳細を書き記して、その後獄中死するんですから。ワイドショーは連日この話題で持ちきりとなるでしょう。そうすれば、僕にもデスノートが本物であるということは確実にわかるわけです。

 さて、ではデスノートが本物だとわかったら、次はどうするでしょうか。

 漫画「デスノート」の主人公・夜神月(=キラ)は、テレビや新聞などのメディアで報道された世界中の犯罪者を次々と殺し、その偏った正義感で犯罪のない理想的な世の中を創り出そうとしますが、少なくとも僕にはそんなことはできませんね。
 もちろんテレビや新聞などで様々な犯罪を目にして、その犯罪を引き起こした人間に憤りを感じることはありますが、言うまでもなく僕には犯罪者を裁く権利などありませんし、人の命を奪う権利もありません。ましてやある人間が犯罪者として報道され、裁判で有罪が確定したとしても、もしそれが冤罪だったとしたら……。実は巧妙に仕掛けられた罠によってその人間がはめられて、犯罪者に仕立て上げられて有罪が確定したとしても、もしそれが実際は無実の罪を着せられていたとしたら……罪のない人間を殺してしまうことになりかねませんよね。
 実際判決で一度は無期懲役や死刑判決まで受けた容疑者ですら、その後一転して無罪を勝ち取ることがあるわけですから、僕が主人公のキラのように、自分だけの判断で「この犯罪者は悪だ」と決めつけて処刑を下すというのは、あまりにも危険すぎます。

 世の中に犯罪者に関しては、僕でなくても、ちゃんと法の名の下に公正に判断してくれる裁判官がいるわけで、犯罪者にしても、死ぬことよりも生きて被害者に償っていくことで、被害者のせめてもの救いになる方がいいですし、死んで全てが解決するわけではないですからね。むしろ僕のような一般市民が犯罪者を独自の判断で裁き、篠制裁を与えていくことの方が非常に恐ろしいことであることは言うまでもありません。

 そう考えると、僕にはデスノートの使い道はありませんね。

 そうなると、このデスノートの所有を放棄して死神に返却すれば、デスノートやそれによって犯した殺人のことはすべて記憶から消え失せてしまいます。仮に本物かどうか確かめるために松本智津夫を殺害していたとしても、そのことによって良心の呵責に陥ることはないと言うわけです。人間を殺すことができるノート、しかも死神から与えられたノートにしては、それを使用してもそのことによる“見返り”がまったくないというのが凄いですが……。

 しかし、ただデスノートを死神に返却しただけでは、今後その死神が誰か別の人間にデスノートを与え、その人間がノートを使って殺人を犯す可能性もあります。どんな人間の手に渡ったとしても、1人の人間が人の死を自由に操るというのは、やはり人間の道徳に反しています。なので僕は、デスノートを焼却処分することを選びます。

 デスノートを焼却処分した場合、デスノートは文字通りなくなり、所有権を放棄したわけではないのでデスノートの記憶が消えることはありませんが、他の誰かの手に渡ると言うことはなくなります。
 ただし、漫画「デスノート」では、死神界にいるすべての死神はこのデスノートを所有しており、死神が自分のノートの他にもう1冊ノートを所有していれば、そのうちの1冊を人間に渡すこともできるため、僕が手に入れたノートを焼却したからと言って、その後絶対に他の人間がデスノートを手にすることはないとは言い切れないんですけどね。

 皆さんもデスノートを手に入れた際には、用法を守って正しく使いましょう。



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 「DEATH NOTE」のような心理戦を書くことは可能か
2006年07月19日(水)

 結論、可能。


 一昨日のVoiceでもご紹介しましたが、最近まで「週刊少年ジャンプ」で連載されていた話題作「デスノート」は、死神が落とした殺人ノートを使って理想の新世界の神になろうとする“キラ”と、全世界の警察を掌握できる唯一の存在で、キラの一連の事件を捜査する“L”による心理戦が見物のサイコサスペンス漫画です。
 その主役2人の、お互いの正体を暴くための常識外れな知略戦は、裏の裏のそのまた裏を読み合うという非常に緻密に計算されたもので、お互いが一歩も譲ることなく互角の駆け引きを続け、それが見事にストーリーの核となって読む者を惹き付けています。

 では本題。この「デスノート」のような、緻密に計算され尽くされた2人の主役の駆け引き、果たして僕にも描くことができるのだろうかと、ふと考えてしまったわけです。いえ、僕は漫画は書けないので文章で、ですが。「デスノート」は昨日書いた通り小畑健という漫画家が描いている漫画ですが、大場つぐみという原作者がいて、その原作がものすごく緻密に描かれているんだと思います。

 僕は一応物書きですから、小説や漫画でものすごい作品に出くわすと、果たしてこんな作品が自分でも書けるのだろうかというライバル心が芽生えてしまうわけです。もちろんそのほとんどが「不可能」という結論なのですけどね。だいぶ前に、まだ映画化とかドラマ化とか全く言われていなかった頃に、鈴木光司の「リング」と「らせん」の原作小説を読んで衝撃を受けたことを覚えています。あれを読んだときには、この人は天才だと思いましたね。(断っておきますが、映画やドラマの「リング」「らせん」は、原作の凄さの10分の1も表現できていません)しかし、「デスノート」のような主役2人の駆け引きのような心理戦を書くことは、自分でも可能かなと思います。

 いえ、こう書くと語弊がありますが、「デスノート」のような設定やアイディアとかそういうことではなく、あくまでも「デスノート」に出てくる2人の主人公キラとLという二大秀才が、お互いの心理の裏の裏の裏を読んで推理しあい、そして欺き合うということですよ。

