読書日記

2004年09月01日(水) 新潮ドキュメント賞受賞、日垣隆『そして殺人者は野に放たれる』

今最も気になる書き手の受賞に拍手。
さまざまなタブーに粘り強く取り組む姿勢はしたたかにも見えるが、同時に初々しくも見えるのが魅力。
この人のやっていることは、たとえば「書く人・取材する人の基本と応用」などとして認められていくにちがいない。
初期の著作はいまだに古びず、生きている。
それにしても、ほとんど出来上がっているという「部活動」についての本が待ち遠しい。『エコノミスト』の巻頭言第2弾も早く出してほしい。
今こちらの願望をすぐにかなえてくれる著者である。



2004年08月31日(火) 『ハヤカワミステリマガジン』2004年10月号

毎回「ミステリの話題・ミステリチャンネルから」と題してスカイ・パーフェクトTV728ch「ミステリチャンネル」の紹介コラムがある。
今回の目玉は『虚無への供物』のドラマ化『薔薇の殺意』とあり、またしても不明を恥じる、ことになった。
1997年NHK制作のBSドラマとは。
永遠に知らずにいるところだった。
なんと全6話を9月に一挙放映、である。
読んだばかりなので気になる。契約するべきか。
脚本家がだれなのかが気になる。一体どうやったら脚本になるのか。
そう考えると見ない方はいい気もしてくる。



2004年08月30日(月) 『波』2004年9月号(新潮社)

「『ダンテ・クラブ』刊行記念特集」には魅力を感じる。いつ読めるかわからないにしても『薔薇の名前』を想起させる本は手にとってみたい。
不明を恥じた。
目次の下の方に「幸田文生誕100年記念 再録インタビュー 『流れる』のことなど 49」とあった。
最近、『木』『北愁』『月の塵』と続けて読んできて、『ちぎれ雲』(講談社文芸文庫)巻末の年譜にも目を通していたのに少しも気がついていなかったのだ。
ご本人は著書『月の塵』の「遺品のあるなし」(七十二頁から)で父親の幸田露伴の「生誕百年」を「いわれてまごついた。」(七十二頁)と書き出し、続けてこんなことを書いている。
「没後の年数も十七年を越したら、急速に気がはなれてきたようだ。そんなこんなで、生まれて百年、といわれて戸惑ったと思う。」(七十三頁)
幸田文は1904年(明治37年)9月1日生まれであった。

早川書房の『ミステリマガジン』2004年10月号(通巻584)を拾い読み。
特集は「犯罪と音楽の協奏曲」とある表紙を見て、定価840円とある裏表紙を眺める。
マイケル・ケインとブレンダン・フレイザーの新しい映画『愛の落日』の宣伝ポスターが使われている。原題は『The Quiet American』とあるその下の夕陽のさらにその下にこうあった。
「グレアム・グリーン生誕100年記念作品」
グレアム・グリーンもまた読まねばならない作家のひとりだったのだ。



2004年08月29日(日) 畑村洋太郎『失敗学のすすめ』講談社

2000年11月の発行、手元のこの本ではすでに2004年3月4日第19刷となっている。よく読まれている本らしい。そう言えば日垣隆も推薦していたはず。
かつて『イソップ寓話集』を種にして森本哲郎が似たようなことを書いていた。人間は「痛い目」にあわないと経験から何も学ばない。だからイソップは「痛い目」にあった動物や植物の話をどっさり書き残したのだ、と。
6冊にしぼったこれから読む予定の本。この本はその中に入っていない。
入っていなくてもおのずと欲張りな目がそちらを向く。
堂々巡りが止まらない。


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