読書日記

2004年09月11日(土) マーヴィン・ピーク『ゴーメン・ガースト』(創元推理文庫)購入

マーヴィン・ピーク『ゴーメン・ガースト』(創元推理文庫)
結局、書店で購入。『タイラス・グローン』読了後、本棚から物置まで必死で捜索するも見つからず、しびれを切らして、もう一度買うことにした。
不安だったのは、大西巨人の『神聖喜劇』以上に在庫切れ当然の本ということだった。
しかし、杞憂に終わった。最初の書店でなんなく発見。発見と大げさに言うほどのこともなし、だった。後ろを頁を見ると、今年の七月末に印刷・発行になっている。
東京創元社が黒っぽい表紙のホラー系列の作品のフェアを始めたらしい。
腰巻きにはあの『銀河英雄伝』や『創竜伝』の作者の田中芳樹推薦の文字。
最近のファンタジー・ブームに便乗した企画といえないこともないと思うが、残念ながらやや中途半端。田中芳樹の知名度を借りるなら、もっとさくっとやってほしい。
表紙は登場人物を描いたコミック的な明るいものにする。たとえばグローン家の長女フューシャとその叔母にあたる不気味な双子の姉妹などを配して人物の魅力とファンタジックなストーリー展開を暗示する。とにかく今の玄人向けするような表紙をやめにする必要がある。せっかくゴーメン・ガースト三部作がどっと世の中に出たのに売れないで読まれないのはもったいない。
『指輪物語』はこの物語の子供版にすぎなかったと大いに宣伝してほしい。

そういうわけで『ゴーメン・ガースト』は楽に入手できた。



2004年09月08日(水) 『ミステリーズ!(vol.01SUMMER2003)』東京創元社

『ミステリーズ!(vol.01SUMMER2003)』東京創元社

この東京創元社発行の雑誌も7号を数えたのでそろそろきちんと読みたくなってきたので、創刊号を手に取った。

表紙の怖い写真は誰の好みなのか。あまり好かない。人形作成=原千恵、
協力:PuppetHouseでタイトルは「Mr.Hyde]でとる。表紙デザインとロゴ=岩郷重力、WONDER WORKZ。

この調子ではなかなか先に進めない。

表紙の裏も有効活用の頁で、ひらいたかこの「ミステリーギャラリー」開幕である。夜中に一人きりで広い家の螺旋階段に取り残された子供の恐怖を描いた、題名「夜の足音」というモノクロのイラストがあり、その下に「マザーグース」の一節が横書きの引用。
「ほら 首切りの斧が・・・・・」

創刊号の栄えある第一頁は定番の「私の一冊」を『新宿鮫』の大沢在昌がゲット。
チャンドラー短編全集3『待っている』(創元推理文庫)を紹介している。

で、次が目次。

と時間切れ。最初はどうしても細かくなるのは人間の性というものでしょうか。
このあと、ビッグ・ネームが続くのですが。



2004年09月07日(火) グレアム・グリーンの本

グレアム・グリーンの本が買えない。普通の書店になくてもBOOKOFFなどにはあるはずという思い込みは幻だった。
かつて三、四年前にBOOKOFFで山本周五郎を新潮文庫で揃えようとして失敗。地域的な要因もあると思うが、ほとんど出回っていなかった。今はいつのまにかどこででもよく見かけるようになったのが不思議なくらい。
ほしいと思ったときに意外に出払っているのが昔のスタンダードなのかもしれない。
生誕百年記念と映画化のおかげなのか、早川書房がepi文庫でグレアム・グリーン選集を作るのはありがたいが。
今『ハバナの男』(早川書房の「グレアム・グリーン全集」の第15巻、翻訳者は田中西二郎)を少しずつ読んでいるところ。読み終わったら新潮文庫のものを読みたい。早川文庫のグリーンは全集版だけでよいような気もするが、新潮文庫版も絶版になっているわけではないのだろうか。



2004年09月06日(月) 幸田文『月の塵』講談社文庫

幸田文『月の塵(幸田文随筆集)』(講談社文庫1997年5月15日第1刷発行)読み終える。読み始めたのが8月18日。ほとんど毎日少しずつ読んできた。
一気に読むのではわからない味わいというか面白さが見えてくるような気がする。
だらだらつきあうこともよい場合がある。
幸田文入門編としても応用編としても推薦できる充実した随筆集である。

表題の「月の塵」は花鳥風月の「月」を表しているのは当然として、あのアポロが着陸したという「月」も意味している。

「月には、親の代、そのまた親の、ずっとずっと前の代から、いろんな事柄を埋めてきたようだ。アポロは記念板を置いてきたというけれど、それは今日のはなし、私たちは昔々から、あそこへさまざまな無形の記念をうめている。たぶんそれらは古びて、塵になって積もっているのだろうーーいくとせ散らぬという月の塵に。
だから、アポロだといっても、そう急にかえた思いかたはできないのである。」
(71頁「月の塵」の終わりの部分を引用)
生前の単行本未収録の文章をいわば落ち穂拾い集。まさしく随筆集と呼ぶにふさわしくテーマが多岐にわたっていて、読みごたえは十分である。
1961年から1986年までに発表された五十八篇の文章から成る。

巻末の解説は「五官の教え」と題して森まゆみが大絶賛の文章を書いている。
「そして幸田文に限って、残っていた物に福があった。」
(365頁から引用。)

カバーデザインは菊地信義。カバーは幸田文の着物から。
巻頭写真2頁。「1964年11月、東京・小石川の自宅書斎で」と「1964年11月、ふたりの孫と庭で」のモノクロ写真が2枚。
(単行本は1994年4月講談社刊)

筆者「幸田文」について

1904年(明治37年)生まれ。1990年(平成2年)没。
小説家であり随筆家である。
1947年父幸田露伴没。

奈良法輪寺三重塔再建に積極的に協力した。

(*今回はとりあえずこれだけ)


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