 キラとLはともに東大(漫画では東応大学)の入試で全問正解してしまうほどの秀才という設定ですが、それを書いている原作者の大場つぐみは、もちろんあれだけのものが書けるのですから頭はいいでしょうけど、さすがに作品中の2人ほどの秀才ではないでしょう。
 しかし、作品中の2人の秀才は、お互い見事な推理力を発揮してお互いの言動や行動から考えていることを探り出し、まさに東大全問正解合格も頷けるほどのすさまじい頭脳を披露しています。

 つまり、書いている自分(作者)が秀才ではなくても、秀才のキャラクターの描写を書くことはできるというわけです。だってLなんて、全世界の警察機関を動かせる唯一の存在で、世界最高の探偵といわれているぐらいですから、少なくとも推理に関しては、世界最高の頭脳を持っているということになるわけですからね。まったく惜しい人を亡くしたものです。

 以前にも書いたことがありますが、“物語を書くことの魅力”とは、自分が神となって、自分が創造した世界の中で登場人物をあやつり、自由にその世界を動かすことができると言うことです。そして「デスノート」に登場する2人の秀才は、どちらも“神”である原作者の大場つぐみが創造したものであり、当然その思考や行動は、2人の人格設定に基づいて大場つぐみ自身が構築しているものです。
 つまり何を言いたいのかというと、キラもLも大場つぐみという一人の人間が描いている人物であり、当然どちらの心理も把握していて(というか作り出して)いるわけですから、その一方の考えていることをもう一方に推測させ的中させ、それを読む読者に「何て鋭い推理なんだ!」と思わせることは容易であるということなのです。

 しかし、それでも大場つぐみの書く「デスノート」は、あたかもお互いが本当に様々な根拠を元にして推測を構築しているというプロセスの組み方が、非常に上手いと言えます。
 この作品における多くの推理は、キラが殺人を犯し、その状況をLが推測してキラの正体を探るというものですが、キラは絶対に疑われないようにするため念密な計画立てて殺人を犯しますが、逆にLは「自分がキラならこうするだろう」という発想でものを考え、それがキラと同じ発想であるためにキラと同じ心理に入り込むことができ、キラが練った計画の“絶対”を崩していくことができるわけです。
 ところが、キラはキラで「Lはきっとこんな風に自分を疑っていて、それを確かめるためにこんなことを尋ねてくるんだ」ということを分かっていて、その上でその先の行動をしているので、Lは疑いは持っても確信することができないでいるわけです。しかしそれでもLさらにその先を読んで、「彼がキラならこんなことを言うはずはない。だが、私にそう思わせるためにあえてこう言っているのか?」などと更なる疑いを持ち、結局考え出したらきりがないという状態なんですよね……。

 こんな2人の堂々巡りの心理戦を書いているときの大場つぐみは、きっと楽しくてしょうがないでしょうねえ。僕だってこんなすごいアイディアが思いつけば、嬉しくてものすごい速さで執筆が進むでしょう。

 そんなわけで、最初に書いた通り、あくまでも秀才同士の見事な推理合戦だけなら、推理力には全く無縁で勉強もからっきしの僕にでも、書くことは可能だと思います。

 ただ、やっぱり「デスノート」は、まず“死神が落としたノートに名前を書くと書かれた者は死ぬ”というアイディアが凄いですし、現実問題として本来ならそんな非科学的なもので起こされた殺人なんて解明できるわけがないわけで、それでもLは緻密な推理力を駆使して容疑者を一人に絞ることができたという持っていきかたは実に見事で、こんな物語を書けてしまう大場つぐみはすごい作家だと思います。

 今回はあえて“すでに世に出ているもの”に対して、あとから“それに似たことができるか”という話の流れで書きましたが、そもそもこんなすごいアイディアを思いつくかと言われれば、僕には無理ですね。




 結局は、不可能ってことじゃん……。



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 「DEATH NOTE」の小畑健を“L”風に考察してみる
2006年07月18日(火)

……「デスノート」……今まで読んだこともないような漫画だ……。

絵の上手さは言うまでもないが、ストーリーがずば抜けている……。

こんな漫画が世の中に、それもこの日本に存在していたとは……。





……描いているのは……小畑健……37歳。

新鋭漫画家だと思ったら、漫画家歴17年のベテランじゃないか……。





私のプロファイリングでは、

この繊細で緻密な画風からして、鋭い感性と独特の想像力を持った

現代的な若者だと分析したのだが……間違っていたのか……。






「デスノート」の前の「ヒカルの碁」から一気に名を挙げたようだが……

こんなすごい作品を描く漫画家が、なぜ今まで注目されなかったのだろうか……。





……いや……





この場合、なぜこの小畑健が、

いきなりこれほどまでの作品が描けるようになったのか……

その観点から考えるべきだろう……。





「ヒカルの碁」は1998年から2003年まで5年間も連載され、

単行本も全23巻まで出版された出世作だ。

世界唯一の囲碁漫画として脚光を浴び、囲碁ブームまで巻き起こした作品……。





……たまたま……なのか……?





たまたま今まで誰も描いたことがなかった囲碁漫画を描いたら、

それが思いがけずヒットしたとでもいうのか……?






そしてその後の「デスノート」までも……?





……いや、そうじゃない……





いくら長く漫画を描いていたとは言え、

それまで名の知れていなかった漫画家が、

いきなり立て続けに2本の大作をたまたま生み出すなど、

そう簡単にできることではない……。





「ヒカルの碁」にも「デスノート」にも、原作者がいる!





