2003年02月14日(金) |
堀川弘通『評伝 黒澤明』(毎日新聞社) |
堀川弘通『評伝 黒澤明』(毎日新聞社2200円 第1刷・・・・・・2000年10月15日、第5刷・・・・・・2001年9月15日 p340) 黒澤明の最も近くにいながらも、黒澤明を最も遠くから眺めるごとく客観的に黒澤明その人と作品を語っている希有な人物伝である。 全8章からなり、「戦国合戦絵巻とプライベートシネマ」というタイトルの最後の第8章が特に印象的だった。 「影武者」「乱」から「夢」「八月の狂詩曲」「まあだだよ」への流れは世間的に???という評価が一般的だが、その謎の一端は上手に説明されたような気分になった。 プライベートシネマと位置づければ、評価に大きなぶれがあっても、当然である。 今、黒澤明作品がDVDでまとめて販売されているし、スカパーでも毎月二、三作品ずつ見られるようになっている。 この評伝の内容を思い起こしながら観客になる。 なんだばかやろう、と言うだろうか。
2003年02月13日(木) |
津野海太郎『新・本とつきあう法(活字本から電子本まで)』(中公新書) |
津野海太郎『新・本とつきあう法(活字本から電子本まで)』(中公新書660円1998年4月15日印刷4月25日発行p193)
出た時にすぐ買ってちらっと読んでどこかへ行っていた本。最近の津野さんブームのおかげで日の目を見た。 中野重治の『本とつきあう法』なら私も読んだ。当時、谷沢永一の『紙つぶて』も読んでいたような気がする。 読書についてのエッセイ集・時評集がちょっと流行していた時があった。そういう頃に読んだ。 この津野さんの新書は先日読んだ『本が揺れた!』のいわば前編である。こっちを先に読んであっちへ行けば話がよく通じるようになっている。
印象的意見。 「歩きながら、とぎれとぎれに本を読んでわるい理由がどこにあろうか。」(p41)
2003年02月12日(水) |
道端秀樹(監修)『英辞郎』(株式会社アルク) |
道端秀樹(監修)『英辞郎』(株式会社アルク 1800円2002年3月12日初版発行 6月6日第4刷発行 p151) 100万語収録CD−ROM付きスーパー英和・和英辞書で1800円は凄い。しかもこれはインターネット上のWEB辞書を切り出したもので大本はWEB上で成長・拡大し続けているのである。 昨年、書店で初めて見た時は、迷いに迷って結局触れもせず、だった。しかし、まもなく姉妹編いや兄弟編の『学辞郎』が出ると知り、尻に火がついた。 私は英語を勉強するぞ、と。これは啓示だぞ、と。 辞書の使い方の前に『英辞郎』誕生秘話・苦労談をじっくり読み込むと、この辞書のありがたみを覚えるだけでなくやる気も喚起される。 『学辞郎』が楽しみ。
印象的タイトル。 「交通事故を機に始まった快進撃」(p32) 普通はとんでもない話である。
2003年02月11日(火) |
津野海太郎『本が揺れた!1997ー2001』(大日本印刷株式会社ICC本部) |
津野海太郎『本が揺れた!1997ー2001』(大日本印刷株式会社ICC本部1900円2002年3月29日初版p265) 現在、本や出版のことを語らせたら右に出る者がいない津野さんの5年間の記録。時評集ということだけでなく近しい人たちとの対談記録も載っていて大変楽しみな一冊だった。 地味な本なので佐野眞一さんの本の売れ行きと比べるとはるかに低迷していると思うが、出版界や読書界(?)を支えているのはこの本の方である。
ちょっと印象に残った部分の抜粋。 「この本を備えていない図書館は即反省し、最低二冊は購入すべし、と言いたい。 古書価の上がったマイナーな作家の本なんかでも、出版社が過去の財産を活かしてそれよりも安くつくれれば、五百部単位でも復刻できます。たとえば葛西善蔵あたりでも、いま、千五百円の文庫で買う人が三千人くらいいるんですよ。まだまだそういう市場があるんです。」(p157、松田哲夫、筑摩書房専務取締役)
絶対読みたくなる、ミーハーのこころを誘うタイトルの抜粋。 「森銑三は電子本を拒否したか」(p43) 1938年生まれの著者、津野さんは理想的なエッセイストである。
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