読書日記

2003年01月29日(水) 池永陽『コンビニ・ララバイ』(集英社)

池永陽『コンビニ・ララバイ』(集英社2002年6月30日第1刷発行8月6日第4刷発行 1600円286p)
これもまた一気に読了した。この全七話からなるコンビニを舞台にした連作短編集はあの『本の雑誌』2002年度前半ランキング第1位総合第7位ということで読んだ。
すべて『小説すばる』連載の作品。「カンを蹴る」「向こう側」「パントマイム」「パンの記憶」「あわせ鏡」「オヤジ狩りの夜」「ベンチに降りた奇跡」の7編。どれにも確信のない愛というテーマが貫かれていて強い印象を残す。その中でも特に「あわせ鏡」が強烈で力作である。自分のこころというか気持ちに気がついた時人間は確信を持った行動をすることがよくわかる。
ある意味浅田次郎好みの作品でもある。



2003年01月28日(火) ダン・シモンズ(訳=嶋田洋一)『鋼』(早川書房)

ダン・シモンズ(訳=嶋田洋一)『鋼』(早川書房2002年5月31日初版発行 1900円257p)
またまた一気に読了す。あの超傑作SF(もちろん小説としても大傑作)『ハイペリオン』の作者の非SF作品だけに期待していいのか悪いのか、落ち着かない気持ちで読み始めたが、ノン・ストップ・アクション映画ののりで一気に読み終えた。
主人公は刑務所帰りの元探偵クルツ。クルツの獅子奮迅の冒険的活躍は最近珍しいものなので呆気にとられているうちに話が終わっていた。重要な振る舞いをする「デンマーク人」にあのジャック・ヒギンズを見た。
ダン・シモンズは裏切らない。



2003年01月27日(月) 伊坂幸太郎『ラッシュライフ』(新潮社)

伊坂幸太郎『ラッシュライフ』(新潮社1700円新潮ミステリー倶楽部2002年7月30日 266p)
これも一気に読了。五人の人生が見事に絡まって見事にほぐされて見事な大団円を迎えるB級映画的なノリのいい、快作。
昨日の乙一といい今日のこの作者といい妙な面白さを狙う小説家が最近は増えているのだろうか。
映画向きの軽快なテンポと謎の絡まり具合が絶妙な快感を生み出す、この軽ミステリーもだまされたと思ってひとつとひとに薦めたい一冊。




2003年01月26日(日) 乙一『GOTH(ゴス)リストカット事件』(角川書店)

乙一『GOTH(ゴス)リストカット事件』(角川書店1500円2002年7月1日初版発行332p)
一気に読了。新しいタイプの、そう闇の眷属に属していても不思議でないような探偵の登場。ストレスのかからぬ無駄のない語り口に誘われてどんどん読み進むしかなく、そういう意味では宮部みゆきの文章と共通する魅力にあふれている。男子高校生の語りとその他の者の語りが輻輳して、読み手の頭脳を心地よく刺激する快作。だまされたと思って読んで下さいと薦めるのに適した一種のミステリーで、全6編からなる連作短編集の体裁をとっている。



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