出世作の「ヒカルの碁」にはほったゆみ、

そして「デスノート」には大場つぐみ……

二つの作品の至高のストーリー性は、

むしろこの2人の原作者を評価するべきだろう……。






……なるほど……






小畑健は画力はずば抜けていたがストーリーテリングに欠け、

そこに類い希なるストーリーテリングの才能を持つ原作者が現れ、

その恩恵を受けていたということか……。






そう考えるとすべてのつじつまが合う……。

思い返してみれば、彼のその他の代表作である

若貴兄弟を描いた「力人伝説〜鬼を継ぐもの〜」にも宮崎まさる、

アニメ化された「人形草紙あやつり左近」にも写楽麿という原作者がいた……。





逆に1989年に連載開始されたデビュー作「サイボーグじいちゃんG」は

完全な小畑健のオリジナルだったからか、わずか31話で連載が終了している……。

そして「力人伝説〜鬼を継ぐもの〜」と「人形草紙あやつり左近」は、

原作者がいたにもかかわらず連載期間は極めて短い……。





画力は当時からずば抜けていたというのに……だ。





「力人伝説〜鬼を継ぐもの〜」は、

当時ブームだった現役力士の若貴兄弟を題材としているゆえ、

そう長くは続かないということは、おそらく本人も認識していただろう。

そして「人形草紙あやつり左近」も、

あやつり人形と推理モノという、少年漫画としてはかなり地味な内容ゆえに、

読者が付いてこられなかったというのも容易に想像できる……。





……つまり小畑健は、「ヒカルの碁」と「デスノート」、

立て続けに素晴らしい原作に出会うという幸運に恵まれ、

そのチャンスを活かしてヒット作を生み出すことができたというわけか……。





……小畑健の画力が申し分ないのは言うまでもない。






だが、いくら絵がどれだけ上手かろうとも、

ストーリーが面白くなければ読者は付いてこない……。

それが漫画家の悲しい宿命でもある……。





小畑健ほどの画力をもってしても、

読者はストーリーの面白さにしか目を向けないものだ。

そしてそれが、小畑健が「ヒカルの碁」まで大成しなかった

最大の理由……。





しかし……だ……。





それならば、逆の発想はどうだ……。





絵が下手でも、ストーリーが面白ければ……

いや、少なくとも読者さえ付いてくれば……

その漫画は長生きする……。





えんどコイチの「ついでにとんちんかん」がそのいい例だ。

あの画力で、しかもあの内容で単行本18巻も出したんだ……。

怖ろしい話だが、あれは漫画界の特殊なケースと言えるだろう。





つまり、画力は優れているが

ストーリーテリングに欠ける漫画家が成功するには、

小畑健のように、優れた原作者と組む以外ないと言うことか……。





……似ている……





……武論尊と原哲夫……





……あるいはゆでたまご!!!





小畑健が今後も生きながらえようと思ったら、

今後も才能のある原作者と組み続けていかなければならない……。





……絵の才能は非常に恵まれているというのに……。





……天は彼に……二物を与えなかったと言うことか……。








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 「DEATH NOTE」コンプリート!
2006年07月17日(月)

 最近まで「週刊少年ジャンプ」で連載していて、映画化もされた話題の漫画「デスノート」の単行本全12巻を、ついに買い揃えましたぞ!

 ストーリーを簡単に説明しましょう。死神リュークが落とした、名前を書くとその者が死ぬというデスノートを手に入れた、日本の高校生・夜神月(やがみライト)。自分の行為を正義と信じる月は、犯罪者のいない理想の新世界の神になることを誓う。月は、世界中の犯罪者の名を次々とノートに書き込んでいき、やがてその存在に気付いた大衆は、殺し屋の意味から「キラ」と呼び始めるようになる。
 一方、キラの存在を察したICPOは、手がけた事件は必ず解決に導くとされる「L(エル)」と呼ばれる謎の探偵にキラ事件の調査を依頼。Lは全世界の警察を掌握できる唯一の存在であり、その本名はおろか、居場所も顔も一切謎に包まれている。
 キラを「悪」と考えるLは、緻密な方法で「キラが日本の関東にいること」を証明し、日本に捜査本部を設けキラに挑む。こうして二人は、お互いの正体を暴く為に、それぞれの正義を掲げて対立することになる。

 この漫画は、他の少年漫画作品と一線を画しています。その最大の特徴は、多くの週刊少年ジャンプ作品の中で、最大のテーマとして頻繁に使われる「ジャンプ三原則」の「友情・努力・勝利」という三大儀を、とてつもなく歪んだ形で表現していることです。
 そしてこの漫画の最大の見所は、「死神が落としたデスノートに名前を書くと、書かれた者は死ぬ」という設定もさることながら、そのノートを手に入れて世界を変えようとする天才高校生・夜神月=キラと、その正体を暴くため追いかけ続ける世界最高の探偵・Lとの熾烈な心理戦ですね。キラとLの裏の裏の裏を読むといった常識外れな知略戦は、「週刊少年ジャンプ」に連載されていた漫画とは思えないほどの至高の面白さを演出しています。

