寂しがりなのに 近づかれると閉ざしてしまう 本音は誰にもいわない いえない これからもきっと
雲
あまりにも簡単に幸せを感じてしまったわたしは 少し恥ずかしくなり 十分すぎるほど美しい雲を眺めた 風の穏やかな空は、ゆっくりと雲を運んだ
この街のしじまを聞きたく思い 目深に帽子を被り屋上へとのぼった テラスの椅子にすわり 街を、木々を、空高く飛ぶ飛行機をみた 煙草の煙が風でながれていった 遠くで電車が走っていくのがみえた
雨の日の宣誓
このなかにある悲しみを、誰が見抜くというのか。 女性であるが故の悲しみは、このなかにある。 それを表に出さぬのも、涙を流さぬのも、強さではない。 悲しいから、笑う。 自分のこころをふさいで笑うのではない。 生きるために笑う。
灰色の空から真珠が散らばった。 その珠をはじきながら、償いのために生きることを誓う。
灰色の空をみて、あなたにどうしても伝えたくなったこと
なにひとつ言葉はなくとも たくさんの時をくれた わたしの中の細胞が憶えている 降り続ける雨からわたしを庇ってくれた
拒んでも逃げることは出来ない わたしの中のあたたかいものを 拒みながらも待っている 木々が芽吹くように 風が雲を運ぶように やわらかいものをつつむ躯
カフェラテがおいしい 猫は日向で目を瞑っている 興味のないふりをして わたしの動きのひとつひとつを確認するように 可愛らしい耳だけこちらを向いている
今日は全国的に雨になります
もうすぐこの街も雨の日が続く 湿った空気が流れ 雨水が跳ね、靴やズボンの裾を濡らす そんな憂鬱な日が続いても 家には美味しいご飯があり オレンジの灯りの中で笑顔がある
雨が続く日は青色の傘をさし 空に青がもどる日を願う
窓の外には夜があった 日中は騒がしいこの街も夜は静かで過ごしやすい 半分だけあけた窓から風が入る ずいぶんと涼しい風に感じた 煙草の煙が風で揺れ オレンジの照明の下で歪んでみえた
ソファの上では猫と男が眠っている まるで親子のようにみえた
支配されているとあなたは言った あなたの心は自由で あなたの体も自由だ
わたしは声も、手も、汗も、まとう空気も すべて自分のものにしたい あなたがみつめたものでさえ 自分のものにしたいと思う
だが、心は支配などできやしない あなたの心はあなたが決める
|