読書日記

2003年06月09日(月) 日垣隆『ご就職』(郷土出版社)読了。

日垣隆『ご就職』(郷土出版社)は今から5年前の本。筆致は今と変わらず明解でちょっと辛口。以前に「第7章誰にでもできる情報整理術」と他の部分を拾い読みしていただけだったので反省してしっかりと読み直しをした。
メール・マガジンだけでは日垣文への飢えを十分にカバーできないのでつまり一気にいっぱい読みたいので前に読んだ本をひっぱりだすことになってしまう。
出版予定は結構な数あるはず。しかし、出て来ない。文庫化のみ。
この本の副題は「大倒産時代を生きる知恵」。就職を目前にした二十代の人を対象にした本だとしてもこの「知恵」は得難い。



2003年06月07日(土) 長部日出雄『まだ見ぬ故郷』を始める。

長部日出雄『まだ見ぬ故郷』(新潮文庫)を読んでいる。全く予期せぬことで、何気なく買い、読み始めたら止まらなくなった。副題が、高山右近の生涯。去年のNHK大河ドラマ『利家とまつ』を見たせいか、信長は反町である。



2003年06月02日(月) 大崎善生の本など。

大崎善生『パイロットフィッシュ』『アジアンタムブルー』(共に角川書店の本)を続けて読んだ。
風俗雑誌の男性編集者の回想談であり、人生論。
相手の都合も考えずに深更でも電話を掛けてくる友人。
十九年ぶりに突然電話してきたかつての恋人。
親友の夫や恋人と関係してしまう女性。
やさし過ぎて身も心も病んでしまう風俗の女性。
お伽話のような美しい恋や出会いが繊細な文体で描かれ、なんとも言えぬため息を生むが、じきに次々に失恋や死となって主人公を襲う。
流麗華麗な文章とエピソードの積み重ねが読み終えることを強制する。
『聖の青春』(講談社)と題材は異なるが奥底に死への凝視を感じさせる点では共通性がある。
これもまた現代日本の大人のための幻想童話。
福田和也『作家の値うちの使い方』(飛鳥新社)は眉唾で接したが、意外にも面白かった。毀誉褒貶のあった『作家の値うち』を読み、わたしもこれはどうかと思った。しかし、辛口の書評集的本として読めばどうと言うことはない。見解の相違こそ読むかいがあるというもの。
いわゆる純文学とエンタテインメントの二つに分けて百点満点で評価するのはいまさらとしても、膨大な作品を読み上げ、点数をつけて整理していくという「作業」自体たいへんだが、面白い試みだったのだと考え直した。
先週は、石川達三週間と位置づけて見事失敗。『蒼氓』の一ページ目を開いたり、古い文庫本を何冊か買ったり、で終わった。
10ページ読書をする。
対象は『飛行少女』『奇偶』など。
今週は、獅子文六週とする。



2003年05月26日(月) 東野圭吾『手紙』など。

東野圭吾『手紙』(毎日新聞社)読了(昨日)。
強盗殺人で懲役15年の兄を持つ青年の人生はどうなるのか。禍福はあざなえる縄の如しというが、殺人犯の兄の罪がその弟につきまとって生涯離れない物語の中で「福」は「禍」に包まれたままである。しかし、最後にその弟が見たものは・・・・・・。
読み終わり、福永武彦を連想した。
大人のための童話と呼んでも良いような厳粛さと優しさを持った佳作。
映画化を待つべきでない小説。
宮部みゆき『ドリーム・バスター2』(徳間書店)読了。
SF的ファンタジー。主人公は人の夢に潜む邪悪な犯罪者を捕獲する仕事人たるドリーム・バスターである。壮大な物語になりそうだが、現代日本の若いOLや幼い子どもが対象になっているせいか、こころやさしいファンタジーの域を出ていない。
二つの中編から成り、結末は続編へ、となって終わるので「3」を待つことになる。
和田秀樹『大人のための勉強法』(PHP新書)を速読。
速読というよりは飛ばし読み。題名の通りの内容で具体的実践的。一種の評論エッセイとして読んだ。
先週は城山三郎週間として結局読んだのは、最新エッセイ集『この命、何をあくせく』と古い紀行文『アメリカ生きがいの旅』(文春文庫)中の「シリコン・バレーの落日」、小説『雄気堂々』と『落日燃ゆ』の冒頭をちょっと、というありさま。
今週は、石川達三週間でいく予定。手元にあまりその本がないのが心配。


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