 さて、この「デスノート」、原作は新人作家とされる大場つぐみで、漫画は小畑健が描いており、ストーリーの面白さももちろんですが、その絵の上手さも絶大な人気の理由の1つに挙げられるでしょう。
 で、「デスノート」は以前にもお話ししました通り、たまたま2巻をコンビニで見かけてから5巻あたりまでを立ち読みしていたのですが、この小畑健という漫画家、絵は上手いけど今風の画風だし、これまでこんなものすごい作風の漫画など見たこともなかったので若手の漫画家だと思っていたら、1989年に「サイボーグじいちゃんG」というギャグマンガでデビューした、あの漫画家だったんですねえ!そう言えばどこかで見たことある絵だと思っていました。「サイボーグじいちゃんG」も中学時代に読んでいたのですが、内容はギャグマンガなのにやたらと絵が上手いなあと当時も思っていたんですよね〜。しかも今思えば、「デスノート」のキャラクターに似て、みんななぜかやたらと美男美女だったような気がします。

 さらにこの小畑健、1992年には当時人気絶頂だった若貴兄弟を描いた「力人伝説〜鬼を継ぐもの〜」、95年にはあやつり人形を絡めた推理モノ「人形草紙あやつり左近」なども描いていたというのを最近になって知りました。そして僕は全然読んでいませんでしたが、囲碁ブームの火付け役となった、世界唯一の囲碁漫画「ヒカルの碁」もこの人だったんですね。そう言われてみれば絵が一緒だわ……。

 僕は昔から相撲が好きでしたから、若貴兄弟を描いた「力人伝説〜鬼を継ぐもの〜」は読んでいましたが、若貴兄弟の母親(花田憲子=藤田憲子)がものすごい美人に描かれていて、その当時は藤田憲子は知らなかったのですが、後に実物を見てガッカリした記憶があります。今思えばあの漫画に出てきた藤田憲子は、「デスノート」に出てくる美人キャラの顔でしたわ。

 元々絵は上手いですが、この人「ヒカルの碁」と「デスノート」で一躍名を挙げましたねえ。しかもそのヒット作はすべて原作者付き!良い原作に巡り会えたんですねえ。絵が上手いとストーリーが苦手でも、こういった良い原作者と組んで、出世していくんですねえ。

 では、明日のVoiceでは、この小畑健という漫画家について、「デスノート」に登場する世界最高の探偵L風に考察してみようと思います。


 ……「デスノート」を知らない人にはわからないネタかと……。



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 F1第11戦フランスグランプリ(決勝)
2006年07月16日(日)

 F1第11戦フランスグランプリ決勝、予想通り、やはり優勝はポールポジションからスタートしたフェラーリのミハエル・シューマッハでしたね。

 3番手スタートだったルノーのフェルナンド・アロンソは、最終的に2番手からスタートしたフェラーリのフェリペ・マッサを交わして2位でフィニッシュし、失点を最小限に抑えることができましたが、アロンソの2位という結果が優勝したシューマッハに対しての敗北とするならば、スタートでマッサの前に出られなかったのがその敗因といえるでしょう。

 レースを振り返ってみましょう。スタート後の1コーナーで、先頭に立ったミハエル・シューマッハの後方で、3番グリッドのフェルナンド・アロンソ(ルノー)が2番手のフェリペ・マッサ(フェラーリ)に仕掛けたものの、マッサはそのポジションを守りきりました。上位3台はそのまま順位を変えず、徐々に後続を引き離していきます。2位マッサが3位アロンソを抑え込む中、トップのシューマッハはファステストラップを次々と更新して引き離しにかかります。ここまでマッサは非常にいい仕事をしていたというわけです。17周目にマッサからピットインし、翌周にはアロンソも入りますが、この時点で順位に変動はありませんでした。

 その後30周を過ぎ、フェラーリ2台が相次いで2回目のピットストップを行ないますが、ルノー勢は第2スティントを延ばし、アロンソが次にピットに戻ったのは42周目。この時点でルノーの2ストップ作戦が明らかになりました。先頭を走るシューマッハはファステストを叩き出して独走態勢を築きますが、2位マッサのペースが上がらず、3位アロンソとのタイム差を10秒以上広げることができないまま3度目のピットストップ。この隙にアロンソが2位に浮上します。
 十分なマージンを築いていたシューマッハは、残り15周で最後のピットストップを行ない、余裕を持ってトップでコースに復帰し、そのままルノーとミシュランタイヤの本拠地で見事ポール・トゥ・ウィンを飾りました。

 もし仮にアロンソがスタートでマッサを交わして2位に浮上していれば、その後の展開はかなり面白いものになったでしょう。おそらくシューマッハとアロンソのスピードはほぼ互角だったと思われ、コース上でオーバーテイクするのは非常に困難なサーキットではありますが、ピット戦略でアロンソがシューマッハを出し抜いて逆転優勝した可能性もありましたからね。そう言う意味ではマッサは最終的にルノーの変則ピット作戦で終盤アロンソに交わされたものの、スタートで2位のポジションを守りきり、前をゆくシューマッハを先行させたことは非常に良い仕事っぷりだったと思います。

 リザルト全体を見渡してみると、やはりコース幅が狭く、コース上でのオーバーテイクが困難なここマニクールでは、トラブルによってスローダウンするかピット作業でもたついたマシンを除けば、予選順位と比べてもそれほど大きな順位変動はなかったですね。一言で言えば退屈なレース展開でした。

 さて、旧型車SA05での最後のレースとなったスーパーアグリは、クラッチトラブルでフォーメーションラップからスムーズなスタートが切れずにいた佐藤琢磨が、1周目に早々にリタイヤしてしまいましたね。しかし、トラブルを抱えていたにもかかわらず、スタートでは前をゆくティアゴ・モンテイロ(ミッドランド)を交わして、持ち前の素晴らしいスタートダッシュを見せてくれました。次戦ドイツグランプリからは、いよいよ新型車SA06が投入されますから、今まで何かとコース外でもうるさかったミッドランド(特にモンテイロ)を置き去りにして欲しいものですな。



