大 将 日 記
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今から約5年前に発表され大ベストセラーになり、映画化もされた小説『精霊流し』 をやっと読んだ。この小説は我心の師匠・さだまさしが書いた小説の処女作だ。師 匠が書いた小説なら、もっと前に読み終えてないとダメではないかと言うご指摘も あるとは思いますが、実は読んで無かったのには訳があるんです。 さだまさしはとにかく非常に器用な人で、作詩作曲は勿論、絵やエッセイ等、とに かく幅広い分野で活躍する本当のエンターティナーなんです。私は過去にさだまさ しのほとんどの書物に目を通し、ほとんどの曲を聴いてこの年まで生きて来ました が、この小説『精霊流し』を読むのには随分と抵抗を感じたのです。 主人公は櫻井雅彦と言うヴァイオリニストを目指し、小学校卒業と同時に長崎から 単身上京し、英才教育を受けて生活していくのだが、大学入試でクラッシックの世 界を断念し、軽音楽に走るが体調不良で大学を中退して長崎に戻り、高校時代から の友人でギターを得意とする古田と言う男とフォークデュオを結成し成功する男の 身内と家族、そして雅彦を取り囲む人々の物語で形成されているんですが、この設 定に非常に私は違和感を感じたのです。20年以上もさだまさしのファンをやって いると、その違和感は尚更でした。 主人公の櫻井雅彦とは、感付いた方も居るかと思われますが、さだまさし本人です。 古田と言うのはさだまさしと一緒にフォークデュオ・グレープを結成した吉田政美。 名前こそ変えてありますが、その登場人物のほとんどが実在する人で、ほとんどが 実話になっています。 今迄何十冊もさだまさしのエッセイを読み、そしてコンサートやラジオで話す彼の お喋りを聞いていた人には、小説と言う感覚では読めない物になってしまっいたん です。 私がこの小説を手にしたのは、勿論発売日当日です。当然私は初版本を所有してい るのですが、完全に読むのに5年もかかった。それは小説としてでは無く、どうし ても途中からエッセイ感覚に陥り、そして途中で小説だったと気付かされる。つま り物語の奥深くまで入り込んで行けなかったのです。 ここ最近はかなり小説を読むようになったので、この『精霊流し』は小説なんだと 自分に言い聞かせながら読んだのですが、私も知らない話しや、本当の物語の部分 はとても面白く入り込んでいけるのですが、自叙伝ぽい所はやっぱり何処かで冷静 になってしまう自分が居て困りました。 ともあれ、5年越しで読み終えたこの『精霊流し』ですが、丁度真ん中辺りで書か れている本当の『精霊流し』のお話しは、読んでて胸が熱くなりました。 近いウチに映画も借りて観てみたいと思っています。
長崎で行われている精霊流しを『燈篭流し』と勘違いしている方の為に、精霊流し が本当はどんな物か動画で配信しているHPを見付けましたので、どうぞご覧下さ い。
『精霊流し』 ←ここをクリック
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