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 F1第11戦フランスグランプリ(予選)
2006年07月15日(土)

 F1第11戦フランスグランプリ予選、今回から予選ルールが若干変更され、これまで15分の制限時間で、チェッカーが振られた時点ですべてのタイムアタックが終了していた第1ピリオドと第2ピリオドは、最終ピリオド同様チェッカーが振られた時点でコントロールラインを通過していれば、その周回のタイムアタックが認められることになりました。また最終ピリオドは、これまでの20分間から第1ピリオド、第2ピリオド同様15分間に短縮されました。

 第1ピリオドでは、BMWザウバーのジャック・ビルヌーヴと、ホンダのジェンソン・バトンが思うようにタイムが伸びず、この2台に加え、スーパーアグリのフランク・モンターニュと佐藤琢磨、ミッドランドのティアゴ・モンテイロ、トロロッソのビタントニオ・リウッツィが脱落しました。
 第2ピリオドではミッドランドのクリスチャン・アルバース、トロロッソのスコット・スピード、ホンダのルーベンス・バリチェロ、レッドブルのクリスチャン・クリエン、BMWザウバーのニック・ハイドフェルド、そしてウィリアムズのマーク・ウェバーが脱落し、第2ピリオドまでにホンダの2台、BMWザウバーの2台、そしてウィリアムズの1台が姿を消すという波乱となりました。

 注目の最終ピリオドでは、タイトルを争うルノーのフェルナンド・アロンソとフェラーリのミハエルシューマッハによる熱いバトルが展開されました。両者はセッションが開始するやいなや、トップの座を巡ってサイド・バイ・サイドでコースに飛び出し、まずはアロンソが先頭に立ちましたが、アデレード・ヘアピンでシューマッハがアロンソをオーバーテイクし、集団をリードします。その後残り時間10分を切り、アロンソがコース上でシューマッハを交わして再びトップを奪うなど、決勝レースさながらの場面が見られました。両者はタイム争いでも激しいつば迫り合いを見せ、1回目のアタックではシューマッハがトップ、チームメイトのフェリペ・マッサが2番手に入り、フェラーリがワンツー体制になります。3番手に甘んじたアロンソはニュータイヤを装着し、再度タイムアタックを試みますが、シューマッハには及ばず2番手。さらに最後の最後でマッサがタイムを更新して2番手に返り咲き、フェラーリのフロントローが確定しました。

 前戦アメリカグランプリに続き、フェラーリがワンツーで公式予選を制し、3番手ルノーのアロンソに、ヤルノ・トゥルーリが4番手、ラルフ・シューマッハが5番手とトヨタの2台が続きました。以降キミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)、ジャン・カルロ・フィジケラ(ルノー)と続き、ファン・パブロ・モントーヤの突然の引退劇によって急遽レギュラードライバーに抜擢されたペドロ・デ・ラ・ロサ(マクラーレン・メルセデス)が8番手につけました。

 フェラーリの快進撃は前戦のアメリカグランプリのみで、ここフランスではルノーが巻き返してくると踏んでいたのですが、結果は今回もフェラーリがフロントローを独占、僕の読みは外れてしまいました。

 今シーズンここまでシューマッハが勝っているのは、サンマリノ、ヨーロッパ(ニュルブルクリンク)、そして前戦アメリカ。サンマリノはフェラーリの本拠地であり、ニュルブルクリンクはシューマッハの母国グランプリ、シューマッハはそういったここぞというレースでは、なぜか神懸かり的な強さを見せてこれまでにも何度か勝っていますので、今シーズンもその大事な2戦できっちり勝っているのはうなずけます。さらにアメリカグランプリは一部オーバルセクションを利用した高速サーキットで、過去のアメリカグランプリはほとんどフェラーリが勝っていること、さらにマッサも2位でフィニッシュしていることからも、フェラーリとしてはもっとも相性のいいサーキットであることは間違いないでしょう。

 ところが、今回のフランスグランプリはルノーの本拠地であるとともに、ルノーが装着するミシュランタイヤの本拠地でもあります。さらにコースレイアウトもどちらかというとルノーに有利な中速テクニカルサーキットであり、シューマッハとフェラーリが本拠地と母国であるサンマリノ、ヨーロッパを制したならば、アロンソが母国スペインを制してシューマッハの連勝を止めたように、ルノーとミシュランの本拠地であるここフランスでもアロンソが強さを発揮するものと考えていたのですが、さすがにそう単純には行かなかったようですね。

 よくよく考えてみれば、フランスグランプリはシューマッハにとっても過去7回も優勝している得意中の得意グランプリ、さらに今日の予選でマッサも2番手につけたことを考えると、相当フェラーリの仕上がりは良いと言うことなのでしょう。昨年とは違い、今年のフェラーリはすでにルノーと互角の状態まで実力を取り戻してきていることは間違いないですね。フェラーリとしては、ルノーとミシュランの本拠地である、完全アウェーのグランプリで勝利を手にして、ルノーに精神的なダメージを与えたいところでしょう。

 さらに前戦アメリカでフェラーリがワンツーフィニッシュを達成し、アロンソは5位に終わったため、ポイント差は一気に19ポイント差まで縮まりました。今回もフェラーリの2台がフロントローからスタートしますから、またワンツーフィニッシュを達成した場合、アロンソが3位に入ったとしても、アロンソとシューマッハのポイント差はさらに4ポイント縮まることになりますから、タイトル争いはシーズン後半に向けて混沌としてきそうですな。

 明日の決勝で果たして、アロンソがこの抜けないマニクールサーキットで、前をゆくフェラーリ2台の牙城を崩せるかが見物です。アロンソにとって幸いなのは、3番手の奇数グリッドなので、偶数グリッドよりグリップがよいのでスタートダッシュが決められるということぐらいでしょうか。



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 M-NESTトロフィー第3戦(予選)
2006年07月14日(金)

 なかなか選手たちのスケジュールが合わず、先月30日のフリー走行からだいぶ日にちが経ってしまいましたが、今日の正午過ぎより、M−NESTトロフィー第3戦ラグナ・セカの予選がおこなわれました。
 今回の舞台となるラグナ・セカ・レースウェイは、ほとんどのセクションでサンドバリアがコース両側を挟んでおり、非常にダーティでスリッピーなサーキットです。そのためタイヤの摩耗も他のサーキットと比べて厳しく、ハードタイヤでノーピット作戦で行くか、ソフトタイヤで少しでもグリップを確保するか、タイヤのチョイスが悩むところですね。

 では、早速予選結果をご覧いただきましょう。





 6月30日におこなわれたフリー走行のタイムと比べてみると、全体的にタイムが下がっているのがわかります。フリー走行からタイムを縮めてきたのは5番手の佐々木選手(フェアレディZ)と大木選手(RX−8)のみで、あとの僕を含む4選手はいずれもコンマ5秒から1秒以上タイムが落ちています。もちろん1時間の中でベストタイムを競うフリー走行と違い、予選セッションは1周のアウトラップの後、次の1ラップのみのタイムアタックとなるので、一発勝負の厳しさはありますが、先に述べたタイヤ戦略が関係している可能性も考えられますね。

 結果は僕(S2000)が2戦連続のポールポジション、続いて池上選手(スカイラインGT−R)が自己最高位の2番手を獲得し、フリー走行で唯一1分39秒台を叩き出した山本選手(NSX)は、その自己ベストタイムから3秒以上タイムを下げて3番手となり、3戦目にして初めてフロントローを逃しました。

 ……このNSXの遅さが何だか不気味ですな……。

 今回のコースはこれまでの2戦と比べて直線距離が短く、グリップ力とコーナリング時の挙動が重要となるテクニカルサーキットなので、今までよりはS2000に有利といえるでしょう。ただし、先に述べたように非常にスリッピーなので、少しでも挙動を乱したりブレーキングポイントを誤ると、すぐにコースアウトしてしまうので油断できません。そう考えると、今回2番手に付けたスカイラインGT−Rは、唯一の4WDなので有利かもしれませんね。

 ちなみに、現在僕が非常に忙しいため、決勝の日時は今のところ未定です。



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 ジダンとマテラッツィ
2006年07月13日(木)

 FIFAが今日、ドイツW杯決勝でフランス代表主将のジダンがイタリアDFのマテラッツィの挑発に対して頭突きを食らわせて退場となった問題で、20日に開かれる規律委員会にジダンとマテラッツィを呼んで聴取すると発表しました。

 これに先駆けて、ジダンは12日にフランスのテレビ番組に出演し、事件後初めて口を開きました。マテラッツィの言動が母と姉に対する耐え難い侮辱で、許せなかったという気持ちを打ち明け、衆人環視の中での暴力や世界中のサッカーファンの子供たちに対して謝罪しましたが、あのような行為に及んだことに対しては「後悔はしていない。後悔するということは、相手がした挑発(が報復されるべきものではないこと)を認めることになる」と語りました。
 しかし、肝心のマテラッツィが挑発したという言動については「何度も何度も『お前の母親、姉は…』と言われた。許し難い言葉、私の心の非常に奥深いところに触れる言葉、激しい言葉だった。」と語るに留まり、核心については触れようとしませんでした。

 ジダンは、マテラッツィが発した言葉を告発することを望んだわけではありませんでした。それよりも力を込めて話したのは、自分の行為は特に子どもへの影響が大きく謝罪したいということ。しかしそれについて後悔はしていないという内容でした。

 一方、マテラッツィはこのジダンの発言に対し「僕は彼に人種差別的な言葉や、宗教とか政治に関することを言った覚えはない。彼の母親についても何も言っていない。僕は15歳で母を亡くしていて、今でもそのことを口にするのがつらいほどなんだ。」とジダンの主張を否定しました。また「ジダンは僕にとって伝説のヒーローだ。とても尊敬している」と述べ、さらにジダンの最優秀選手賞が取消になる可能性について「賛成できない。ジダンは賞に値するプレーをした。」とも語っていました。




 さて、僕はこれまでF1を初めとした多くの事柄に関する私論は、なるべく明らかな根拠を元に、自分が事実だと思うことを書いてきましたが、これから書くことはあくまでも僕の推測に過ぎません。個人的感情や先入観も踏まえた上で書きますので、予めご了承下さい。

 マテラッツィがジダンの主張する差別発言や侮辱発言をしていないと否定している以上、核心について触れなかったジダンがそのすべてを打ち明けない限り、この問題は進展することなく終わってしまうでしょう。しかしジダンは、テレビやメディアという公の場ではその核心への言及を避けましたが、「もちろん報復行為は罰せられるべきだが、挑発がなければ報復もない。本当に責められるべき人間を罰する必要がある」として、マテラッツィに対しても相応の処分を加えるよう訴えているため、FIFAの聴取会の席では、真実を明らかにする可能性があります。
 ただし、例えジダンがその真相を明らかにしたとしても、マテラッツィが否定している以上双方の主張は食い違うことになり、問題は平行線で、真相究明には相当の時間を要することが予想されます。

 果たしてどちらの言い分が正しくて、どちらが嘘をついているのか……。

 あまり先入観や過去の事例だけでこういったことに対して結論づけるのは良くないと思うのですが、あえて結論づけるとすれば、僕はジダンの主張するように、マテラッツィがジダンに対して差別的、あるいは侮辱的発言をして挑発したと考えます。つまり、マテラッツィが嘘をついていると……。

 確かにジダンは、試合中に自分を見失ってしまうほど頭に血が登ってしまうことがあり、過去にも相手選手に対して頭突きを食らわせたりしたことが何度かありました。
 しかし、一方のマテラッツィはそれにも増して気性が荒く、暴力的な守備で知られており、空中戦で膝を立てたり、危険なタックルを後ろから仕掛けるなど、セリエAでも彼の気性の荒さは有名です。

 2004年2月のインテル対シエナ戦では、シエナDFブルーノ・チリッロに対してベンチから再三に渡って侮辱発言を繰り返し、挙げ句の果てにはそれを抗議するため試合後マテラッツィの元へ出向いたチリッロを殴りつけ、チリッロは血まみれの姿をテレビの前にさらすこととなったのです。
 マテラッツィは他にもこのような暴力行為や侮辱的発言を試合中に何度もおこなっており、そのたびに謝罪をしていますが、結局何も変わらないのが彼の特徴なのです。

 今回のジダンとの一件に関しても、ジダンの主張が、マテラッツィが否定するように本当に事実でないのならば、彼の気性の荒さや性格からして、もっと怒り狂ってもおかしくないでしょう。身に覚えのないことを言われているのですから、マテラッツィが怒って当然です。
 しかしマテラッツィは、その普段の気性の荒さが影を潜めたように、ただ「そんなことは言った覚えがない」と否定するに留まり、なおかつ試合中に頭突きを食らわせて自分を批判しているジダンに対して、憤りどころか逆に敬意の念しか持っていないという白々しいというか何というか、まるでジダンの行為に未だ困惑しているとでも言いたげな、らしからぬ発言……。

 どう考えてもマテラッツィが嘘をついているとしか思えないでしょう。

 ちなみに、マテラッツィが相手の名誉を傷つける発言を行ったことが確認された場合、規律法の条文では最低2試合の出場停止および罰金3300ユーロ(約48万円)が規定されています。さらに人種差別的な発言だった場合は最低で5試合の出場停止と6600ユーロ(約96万円)の罰金となります。

 ジダンが払った代償に比べたら、ずいぶん軽い処罰ですな……。



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 F1ニュースフラッシュ!
2006年07月12日(水)

 F1界ではこのところ興味深いニュースが続いていますが、Voiceでも「SA06はドイツデビュー」「鈴鹿来季開催絶望的」「モントーヤ引退」などといった僕的に大きなニュースを取り上げましたが、今日はその他の気になるニュースをいくつか取り上げてみましょう。



■スーパーアグリ、ドイツから山本左近を起用
 スーパーアグリが第12戦ドイツグランプリから、セカンドドライバーを現在のフランク・モンターニュから山本左近に交代させることを正式に発表しました。逆を言えばモンターニュは今週末におこなわれる第11戦フランスグランプリが最後のレースとなり、以後は再びサードドライバーとしてチームのサポートに廻ることになります。
 フランク・モンターニュは、当初前戦アメリカグランプリまでの契約だったそうですが、彼がフランス出身ということで、「ぜひとも地元フランス人ドライバーを」というバーニー・エクレストンの要請をチーム代表の鈴木亜久里が受けたもの。

 かつてはアラン・プロストらを輩出しF1ドライバー王国を誇ったフランスですが、2004年の日本グランプリのオリビエ・パニス以来、フランス人F1ドライバーは不在でした。また、新興チームであるスーパーアグリがF1という政治色の強い世界で上手くやっていくためにも、鈴木亜久里のこの判断は、非常に良い判断だと思いますし、評価できます。
 ただし、僕的にはこれまでにも何度か言っていますが、“日本人ドライバーコンビ”“オールジャパン体制”ということにこだわっているようですが、山本左近のレギュラードライバー起用は時期尚早だと思わずにはいられません。今シーズンはチーム自体が“勉強の年”でもあるわけですから、今シーズンはこのままフランク・モンターニュを最終戦まで起用し、山本左近にはその間十分な経験を積ませて、晴れて来年から万全の体制でデビューさせた方が良かったのではないかと思います。

 この僕の不安が取り越し苦労になればいいんですがね……。



■BMWザウバー、奇抜な新ウィングを実戦投入
 先週のヘレス合同テストで、BMWザウバーがコクピットの前部分に迫り立つ2枚の新ウィングを持ち込み、関係者の目を丸くさせました。こちらがその新ウィングなんですが、何なんでしょうねこれは!何だかATMの両側にある衝立のようです!

 この新ウィングを装着したマシンをテストしたテストドライバーのロバート・クビカは、「全然意味がわからないよ。走っても何が違うのか、まったく感じられないし……。もちろんこんなものレースでは使わないだろう」とコメントしていましたが、何とBMWザウバーはこの奇抜なウィングを本気で実戦に投入する構えのようです!チーム側はこのウィングがレギュレーションに合致するかどうかをFIAのテクニカル・オフィサーに確認したとのことですが、これが認められれば、早ければドイツグランプリにも実戦で使用される見通しです。

 いや〜しかし、BMWザウバーはこのウィングにどのような効果を期待しているのでしょうか。あれだけ細いものが進行方向に対して垂直に迫り立っているわけですから、直線では空気の流れにはほとんど影響しないと思われるので意味がないし、逆に緩やかな高速コーナーでのコーナリング時には、横からの空気抵抗が増して、返ってマシンの挙動に支障をきたすような気がします。そもそもドライバーにしてみたら、自分の視線の先にあんなものがあったら邪魔でしょうがないと思うのですが……。

 これが本当に実戦で投入されたら、間違いなくビルヌーヴが酷評するでしょうな。



■金曜日のサードドライバー制廃止へ
 現在のレギュレーションでは、前年のコンストラクターズ・ランキング5位以下のチームは金曜日に行われる2回のフリー走行で、2人のレギュラードライバー以外にサードドライバーも走らせることができることになっていますが、これに関して「該当するチームが不当にアドバンテージを得ている」という上位チームからの不満があったようです。FIAはこれを受けて、ここでも“コスト削減”という名目で、このルールを今シーズン限りで廃止することを提案し、今月6日の世界モータースポーツ評議会で正式決定されました。

 このルールによって、2004年2位のBAR・ホンダ(前年5位)、2005年2位のマクラーレン(前年5位)、4位のトヨタ(前年8位)が恩恵を受けたとされますが、別に元々下位チームに対する救済措置というかハンディキャップでこのルールを新設したわけで、それによって前年下位に沈んだチームが躍進してもいいと思うんですけどねえ。それがおかしいというのなら、何のためのルールなんだと言いたいです。

 しかし、このルールが廃止されるとなると、スーパーアグリにとっては非常に厳しいですね。スーパーアグリとしては来季もレギュラードライバーの他にサードドライバーを走らせて、より多くのデータを収集したいでしょうし、何と言っても合同テストと違い、実際にレースで走るサーキットでテストできるわけですから、若いドライバーを育成する格好の機会でもあったわけです。スーパーアグリに限らず、今のF1では若手ドライバーの育成が急務となっていますから、F1にとってもこのルールの廃止は、あまり良いことではないような気がします。



■ホンダ、新風洞施設完成
 ホンダがこのほど、拠点であるイギリス・ノーザンプトン州ブラックリーの敷地内に、新しい風洞施設を建設し、その完成セレモニーをおこないました。
 今回新しく完成した新風洞は、フルスケールのマシンで実験ができ、マシン開発を進めるために、マシンに16枚の回転翼と27枚の固定翼から成る直径5mにも及ぶ巨大ファンで起こした秒速80mの風を当て、マシンの空力性能や特性を測定し、同時にマシン下の秒速80mで動くローリングロードを動かすことで、走行中の状態を模擬できるそうです。

 こちらがその新風洞施設なんですが、凄い!過ごすぎる!何だかメン・イン・ブラックの秘密基地のようです!!今のこの写真の状態でファンを回してみてええええ!

 この新風洞施設の完成によって、来シーズンのマシン開発能力は大きく飛躍すると思われます。この施設で良いシャシーを作れば、あとはエンジンさえ壊れなければ、ついでにピット作業でもたつかなければ、来シーズンは悲願のホンダ初優勝が期待できそうですね!今年はおそらく無理だと思うので、来年こそ、ポディウムで「君が代」を響かせて欲しいものです!



■クルサード、レッドブルとの契約を更新
 個人的には非常に嬉しいニュースです。ベテランドライバーのデビッド・クルサードが、レッドブルとの契約を更新しました。レッドブルのスポーティング・ディレクター、クリスチャン・ホーナーは、「クルサードは明らかに卓越した優秀なドライバーだ。彼が真にその能力を発揮した時には間違いなく世界トップクラスの一人だよ。みんなは彼の歳のことを言うが、マンセルやヒルがタイトルを獲った時にはもっと歳がいっていたよ。」とクルサードを高く買っているようです。

 デビッド・クルサードは現在35歳のイギリス人ドライバーで、1994年サンマリノグランプリでのアイルトン・セナの事故死を受け、その代役としてウィリアムズからF1デビューを果たしました。96年からはマクラーレンに移籍し、2004年まで在籍しました。翌2005年からは新チームレッドブルに移籍し、今に至ります。

 彼はウィリアムズ時代とマクラーレン時代に通算13勝を挙げており、ウィリアムズ時代はデーモン・ヒル、マクラーレン時代はミカ・ハッキネンとキミ・ライコネンの活躍の陰に隠れてしまう形となりましたが、昨年新チームレッドブルに移籍して念願のエースドライバーの座を射止めてからは生き返り、ベテランらしいまろやかな走りで堅実に入賞を重ね、今年のモナコグランプリでは見事に3位表彰台に登り、チームの牽引役として大活躍しています。

 クルサードは一発の速さはそれほどないですが、その堅実で安定した走りはもはや職人の域に達しており、F1ではレースを最後まで走りきることで結果がついてくると言うことを証明してくれています。もちろんバトルするところでは積極に仕掛けていきますし、レッドブルに移籍してからのクルサードは、トップチームに在籍していた頃のプレッシャーから解き放たれたかのように、見違えるような走りを見せてくれます。

 彼には今後も頑張って欲しいですね、モントーヤの分まで……。



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